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犬の泌尿器疾患

【獣医師監修】犬の膀胱炎を徹底解説:症状から治療・療法食・再発予防まで

犬の膀胱炎(ぼうこうえん)とは、膀胱内部の粘膜に炎症が起こる病気です 。尿道を通じて侵入した細菌感染が主な原因で、頻尿や血尿などの排尿に関する症状を引き起こします 。犬では比較的よくみられる疾患で、一度治ったように見えても再発を繰り返すことがある厄介な病気です 。特にメス犬は尿道が短く太いため細菌が膀胱に届きやすく膀胱炎になりやすいことが知られています 。

また、シニア犬(高齢犬)では免疫力低下や水分摂取量の減少に伴い膀胱炎のリスクが高まります 。統計的には、犬種ではシベリアンハスキーやダックスフンド、トイプードル、ラブラドール・レトリーバーで発症リスクが高いとの報告もあります (基本的にどの犬種でも起こりえますが、特にメス高齢犬でリスク増加との報告が多いです )。

一方、オス犬は前立腺からの抗菌作用などにより膀胱炎になりにくいですが、未去勢のオスが膀胱炎になった場合は前立腺炎など前立腺の病気が隠れている可能性があります 。いずれにせよ、犬が頻繁に排尿姿勢をとる、尿の様子に異変があるなど「おかしいな?」と感じたら早めに対処することが大切です。

膀胱炎の主な症状【早見表】

膀胱炎になると、排尿に関する以下のような症状が現れます 。早期発見のために、日頃から愛犬の排尿の様子や尿の状態を観察しておきましょう。

症状具体的な様子・サイン
頻尿何度もトイレに行き、少量の尿を頻繁にする 。普段より排尿回数が増え、1回の尿量が極端に少ない(少量頻回)状態 。
残尿感排尿後も尿意が残る様子。排尿が終わった直後にも踏ん張り続けたり、姿勢をとるのに尿が出ない 。
排尿痛排尿時に痛みがあるため、排泄を渋ったり、おしっこの際に鳴くことがある。陰部を気にしてなめる動作も見られる 。
血尿尿に血が混じる。薄くピンク色に染まる程度から、尿全体が赤くなるほど出血する場合まで様々 。炎症が重度になると見られやすい。
尿の濁り・異臭尿が白く濁ったり膿尿(うみ尿)になり、アンモニア臭など臭いが強くなることもある 。
尿失禁トイレ以外の場所で思わず漏らしてしまう、お漏らしの回数が増える。粗相が増える。
排尿困難尿をしたそうにするのに出にくい、あるいは全く出ない(尿閉塞)状態 。ひどい場合はお腹が張り痛がる。

こうした症状がみられたら膀胱炎が疑われます。ただし、似た症状を示す他の病気もあります(例:尿道や尿管の結石による尿路閉塞など)ので、自己判断せず必ず動物病院で検査を受けて鑑別診断してもらいましょう 。なお、膀胱炎だけでは発熱を起こすことはほとんどありません 。もし発熱や嘔吐・食欲不振など全身症状を伴う場合は、感染が腎臓に波及した腎盂腎炎(じんうじんえん)など重篤な状態の可能性があります 。早急な治療が必要です。

膀胱炎の原因

犬の膀胱炎にはいくつかの原因があり、その中でも細菌感染によるものが最も多いです 。その他、結石や腫瘍、体質や生活習慣など様々な要因が膀胱の炎症を引き起こします。一部には原因が特定できない「特発性膀胱炎」も存在します (このタイプはストレスが誘因と推測され、犬より猫で多いとされています)。主な原因とリスク要因を以下にまとめます。

  • 細菌感染(細菌性膀胱炎): 大腸菌やブドウ球菌など肛門や陰部周囲の常在菌が尿道を逆行して膀胱に入り増殖するケースが最も一般的です 。通常、膀胱には尿の洗浄作用や粘膜の抗菌機能など防御策が備わっていますが 、何らかの理由で防御力が低下すると細菌が増殖し炎症を起こします 。メスは尿道口と肛門が近く尿道も短いため細菌が侵入しやすく発症が多いです。オスでも高齢や基礎疾患で免疫低下時に起こることがあります 。
  • 尿路結石(結石性膀胱炎): 膀胱や尿道に結石ができると、その刺激や二次感染で膀胱炎を起こします 。特にストルバイト結石は細菌感染に伴い発生しやすく、膀胱炎と結石が併発することが多いです 。シュウ酸カルシウム結石は食事や遺伝要因が大きく関与し、一度できると再発しやすい傾向があります 。結石が尿道に詰まると命に関わる尿路閉塞を引き起こすため注意が必要です。
  • 膀胱腫瘍: 膀胱や尿道に腫瘍ができると、組織の炎症や感染を招き膀胱炎症状が出ることがあります 。悪性腫瘍では血尿が続き治療が長期化する傾向があります。
  • 医原性要因: シクロホスファミドという抗がん剤(アルキル化剤)など特定の薬剤使用により膀胱粘膜が刺激され、出血性膀胱炎を起こすことがあります 。この場合は細菌感染がなくても症状が出ます。
  • 外傷・その他: 交通事故による腹部外傷などで膀胱にダメージを受けた場合や、神経障害で排尿がうまくできない場合にも膀胱炎が起こりえます 。また長時間の排尿我慢や陰部の不潔も細菌増殖のリスクを高めます 。

膀胱炎の多くは上記の要因が絡み合って発症します。例えば**「細菌性膀胱炎+ストルバイト結石」のように、感染症が結石を生み、結石がさらに膀胱炎を悪化させるといった悪循環もあります 。愛犬が膀胱炎を繰り返す場合、原因を一つに断定せず総合的に検査してもらうこと**が必要です。

膀胱炎の診断方法と費用目安

膀胱炎が疑われたら、動物病院での検査が不可欠です。主な診断方法と内容、費用の目安は以下の通りです。

  • 尿検査(尿一般検査): まず行われる基本検査です 。紙皿やトレーで採尿した尿を試験紙や顕微鏡で調べ、尿中の白血球・赤血球、細菌、結晶の有無などを確認します 。自宅で尿を取れない場合は、膀胱穿刺(お腹に針を刺し直接尿を採取)で無菌的に尿を採ることもあります 。尿検査にかかる費用はおおむね数百円~数千円程度と比較的安価ですが、膀胱炎診断には必須の検査です 。
  • 画像検査(超音波検査・X線検査): 膀胱内に結石が疑われる場合や、膀胱炎を繰り返す場合には超音波検査で膀胱や腎臓の状態を詳しく調べます 。大きな結石はX線(レントゲン)検査でも確認可能です 。画像検査により結石の有無、大きさ、腫瘍やポリープの有無、膀胱壁の肥厚などが分かります。費用は病院や機器によりますが、1万~2万円前後かかることが多いでしょう 。
  • 細菌培養検査(尿培養 & 薬剤感受性試験): 尿中に細菌が確認された場合、どんな細菌が原因かを特定し最適な抗生物質を選ぶため培養検査を行います 。数日かけて菌を培養し、その菌が各種抗生剤に対して感受性を持つか調べる検査です。培養検査の費用は数千円~1万円程度が一般的です。耐性菌対策のためにも、この検査結果に基づいた薬剤選択が重要です 。
  • 血液検査: 膀胱炎単独なら必須ではありませんが、腎臓への波及(腎盂腎炎)が疑われる場合や他の病気の有無をチェックする目的で血液検査を行うこともあります 。腎機能指標(BUNやクレアチニン)の上昇がないか、全身の炎症反応(白血球やCRP)の有無などを確認します。費用は数千円です。
  • その他の検査: 再発を繰り返す膀胱炎では、膀胱鏡検査(内視鏡による膀胱内の観察)や尿道の造影検査などが行われることもあります。先天的な尿路の奇形やポリープ、腫瘍などを調べるためです。これら高度な検査は数万円以上と高額になる場合もあります。

▶診察費用の相場: 膀胱炎の診断に必要な検査は状況により様々で、一概に「検査費用○円」と言えませんが、簡易な尿検査のみなら数千円、培養や画像検査まで含めると2~3万円以上になるケースもあります 。例えば初診料と尿検査で5千円前後、再診+培養検査でさらに5千円~1万円、超音波検査実施でプラス5千円~1万円……といった具合です。原因に結石や腫瘍が見つかれば治療法によってさらに費用は増えます(後述)。費用面が心配な方はペット保険の項目もご参照ください。

膀胱炎の治療方法

膀胱炎と診断された場合、原因に応じた適切な治療を行います 。基本は内科的治療(投薬)ですが、結石や腫瘍があれば食事療法や外科手術も検討されます。ここでは代表的な治療法とそのポイント、注意点を解説します。

  • 薬物治療(内科治療): 細菌性膀胱炎であれば、原因菌を退治するため抗生物質(抗菌薬)の投与が第一選択となります 。一般的な膀胱炎では1~2週間程度の内服で症状が改善しますが、症状や菌の種類によっては数週間以上の投薬が必要なこともあります 。重要なのは、獣医師の指示通りに最後まで薬を飲ませ切ることです 。途中で自己判断で中断すると膀胱内に細菌が残存・再増殖したり、抗生剤に耐性を持つ菌が生き残って治りにくくなる恐れがあります  。症状が消えてもしばらくは指示通り投薬を続け、治療後に再度尿検査を受けて細菌が完全に除去されたことを確認しましょう 。なお、膀胱炎による痛みや炎症が強い場合、症状緩和のため消炎鎮痛剤や鎮痙剤が処方されることもあります(獣医師の判断によります)。
  • 食事療法: 尿路結石が関与する膀胱炎では、投薬に加えて療法食(食事療法)による管理が重要になります 。犬に多いストルバイト結石症であれば、マグネシウムやリンを制限し尿を酸性に保つ療法食に切り替えることで食事だけで結石を溶解できる可能性があります  。一方、シュウ酸カルシウム結石は食事で溶かすことは難しいものの、再発防止のため尿をアルカリ寄りに保つ療法食を与えることが有効です 。獣医師と相談のうえ、結石の種類に適した食事管理を行いましょう。食事療法の期間中は決められたフード以外のオヤツや食べ物を与えないことも大切です。他の食品を与えると療法食の効果が薄れてしまう恐れがあるためです 。食事療法について詳しくは後述の「食事管理とおすすめ療法食」の章で解説します。
  • 外科手術: 膀胱や尿道に大きな結石が詰まっている場合、あるいは膀胱腫瘍が見つかった場合には外科的処置が検討されます。結石に対する代表的な手術は膀胱切開術(開腹して膀胱内の結石を取り出す手術)です。麻酔下で行い、入院が必要となることが多く、費用も20~30万円と高額になるケースがあります 。腫瘍に対しても摘出手術を行いますが、場所や進行度によっては手術が難しい場合もあります。その際は抗がん剤治療や対症療法となることもあります。
  • 通院頻度・治療期間: 急性膀胱炎なら投薬開始から数日で症状が改善し始め、1~2週間で治癒することも多いです 。しかし慢性化した膀胱炎や結石を伴うケースでは、3~5週間以上の継続治療が必要になる場合もあります 。症状が治まってもすぐに通院をやめず、完治が確認できるまで定期的に診察・尿検査を受けましょう 。通院回数が増えると治療費は累計で1万円を超えることもありますが 、再発防止のための投資と考えてください。

▶治療費の目安: 膀胱炎自体の治療(診察・薬代)は比較的軽度なら数千円~1万円前後で済むことが多いです 。しかし治療が長引いたり、結石溶解用の療法食に切り替える場合、そのフード代(例:3kgで約6,000円)も追加になります 。また上記のように手術や入院が必要となれば数十万円規模の費用を要することもあります 。高額治療に備える意味でも、ペット保険への加入は検討すると安心です(詳しくは後述)。

膀胱炎が再発しやすい理由と再発予防のポイント

犬の膀胱炎は再発しやすい疾患として知られています。一度治療しても「またすぐぶり返す…」というケースは珍しくありません。再発しやすい主な理由と、日常でできる予防策を確認しましょう。

なぜ膀胱炎は再発しやすい?主な原因

  • 治療の中断・不十分: 前述の通り、抗生剤の自己中断などで膀胱内に菌が残ったり耐性菌が育つと、症状がぶり返します  。完治前に治療を止めてしまうことが再発の最大要因です。
  • 基礎疾患の存在: 糖尿病・クッシング症候群・甲状腺機能低下症など内分泌疾患や、慢性腎不全・前立腺炎・尿路結石・腫瘍などの持病があると膀胱炎が治りにくく、繰り返しやすくなります 。これらの疾患自体が免疫力低下や尿路の防御障害を引き起こすためです 。
  • 全身の免疫低下: 高齢や慢性病、極度のストレス状態にある犬では免疫力が落ち、細菌への抵抗力が下がります 。免疫低下状態そのものが膀胱炎の再発リスクです。特に冬場は寒さで免疫が落ち、水も飲まなくなるため膀胱炎が悪化・再発しやすい季節と言われます 。
  • 尿路の形態異常: 先天的に尿道が狭い・曲がっている、膀胱括約筋の不調など尿路の解剖学的異常がある場合、尿の流れが悪く細菌が繁殖しやすい環境になります 。避妊手術後の一部の雌犬で尿失禁が起こりやすくなるケース(ホルモンバランスの変化による)も報告されていますが、これも慢性的な膀胱炎につながることがあります。
  • 生活環境・習慣: 水をあまり飲まない生活、長時間の排尿我慢、不衛生なトイレ周り、肥満による陰部の不潔など、日常の環境要因も再発に影響します  。例えば留守番が長くトイレを我慢しがちな子や、外散歩でしか排尿しない習慣の子は、膀胱炎が治ってもまた起こしやすい傾向があります。

再発を防ぐための日常ケア・予防法

膀胱炎の再発防止には、日常生活での工夫とケアが欠かせません 。特にメス犬で何度も膀胱炎になる子は、以下の点に気をつけてください。

  • 十分な水分を取らせる: 水をたくさん飲んで頻繁におしっこを出すことで、膀胱内の細菌を洗い流し増殖を防げます 。水飲み場を複数用意したり、新鮮な水にこまめに替える、ドライフードに水やスープを混ぜて与える、ウェットフードを活用するなどして飲水量を増やしましょう 。冬場など犬が水を飲みたがらない時期は特に工夫が必要です(ぬるま湯を与える、薄い犬用スープにする等も有効)。
  • 排尿を我慢させない: トイレを長時間我慢すると膀胱内で細菌が繁殖しやすくなります 。排尿の回数を増やすために、散歩に行く回数・時間を増やす、自宅に室内トイレ(ペットシーツ)を設置していつでも排泄できる環境を作ることが大切です 。お留守番時間が長い場合も、ペットシッターや家族に協力してもらい中間でトイレに出してあげると良いでしょう。
  • 陰部を清潔に保つ: 特に女の子は排尿や排便のたびにデリケートゾーンを清潔に拭いてあげると予防効果があります 。ぬるま湯で絞った清潔なタオルなどで陰部周りを優しく拭き、常在菌まで殺さないよう消毒液は使わないでください 。毛の長い子は肛門・陰部周りの被毛を短くカットすると汚れが付きにくくなります 。
  • 適度な運動・ストレスケア: 毎日の散歩や遊びで適度に身体を動かすことは排尿回数を増やすだけでなく、ストレス発散にもなり免疫力向上に役立ちます 。愛犬とのスキンシップや遊びでリラックスさせ、ストレスを溜めない環境を作りましょう。ストレス過多は抵抗力を落とし膀胱炎を招く一因となるため侮れません 。

以上のような予防策を習慣づけることで、「治ったと思ったのにまたぶり返す」という悪循環を防ぐことが期待できます。ただしどうしても予防しきれない要因もありますので、**定期的な健康診断(尿検査)**を受けて早期発見に努めることも重要です 。

食事管理とおすすめ療法食(食事療法)

膀胱炎の再発予防や尿路結石の管理には、適切な食事管理も欠かせません。 特に結石が原因となった膀胱炎では、再発防止のため療法食への切り替えが有効です 。ここでは犬の膀胱炎ケアに役立つ食事のポイントと、獣医師も推奨する療法食の例を紹介します。

膀胱炎ケアのための食事選びポイント

  • 尿を適切なpHに保つ: 食事中のミネラルバランスが尿のpHに大きく影響します。ストルバイト結石傾向の子には尿を弱酸性に保つ処方食、シュウ酸カルシウム傾向には尿を中性~ややアルカリ性に保つ処方食が有効です  。療法食はそれぞれ目的に合わせてミネラル成分が調整されています。
  • 水分摂取量を増やす工夫: ドライフード中心で水をあまり飲まない子には、ウェットタイプの療法食がおすすめです 。ウェットフードは食事から水分を摂れるため尿量が増え、結石や炎症物質を洗い流しやすくなります 。ドライより風味が強く嗜好性も高いため、食が細い子にも適しています 。
  • 継続しやすい嗜好性: いくら療法食が体に良くても、犬が食べてくれなければ意味がありません。幸い近年の療法食は美味しさにも配慮されたものが多く、例えばチキン風味で飽きにくい工夫がされています 。愛犬の好みに合うフードを獣医師と相談して選びましょう。必要に応じてドライとウェットを組み合わせたり、療法食の種類を変えてみるのも一手です。
  • 獣医師の指示を守る: 療法食はあくまで治療・予防の一環です。自己判断で勝手に開始・中止せず、必ず獣医師の指導に従って与えてください 。特に処方中は他の食べ物やおやつを与えない、適正量を守る、といった注意事項も守りましょう 。

おすすめ療法食

市場には様々な膀胱炎・尿路ケア用の療法食がありますが、ここでは代表的な信頼性の高い療法食をいくつかご紹介します(※購入の際は獣医師に相談を)。

  • ロイヤルカナン 犬用 ユリナリーS/O … 下部尿路疾患(ストルバイト・シュウ酸Ca結石)管理のために特別調製されたフードです。マグネシウムなどミネラルを制限し、尿を適度な酸性に保つことで両タイプの結石形成を防ぎます 。国内外の動物病院で処方実績が多く、信頼性の高い定番療法食です。参考価格は**約8,000円(3kg袋)**程度 。※Amazonや楽天で購入可能(→例:Amazon商品ページ )。
  • ヒルズ プリスクリプションダイエット c/d マルチケア … ヒルズ社の尿ケア用療法食で、ストルバイトとシュウ酸カルシウム結石の両方の形成予防を狙った処方になっています 。カルシウム含有量の調整とクエン酸カリウムの配合により、尿中で結晶ができにくい環境を作ります 。またオメガ3脂肪酸を含み膀胱粘膜の健康維持にも配慮されています 。チキン風味で嗜好性が高く、長期給餌にも適しています  。参考価格は約3,500円(1kg袋) 。※Amazon商品ページあり 。
  • 和漢みらいのドッグフード 特別療法食KE(結石・膀胱炎用) … 日本の獣医師監修で開発された和漢ハーブ配合の療法食です。鹿肉や馬肉を主原料に、アガリクス・霊芝など89種もの和漢植物を配合しており、膀胱炎や結石に配慮した総合栄養食となっています 。無添加・国産で、体質改善を目指す方向けのフードです。価格は約8,250円(1kg×1袋+ハミガキ粉付き) 。楽天市場などの通販で購入できます。

上記のほかにも、ベッツワンPHケア、ビルバック(Virbac)社のストルバイト&シュウ酸ケア食など選択肢は多数あります 。大切なのは愛犬の状態に合ったフードを獣医師と一緒に選ぶことです。また一度療法食を開始したら、勝手に通常食に戻したりせず指示があるまで継続するようにしましょう 。結石体質の子は一生涯ケアが必要になる場合もありますが、適切な食事管理で健康を維持できるケースも多いです。

膀胱炎ケアに役立つサプリメント・便利グッズ紹介

膀胱炎の予防・再発防止には、食事以外にも補助的なサプリメントや便利グッズが役立つことがあります。ここでは飼い主さんから好評のアイテムをいくつかご紹介します。

  • クランベリーサプリメント
    • クランベリー(ツルコケモモ)には尿路の健康維持に有用なプロアントシアニジンやキナ酸が含まれています 。プロアントシアニジンは膀胱内で細菌が粘膜に付着するのを妨げ、キナ酸は尿を健康的なpHに保つのに役立つ成分です 。人間の膀胱炎民間療法としてクランベリージュースが知られますが、犬の場合ジュースでの有効性は証明されていません。しかしクランベリーエキス配合のサプリでは犬の細菌性膀胱炎が改善したとの報告があります 。代表的な製品に、オーガニッククランベリー・ブルーベリー・ラズベリーを粉末にした「クラニマルズ ベリーベリー」などがあります。いつもの食事に振りかけるだけで手軽に導入でき、尿トラブル対策サプリとして人気です。
  • 給水器・ウォーターファウンテン
    • 水分摂取を促す工夫として、犬用の自動給水器(循環型のウォーターファウンテン)は有効です。常に新鮮で流れのある水が出てくるため興味を引き、水嫌いの子でも飲む量が増えることがあります。また高さのある給水スタンドを使うと大型犬でも飲みやすく、シニア犬の関節への負担も減らせます。市販の給水器や循環式水飲み器を活用し、愛犬がいつでも清潔な水を十分飲める環境を整えましょう 。
  • 犬用オムツ・マナーウェア
    • 膀胱炎で頻尿や失禁がある時期には、犬用オムツ(おむつ)やマナーベルトが役立ちます。一時的に室内で粗相してしまう場合でも、オムツを付けておけば家を汚さずに済み、飼い主さんのストレスも軽減します。特にメス犬用オムツ、オス犬用の腹巻タイプのマナーウェアが市販されています。長時間の留守番時や就寝時だけ付けるなどして、治療中の衛生対策に活用してください(皮膚が蒸れないようこまめに交換しましょう)。
  • その他の便利グッズ
    • 膀胱炎予防にはトイレ環境の整備もポイントです。例えば大型のペットシーツやトイレトレーを使って排泄しやすくする、消臭抗菌効果のあるトイレ用マットで清潔を保つ、などの工夫も有効です。また、尿チェックができるペット用尿試験紙も市販されています。定期的に尿を調べ、pHや潜血反応の異常を早期発見するツールとして活用している飼い主さんもいます。

これらサプリやグッズはあくまで補助ではありますが、上手に取り入れることで膀胱炎の再発リスクを下げ、愛犬のQOL(生活の質)を向上させる助けになります。愛犬に合いそうなものがあれば、獣医師にも相談の上ぜひ試してみてください。

ペット保険の検討~費用負担と再発時の備え~

膀胱炎の治療費は症状の程度によっては高額になることがあります。頻繁に再発する場合、検査や治療を繰り返す経済的負担もばかになりません。そこでペット保険への加入も視野に入れておきましょう。

一般に、犬の膀胱炎はほとんどのペット保険で補償対象となっています 。基本的には保険適用できる病気ですが、保険会社ごとに補償割合や限度額、適用条件(慢性疾患の扱いなど)は異なるため、事前に契約内容を確認しておくことが重要です 。例えばある保険では膀胱炎の治療費を50%補償、年間限度○万円までという設定かもしれません。他社では70%補償プランもあります。

特に膀胱炎が慢性化・再発を繰り返す場合は、トータル費用がかさみやすくなります。実際、ある保険会社のデータでは犬の膀胱炎で一例約3.7万円の保険金支払い(治療費の支払い例)との報告もあります 。保険に入っていればこうした金額の一部(または大部分)が補償されるため、経済的な安心感が違います。

ペット保険選びのポイント: 膀胱炎のように繰り返し起こりうる疾患に備えるには、更新後も持病を補償してくれるタイプの保険(終身継続補償)が望ましいです。膀胱炎を1回発症した後でも、次回以降も条件なく補償されるかを各社比較しましょう。また尿路結石の手術など高額治療にも対応できる手術費補償額もチェックしてください。

まとめると、「膀胱炎+保険」は心強い組み合わせです 。保険料との兼ね合いもありますが、愛犬の健康とご自身の安心のため、膀胱炎治療の補償内容に優れたプランへの加入を検討してみてください。

よくある質問:犬の膀胱炎Q&A

Q1. オス犬も膀胱炎になりますか?メスだけですか。

A. オス犬も膀胱炎になりますが、メス犬より発症頻度は低いです。 メスは尿道が短く太いため細菌が侵入しやすく膀胱炎になりやすいですが、オスは尿道が長く前立腺から抗菌物質が出ることもあり発症しにくい傾向があります 。ただし完全にならないわけではありません。特に高齢のオス犬や去勢済みのオス猫では尿道が細くなっているため油断禁物です 。オスで膀胱炎症状(頻尿や血尿)が出た場合も放置せず、必ず受診しましょう。

Q2. 犬の膀胱炎は自然に治ることもありますか?

A. 自然治癒は期待せず、必ず治療を受けてください。細菌性膀胱炎の場合、適切な抗生物質で治療しないと完治は難しく、放置すれば悪化して腎盂腎炎など命に関わる合併症を起こす恐れもあります 。症状が軽いからと様子見していると、慢性化して治りにくくなったり結石が形成されたりするリスクがあります。愛犬のためにも、膀胱炎が疑われる症状に気付いたら早めに動物病院で適切な処置を受けましょう 。

Q3. 血尿が出ているのですが、すぐに病院に行くべきですか?

A. はい、早急に受診してください。 血尿は膀胱炎の典型症状の一つですが、同時に尿路結石や腫瘍など他の深刻な原因の可能性もあります 。特にオス犬で尿が出にくい状態を伴う血尿は、尿道閉塞による尿毒症の前触れのことがあります 。また大量の出血や血の塊で尿道が詰まることもあり得ます。放置すると腎不全など危険な状態に陥るケースも報告されています 。血尿に気付いたら「様子を見る」のではなくできるだけ早く獣医師の診察を受け、安全な処置をしてもらってください。

Q4. 膀胱炎の再発を防ぐために家庭でできることは何ですか?

A. 水分をたっぷり摂らせ、排尿回数を増やすことが最大のポイントです 。常に新鮮な水を飲めるようにして、おしっこを我慢させない生活環境を整えましょう 。散歩の回数を増やしたり、室内トイレを活用してもOKです。また排泄後に陰部を清潔に拭く習慣も予防に役立ちます 。さらに食事面では獣医師推奨の療法食への切り替えや、クランベリーサプリの利用なども効果が期待できます 。日常の小さな工夫の積み重ねが再発防止につながりますので、ぜひ本文の「再発予防のポイント」を参考にしてみてください。

Q5. 膀胱炎の治療中、家で犬を安静にさせるべきですか?

A. 極度の安静は必要ありませんが、犬が快適に過ごせるよう配慮しましょう。膀胱炎自体で激しい運動制限は不要です。むしろ適度な散歩は排尿促進に良い影響があります 。ただし排尿痛がある間は無理に長距離歩かせず、犬の様子に合わせて散歩時間を短くするなど調整してください。自宅では清潔なトイレを用意し、水もいつでも飲めるようにします。暖かく静かな環境でしっかり休ませ、ストレスを与えないよう心がけてください。状況によってはペット用オムツを活用し、粗相しても叱らずにケアしましょう。犬がリラックスできる環境づくりも治療の一部と考えてください。

Q6. 膀胱炎は再発しやすいとのことですが、一生付き合う病気でしょうか?

A. ケースバイケースですが、適切な治療と予防でコントロール可能です。確かに膀胱炎は再発することが多い病気です。しかしその背景にある原因(結石や基礎疾患など)を治療・管理し、前述のような予防策を徹底すれば再発間隔を延ばしたり発症自体を防げる場合もあります 。実際、療法食を続けたら結石ができなくなり膀胱炎も起こっていない例や、避妊手術後のホルモン剤投与で失禁が治まり膀胱炎が改善した例などがあります。大切なのは長期的な視点でケアを続けることです。獣医師と二人三脚で管理すれば、決して悲観する必要はありません。

以上、犬の膀胱炎について総合的に解説しました。愛犬が膀胱炎になってしまった飼い主さんは、不安も大きいと思いますが、適切な治療でほとんどは改善します。再発予防に努めつつ、愛犬の健やかな生活をサポートしていきましょう。お困りの際は早めにかかりつけ獣医師に相談し、ベストな対応をとってください。

  • この記事を書いた人
院長

院長

国公立獣医大学卒業→→都内1.5次診療へ勤務→動物病院の院長。臨床10年目の獣医師。 犬と猫の予防医療〜高度医療まで日々様々な診察を行っている。

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