獣医師、ペット栄養管理士が犬と猫の病気と食事について徹底解説しています!

カテゴリー

猫種

スコティッシュフォールドの性格・飼い方:折れ耳猫の魅力と注意点【獣医師監修】

スコティッシュ・フォールドは、折れた耳とまん丸な瞳が愛らしく、世界中で人気の猫種です。穏やかで人懐こい性格から飼いやすい反面、特徴的な折れ耳の裏には遺伝性の疾患という注意点も抱えています。

本記事では【獣医師監修】のもと、スコティッシュフォールドの性格の特徴飼い方のコツ、そしてかかりやすい病気とケア方法について最新のエビデンスを交えて詳しく解説します。さらに、獣医師おすすめの関連商品もランキング形式でご紹介します。それでは、折れ耳猫の魅力と注意点を見ていきましょう。

スコティッシュフォールドの特徴と性格

折れ耳のチャームポイント 最大の特徴は名前の通り前方に折れた小さな耳です。この折れ耳は軟骨の遺伝変異によるもので、独特のまん丸な顔つきと相まってとても愛くるしい印象を与えます。毛色や毛質は短毛から長毛まで様々で、ふわふわの被毛と大きな瞳も魅力的です。穏やかな顔立ちと可愛らしい外見で初めて猫を飼う人にも人気があります。

穏やかで優しい性格 スコティッシュフォールドは基本的に穏やかで温厚な性格をしており、人に対してとてもフレンドリーです。飼い主によく懐き、寄り添うことが好きな甘えん坊でもあります。好奇心は旺盛ですが過度に活発すぎることはなく、室内でのんびりとした時間を好む傾向があります。撫でられたり抱っこされることを好む子も多く、大人しく抱えられてくれるため小さなお子さんがいる家庭でも比較的飼いやすいでしょう。一方で寂しがり屋な面もあり、飼い主が長時間留守にするとストレスを感じる子もいるので適度なスキンシップを心がけてください。

新しい環境への適応 穏やかな気質のおかげで環境の変化にも比較的スムーズに慣れやすい子が多いとされています。引っ越しや新しい家族が増えた場合でもパニックに陥りにくく、マイペースに受け入れてくれるでしょう。もちろん個体差はありますが、総じて扱いやすい性格のため猫を飼う初心者にも人気が高い理由の一つです。

スコティッシュフォールドの飼い方・お手入れ

適度な運動と遊び 穏やかなスコティッシュフォールドとはいえ、健康維持のため日々の適度な運動は必要です。室内飼いの場合はキャットタワーやおもちゃを用意し、家の中でも自由に遊べる環境を整えてあげましょう。高い所に上るのが好きな子も多いので、安全に上り下りできるよう家具の配置を工夫したり、小さなステップを設置してあげると良いでしょう。じゃれつきすぎるほど活発ではありませんが、飼い主さんが優しく誘って一緒に遊んであげることで良い運動になります。

食事管理と体重コントロール スコティッシュフォールドは遺伝的に関節疾患を抱える可能性があるため、太りすぎないよう食事管理に特に気を配りましょう。肥満は関節への負担を増大させ、遺伝疾患の症状を悪化させる恐れがあります。適正体重を維持できるよう質の高いフードを適量与え、おやつの与えすぎにも注意します。また、定期的な健康診断を受けて体重や健康状態をチェックすることも大切です。万一体重が増えすぎてしまった場合は、獣医師に相談して減量プランを立てると安心です。

被毛のお手入れ 毛の長さは個体によりますが、短毛でも密度の高いダブルコートで抜け毛が多い傾向があります。特に長毛の子や換毛期にはこまめなブラッシングが必要です。ブラッシングによって抜け毛を取り除くことで、毛玉(ヘアボール)を吐く頻度の軽減や皮膚の清潔維持にもつながります。また、スコティッシュフォールドは自分でグルーミング(毛づくろい)を十分に行えない場合もあるため、飼い主が積極的にケアしてあげましょう。柔らかめのブラシやコームで優しく全身を梳かし、被毛と皮膚の健康を保ちます。

折れ耳のケア 折れ耳は可愛らしい反面、耳の通気性が悪く汚れが溜まりやすい構造です。放っておくと耳垢の蓄積や細菌・真菌の繁殖により外耳炎を起こしやすいため、定期的に耳の中をチェックしましょう。耳が赤く腫れていないか、嫌なニオイがしないかを観察し、必要に応じて獣医師推奨のイヤークリーナーで優しく掃除します。敏感な部位なので頻度は月に1〜2回程度、強くこすらずに汚れを拭き取る程度で十分です。耳を痒がる・頭を振るといった仕草が見られたら早めに動物病院で診てもらいましょう。

スコティッシュフォールドがかかりやすい病気

スコティッシュフォールドは、その愛らしい見た目とは裏腹に遺伝的な疾患を抱えやすいことで知られています。代表的な病気と特徴を以下にまとめます。

骨軟骨異形成症(こつなんこついけいせいしょう) スコティッシュフォールド特有の遺伝性疾患で、軟骨の形成異常により関節や骨に変形が生じる病気です。この異常こそが折れ耳の原因であり、折れ耳のスコティッシュフォールドは例外なく本症を発症することが報告されています。後ろ足の指やかかと、尾に骨瘤(こぶ状の骨の増殖)が生じ、関節が肥厚・硬直化して痛みを伴います。若い頃から進行し、動きが鈍くなる、遊ぶ時間が減って寝てばかりになる、触られるのを嫌がるなどの症状が現れます。独特な「スコ座り」(後ろ足を前に投げ出して座る姿勢)は、この関節痛を和らげるための姿勢とも言われます。病状には個体差がありますが、猫自身は痛みを隠しがちであるため注意深い観察が必要です。この病気が見た目の可愛さの裏に大きな苦痛を伴うことから、スコティッシュフォールドの繁殖自体が一部の国では禁止されてもいます。

外耳炎(耳の感染症) 折れ耳ゆえに耳の中の通気が悪くなり、耳垢や湿気がこもりやすいことで細菌や真菌が繁殖し、外耳炎を起こしやすいとされています。耳を痒がってしきりにかく、耳垢が黒っぽく増える、耳から悪臭がする、頭を振るなどが見られたら要注意です。放置すると痛みで食欲不振になることもあるため、早めに獣医師の診察と治療を受けましょう。日頃から耳のチェックとお手入れをすることで予防できる場合もあります。

肥大型心筋症 心臓の筋肉の壁が厚く硬くなって血液を送り出す力が低下する心臓病です。猫の心疾患では最も一般的で、スコティッシュフォールドでも発生が多い可能性が指摘されています(※明確な統計データはまだ不十分ですが、同種の遺伝要因が疑われています)。初期には症状が出にくいものの、進行すると呼吸が荒くなる、咳や運動を嫌がる、ぐったりするなどの症状が現れます。定期的な健康診断で心臓の音やエコー検査を受け、早期発見・治療に努めることが望ましいでしょう。

多発性嚢胞腎(PKD) 腎臓に液体の嚢胞が多数できて腎機能が徐々に低下する遺伝性疾患です。もともとペルシャ系の猫に多い病気ですが、スコティッシュフォールドも例外ではありません。日本で行われた調査では、腎疾患が疑われたスコティッシュフォールドの約54%にPKDの原因遺伝子変異が認められたとの報告があります。腎臓病は初期症状が分かりにくいものの、飲水量・尿量の増加や食欲不振、体重減少などが見られたら検査をおすすめします。遺伝子検査でリスクを知ることも可能です。

健康管理とケアのコツ

上記のようにスコティッシュフォールドは特有の持病リスクがありますが、適切なケアでその猫らしい快適な生活を送らせてあげることができます。日常で気をつけたいポイントをまとめました。

体重管理 関節への負担を減らすためにも適正体重の維持が重要です。肥満にならないよう食事量を管理し、運動不足にも注意しましょう。獣医師に適正体重やダイエットの相談をするのも良い方法です。

生活環境の工夫 床は滑りにくい素材を選ぶかカーペットやマットを敷いて、関節に負担をかけず安心して歩ける環境を整えます。高い場所にはペット用階段やスロープを置くなどして、ジャンプの衝撃を減らしましょう。段差の上り下りをサポートすることで、猫の足腰への負担軽減につながります。

定期的な爪切り 関節痛から爪とぎ行動が減って爪が伸びすぎることがあります。爪が長いと滑りやすい床で更に踏ん張りが効かなくなるため、こまめに爪を切ってあげてください。嫌がる場合は無理せず、少しずつ慣らしていきましょう。

定期健診を受ける 少なくとも年1回、できれば半年に1回は動物病院で健康診断を受けましょう。レントゲンや血液検査で隠れた病気を早期発見できるほか、獣医師から専門的な健康アドバイスをもらえます。特に骨や関節の痛みはレントゲン検査で進行度を把握できます。

耳のチェックとお手入れ 外耳炎予防のため、家庭でも定期的に耳の中を観察しましょう。異常に早く気付けるだけでなく、汚れを拭き取る簡単なケアで発症を防げる場合もあります。ただし過度な掃除は逆効果なので、頻度や方法は獣医師に確認しておくと安心です。

ストレスを減らす スコティッシュフォールドは繊細で環境ストレスに弱いとも言われます。急激な生活環境の変化や過度な騒音・来客が続く状況はなるべく避け、安心して過ごせる静かで快適な居場所(隠れ家スペースなど)を用意してあげましょう。日常的に優しく声をかけ、スキンシップを図ることで精神的な安定にもつながります。

上記のようなケアを行いつつ、もし関節の痛みなど症状が見られた場合は早めに獣医師に相談してください。残念ながら骨軟骨異形成症そのものを完治させる治療法は確立されていませんが、消炎鎮痛剤の投与やサプリメントの活用による痛みのコントロールで症状を和らげることができます。事実、適切な治療を行うことでスコティッシュフォールドの生活の質(QOL)は劇的に向上すると報告されています。日々のケアと獣医師のサポートで、愛猫が少しでも長く快適に過ごせるよう努めましょう。

獣医師おすすめ!スコティッシュフォールドに役立つアイテム3選

スコティッシュフォールドの健康管理に役立つグッズを、獣医師の目線で3つ厳選してご紹介します。関節ケアからお手入れ用品まで、日々のケアに取り入れてみてください。

商品名カテゴリオススメ度主な効果使用頻度メリット注意点適用期間
アンチノール (Vetz Petz)関節ケアサプリ⭐⭐⭐⭐⭐・関節・軟骨の健康維持
・被毛、腎臓、心血管サポート
・炎症抑制効果
毎日・天然由来で安全性が高い
・フードに混ぜるだけで簡単
・多方面の健康効果
・獣医師推奨
・継続使用が必要
・効果実感まで時間がかかる場合あり
生涯にわたって
アイリスオーヤマ ペット用階段(2段)移動サポート⭐⭐⭐⭐☆・関節への負担軽減
・ジャンプ衝撃の回避
・安全な昇降サポート
必要時・折りたたみ式で収納便利
・滑り止め付きで安全
・軽量で移動しやすい
・一度購入すれば長期使用可能
・猫が慣れるまで時間が必要
・設置場所の確保が必要
成猫期〜シニア期
ファーミネーター 猫用ブラシ(短毛種S)被毛ケア⭐⭐⭐⭐☆・抜け毛90%以上除去
・毛球症予防
・皮膚の健康維持
・アンダーコート処理
週2-3回・プロ仕様の高い除毛効果
・人間工学に基づいた握りやすさ
・ワンタッチで毛の処理が簡単
・獣医師監修
・短毛用と長毛用の選択必要
・過度な使用は皮膚を傷める可能性
・嫌がる猫には慣らしが必要
生涯にわたって

関節ケアサプリ「アンチノール (Vetz Petz)」 スコティッシュフォールドの関節・軟骨の健康維持におすすめの天然由来サプリメントです。ニュージーランド産の緑イ貝由来オイルを主成分とし、EPAやDHAなどのオメガ3脂肪酸を豊富に含みます。関節の動きをスムーズに保つだけでなく、被毛や腎臓、心血管の健康サポート効果も期待できます。毎日のフードに混ぜるだけで与えられ、継続しやすいのも利点です。関節疾患の予防・緩和に役立つとして【獣医師監修】記事でも紹介される人気商品です。

アイリスオーヤマ ペット用階段(2段) 室内での移動をサポートする折りたたみ式のペットステップです。ソファやベッドなど高い場所へ猫が上り下りする際の足腰への負担を軽減してくれます。スコティッシュフォールドのように関節に不安がある猫でも、このステップを使えば自分で楽に昇降でき、ジャンプによる衝撃を避けることができます。軽量で安定感があり、使用しないときは折り畳んで収納可能。滑り止め付きのステップ表面で安心して昇り降りできます。特にシニア期や体重が重めの子にも一つ備えておきたいアイテムです。

ファーミネーター 猫用ブラシ(短毛種S) 折れ耳猫の被毛ケアに欠かせないプロ仕様のグルーミングブラシです。獣医師監修のもと開発された本製品は、肌を傷めずにアンダーコート(下毛)までしっかりと抜け毛を除去できる設計です。スコティッシュフォールドは抜け毛が多く毛繕いが十分でない場合、毛球症のリスクもありますが、このブラシで日々ブラッシングすることで余分な毛を90%以上取り除けるとされています。持ち手は人間工学に基づいた握りやすい形状で、ボタン一つでブラシに溜まった毛を簡単にポイッと捨てられる手軽さも魅力。短毛のスコティッシュフォールドには"S 短毛種用"、長毛の場合は"長毛種用"を選んで使ってください。

まとめ

最後に、大切な家族であるスコティッシュフォールドと長く幸せに暮らすためには、日頃の観察とケアが何よりも重要です。愛らしい折れ耳の魅力に魅せられた飼い主さんは、その裏にあるリスクにも十分配慮し、適切な環境とケアを提供してあげてください。そうすることで、きっとスコティッシュフォールドの穏やかで優しいパートナーとしての一面を存分に楽しむことができるでしょう。

  • この記事を書いた人
院長

院長

国公立獣医大学卒業→→都内1.5次診療へ勤務→動物病院の院長。臨床10年目の獣医師。 犬と猫の予防医療〜高度医療まで日々様々な診察を行っている。

-猫種