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【獣医師解説】犬の外耳炎|臭い・繰り返す原因とアレルギーとの深い関係

「愛犬の耳がなんだか臭い」「しきりに頭を振っている」「何度治療しても外耳炎が繰り返す」——こんなお悩みを抱えている飼い主さんは、実はとても多いです。犬の外耳炎は、動物病院で最も多く診られる病気のひとつであり、全体の診察件数の約10〜20%を占めるとも言われています。

外耳炎は「ただの耳の汚れ」と軽く考えられがちですが、放置すると中耳炎や内耳炎へと進行し、聴覚障害や平衡感覚の異常を引き起こすこともある深刻な病気です。さらに、何度も繰り返す外耳炎の背景には、アレルギーが隠れていることが非常に多いのです。

この記事では、獣医師の視点から犬の外耳炎について、原因・症状・治療法・予防策までを網羅的にわかりやすく解説します。特に「なぜ繰り返すのか」「アレルギーとどう関係するのか」という点に重点を置いて、飼い主さんが自宅でできるケアから動物病院での治療まで、具体的にお伝えしていきます。

ポイント
犬の外耳炎は非常に一般的な病気ですが、繰り返す場合はアレルギーなどの基礎疾患が隠れている可能性が高いです。早期発見・早期治療が大切であり、根本原因を特定することが完治への近道です。

犬の外耳炎とは?耳の構造から理解しよう

外耳炎とは、耳の入り口から鼓膜までの「外耳道」と呼ばれる部分に炎症が起きる病気です。人間にも外耳炎はありますが、犬は耳の構造上、人間よりもはるかに外耳炎になりやすいという特徴があります。

犬の耳の構造:L字型の耳道がポイント

犬の耳道は人間と大きく異なり、L字型の構造をしています。まず耳の入り口から垂直に下がる「垂直耳道」があり、その後ほぼ直角に曲がって水平に伸びる「水平耳道」があります。この水平耳道の奥に鼓膜が位置しています。

このL字型の構造にはいくつかの重要な意味があります。まず、耳の奥が外から見えにくいため、飼い主さんが異常に気づきにくいという点です。また、耳道が曲がっているため、耳垢や分泌物が溜まりやすく、湿気がこもりやすい環境になります。

さらに、犬の耳道にはアポクリン腺(耳垢腺)と皮脂腺が多く存在し、これらが分泌する耳垢や皮脂が微生物の栄養源となります。健康な状態では、耳の自浄作用(上皮移動)によって耳垢は自然に外へ排出されますが、何らかの原因でこのバランスが崩れると外耳炎が発症します。

ポイント
犬の耳道はL字型に曲がっているため、通気性が悪く、湿気や汚れが溜まりやすい構造です。特に垂れ耳の犬種では耳道の入り口がふさがれるため、さらにリスクが高くなります。人間のように綿棒で奥まで掃除しようとすると、かえって汚れを押し込んでしまったり、耳道を傷つけたりする危険があります。

外耳・中耳・内耳の違い

犬の耳は大きく「外耳」「中耳」「内耳」の3つの部分に分けられます。外耳は耳介(耳たぶ)と外耳道からなり、音を集めて鼓膜に伝える役割を持っています。中耳は鼓膜の奥にある空間で、耳小骨(つち骨・きぬた骨・あぶみ骨)が振動を増幅して内耳に伝えます。

内耳にはカタツムリ型の蝸牛(かぎゅう)と三半規管があり、音の感知と平衡感覚を担っています。外耳炎が悪化して中耳や内耳にまで炎症が広がると、難聴やめまい、顔面神経麻痺などの重篤な症状が出ることがあるのです。

部位構造役割炎症時の症状
外耳耳介+外耳道音を集めて鼓膜に伝える耳垢の増加、臭い、かゆみ
中耳鼓室+耳小骨音の振動を増幅して伝える痛み、難聴、顔面神経麻痺
内耳蝸牛+三半規管音の感知と平衡感覚めまい、旋回運動、眼振
このセクションのまとめ
犬の耳道はL字型で通気性が悪く、外耳炎を起こしやすい構造です。外耳炎を放置すると中耳炎・内耳炎に進行する恐れがあるため、早期発見と適切な治療が重要です。

犬の外耳炎の原因:5つの主な要因

犬の外耳炎の原因は非常に多岐にわたります。獣医学では、原因を「主因」「副因」「素因」「持続因子」に分類して考えますが、ここでは飼い主さんにわかりやすいよう、主な5つの原因を中心に解説します。

1. 細菌感染

細菌による外耳炎は非常に一般的です。健康な犬の耳にも少数の細菌は常在していますが、耳の環境が悪化すると異常繁殖を起こし、炎症を引き起こします。

外耳炎でよく見られる細菌には、ブドウ球菌(スタフィロコッカス)や連鎖球菌(ストレプトコッカス)があります。これらは比較的治療に反応しやすい細菌です。

一方、重症化した外耳炎や慢性的な外耳炎では、緑膿菌(シュードモナス)が検出されることがあります。緑膿菌は多くの抗菌薬に対して耐性を持つことがあり、治療が難しくなるケースがあります。

⚠️ 注意
緑膿菌による外耳炎は、一般的な抗菌薬では効果がないことがあります。何度治療しても改善しない場合は、耳垢の細菌培養検査と薬剤感受性試験を行って、有効な抗菌薬を特定する必要があります。自己判断で市販の点耳薬を使い続けることは、耐性菌を生むリスクがあるため避けましょう。

2. マラセチア(酵母菌)感染

マラセチアは犬の皮膚や耳に常在する酵母菌(カビの一種)です。健康な状態では問題を起こしませんが、耳の中の環境が高温多湿になったり、皮脂の分泌が増えたりすると異常増殖し、外耳炎を引き起こします。

マラセチアによる外耳炎には特徴的な症状があります。茶褐色〜黒っぽいベタベタした耳垢が大量に出ること、そして独特の酵母臭(甘酸っぱいような発酵臭)がすることです。

マラセチアは皮脂を栄養源として増殖するため、脂漏体質の犬や、アレルギーで皮脂分泌が亢進している犬に多く見られます。特にアトピー性皮膚炎の犬では、マラセチア性外耳炎を併発することが非常に多いです。

3. 耳ダニ(ミミヒゼンダニ)

耳ダニ(ミミヒゼンダニ、学名:オトデクテス)は、犬の外耳道に寄生する微小なダニです。耳ダニは耳道の表面の皮膚のかけらや組織液を食べて生活し、激しいかゆみを引き起こします。

耳ダニに感染すると、黒っぽい乾燥した耳垢(コーヒーかすのような)が大量に出ます。犬は激しいかゆみのために耳を掻きむしったり、頭を激しく振ったりします。

耳ダニは接触感染するため、多頭飼育の場合は全頭を同時に治療する必要があります。子犬や保護犬で特に多く見られます。

4. 異物

草の種(ノギ)、砂、虫などが耳の中に入り込むことで外耳炎が起こることがあります。特に秋の散歩では、イネ科植物の穂先(ノギ)が耳に入り込みやすいです。

異物による外耳炎は通常片耳だけに発症し、突然の激しいかゆみや痛みが特徴です。犬は耳を地面にこすりつけたり、頭を傾けたりする仕草を見せます。

異物が耳道の奥に入り込んでしまうと、鼓膜を傷つける恐れがあるため、無理に取り出そうとせず、すぐに動物病院を受診してください。

5. 腫瘍・ポリープ

耳道内にできる腫瘍やポリープも外耳炎の原因になります。良性の腫瘍としては耳垢腺腫乳頭腫が、悪性の腫瘍としては耳垢腺癌扁平上皮癌が挙げられます。

腫瘍による外耳炎は高齢犬に多く、片耳だけの慢性的な外耳炎や、血の混じった耳垢が出るなどの特徴があります。治療に反応しない片側性の慢性外耳炎では、腫瘍の可能性を考慮する必要があります。

原因耳垢の特徴臭い多い年齢片耳/両耳
細菌感染黄色〜黄緑色の膿状強い腐敗臭全年齢片耳または両耳
マラセチア茶褐色〜黒、ベタベタ甘酸っぱい発酵臭全年齢両耳が多い
耳ダニ黒っぽい乾燥した粒状軽度子犬に多い両耳が多い
異物様々二次感染時に臭い全年齢片耳が多い
腫瘍血混じりの場合あり二次感染時に臭い高齢犬片耳が多い
✅ チェックリスト
以下の項目に当てはまる場合は早めに受診しましょう。
・耳から強い臭いがする
・耳垢の量が急に増えた
・耳垢の色がいつもと違う(黄色、黒、血混じり)
・頭を振る回数が増えた
・耳を触ると嫌がる、痛がる
・片耳だけ症状がある
このセクションのまとめ
外耳炎の原因は細菌、マラセチア、耳ダニ、異物、腫瘍など多岐にわたります。原因によって耳垢の色や臭いが異なるため、これらの特徴を把握しておくと早期発見に役立ちます。適切な治療のためには原因の特定が不可欠です。

アレルギーが引き起こす外耳炎のメカニズム

繰り返す外耳炎の最も一般的な原因はアレルギーです。実際、慢性外耳炎の犬の50〜80%にアレルギーが関与しているとされています。ここでは、アレルギーがどのようにして外耳炎を引き起こすのか、そのメカニズムを詳しく解説します。

アレルギーと外耳炎の関係

犬のアレルギーには大きく分けて「アトピー性皮膚炎」と「食物アレルギー」の2種類があります。どちらのアレルギーも外耳炎を引き起こす可能性がありますが、そのメカニズムは基本的に共通しています。

アレルギー反応が起こると、免疫細胞がヒスタミンなどの炎症性物質を放出します。これにより耳道の皮膚に炎症が生じ、以下のような変化が連鎖的に起こります。

第1段階:皮膚バリアの低下
アレルギーによる慢性的な炎症で、耳道の皮膚バリア機能が低下します。正常な皮膚は細菌や真菌の侵入を防ぐバリアとして機能していますが、この防御機能が弱まります。

第2段階:分泌物の増加
炎症により耳垢腺や皮脂腺の分泌が亢進し、耳道内に分泌物が過剰に溜まります。この分泌物は細菌やマラセチアにとって絶好の栄養源となります。

第3段階:微生物の異常増殖
皮膚バリアの低下と栄養源の増加により、もともと少数存在していた常在菌が異常増殖します。特にマラセチアやブドウ球菌が爆発的に増え、二次感染を起こします。

第4段階:さらなる炎症の悪化
増殖した微生物がさらに炎症を悪化させ、耳道の腫脹(はれ)や狭窄(せばまること)が進行します。これにより耳道の通気性がさらに悪化し、悪循環に陥ります。

⚠️ 注意
アレルギーが原因の外耳炎は、点耳薬だけで治療しても根本的には治りません。点耳薬で炎症や感染を抑えても、アレルギーという根本原因が解決されていなければ、薬をやめるとすぐに再発します。「何度も繰り返す外耳炎」の多くはこのパターンです。

アトピー性皮膚炎と外耳炎

アトピー性皮膚炎は、環境中のアレルゲン(花粉、ハウスダスト、ダニなど)に対する過剰な免疫反応です。犬のアトピー性皮膚炎では、約80%の症例で外耳炎が見られるとされ、場合によっては外耳炎が唯一の症状であることもあります。

アトピー性皮膚炎による外耳炎は通常両耳に発症し、季節性がある場合もあります(花粉が原因の場合)。多くの場合、体の他の部位にもかゆみや皮膚炎が見られ、特に足先、脇の下、お腹、目の周りにも症状が出やすいです。

発症年齢は1〜3歳が多く、若い犬で繰り返す外耳炎がある場合はアトピー性皮膚炎を疑う必要があります。

食物アレルギーと外耳炎

食物アレルギーは、特定の食材のタンパク質に対する免疫反応です。犬で多いアレルゲンとしては、牛肉、乳製品、小麦、鶏肉、大豆、ラム肉などが挙げられます。

食物アレルギーによる外耳炎は季節に関係なく年中症状が出るのが特徴です。また、消化器症状(下痢、嘔吐、軟便)を伴うこともありますが、皮膚症状だけの場合もあります。

食物アレルギーの診断には除去食試験(新奇タンパク食や加水分解食を8〜12週間与える試験)が最も信頼性の高い方法です。血液検査によるアレルギー検査は、食物アレルギーについては信頼性が低いとされています。

特徴アトピー性皮膚炎食物アレルギー
好発年齢1〜3歳年齢を問わない
季節性あり(花粉の場合)なし(通年性)
消化器症状通常なし伴うこともある
皮膚症状の分布足先、脇、耳、目の周り耳、肛門周囲、足先
診断方法アレルギー検査、除外診断除去食試験
ステロイドへの反応良好やや劣る場合あり
ポイント
外耳炎が年に3回以上再発する場合や、治療しても完全に良くならない場合は、アレルギーが背景にある可能性が非常に高いです。動物病院でアレルギーの検査について相談してみましょう。
このセクションのまとめ
アレルギーは慢性・再発性外耳炎の最も一般的な原因です。アレルギーによる炎症が皮膚バリアを低下させ、二次感染を招く悪循環を生みます。アトピー性皮膚炎と食物アレルギーでは特徴が異なり、それぞれに応じた診断・治療が必要です。

外耳炎になりやすい犬種:好発犬種とそのリスク要因

外耳炎はすべての犬種で発症する可能性がありますが、耳の形状や体質によって特にリスクが高い犬種があります。ここでは、好発犬種とそのリスク要因について解説します。

垂れ耳の犬種

垂れ耳の犬種は、耳介が耳道の入り口を覆い隠すため、耳道内の通気性が悪くなります。湿気がこもりやすく、細菌やマラセチアが繁殖しやすい環境になるため、外耳炎のリスクが高まります。

代表的な垂れ耳の好発犬種には以下のような犬種があります。

コッカー・スパニエルは外耳炎の発症率が非常に高い犬種として知られています。垂れ耳に加えて耳道内の分泌腺が多く、さらに耳道内に毛が生えやすいという三重のリスク要因を持っています。アメリカン・コッカー・スパニエルでは脂漏体質も加わり、マラセチア性外耳炎になりやすいです。

ラブラドール・レトリーバーゴールデン・レトリーバーも外耳炎が多い犬種です。水遊びが好きな犬種であり、耳に水が入ることで外耳炎のリスクがさらに高まります。また、アトピー性皮膚炎の好発犬種でもあるため、アレルギー性外耳炎も多く見られます。

ビーグルバセット・ハウンドダックスフンドなども垂れ耳の代表的な好発犬種です。

耳道内に毛が多い犬種

プードル、シュナウザー、マルチーズ、ヨークシャー・テリアなどは、耳道内に毛が密生しやすい犬種です。耳道内の毛は通気性を妨げるだけでなく、耳垢や分泌物が毛に絡まって排出されにくくなるため、外耳炎のリスクが高まります。

これらの犬種では、トリミングの際に耳毛の処理を行うことがありますが、無理に毛を抜くとかえって炎症を引き起こすこともあるため、獣医師と相談しながら適切なケアを行うことが大切です。

アレルギー体質の犬種

アトピー性皮膚炎になりやすい犬種は、アレルギー性外耳炎のリスクも高くなります。代表的な犬種としては、柴犬フレンチ・ブルドッグウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアシー・ズーなどが挙げられます。

特に柴犬は日本で最も多い犬種のひとつであり、アトピー性皮膚炎に伴う外耳炎で動物病院を受診するケースが非常に多いです。柴犬は立ち耳ですが、アレルギー体質のため外耳炎が多いという特徴があります。

リスク要因代表的な犬種主な理由
垂れ耳コッカー・スパニエル、ラブラドール、ゴールデン、ビーグル、バセット、ダックスフンド耳道の通気性が悪い
耳道内の毛プードル、シュナウザー、マルチーズ、ヨークシャー・テリア毛が通気性を妨げ汚れが溜まる
アレルギー体質柴犬、フレンチ・ブルドッグ、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、シー・ズーアレルギーによる炎症
耳道が狭いシャー・ペイ、ブルドッグ耳道が狭く通気性が悪い
水遊び好きラブラドール、ゴールデン、スパニエル系耳に水が入りやすい
✅ チェックリスト
あなたの愛犬は外耳炎のリスクが高い犬種ですか?
・垂れ耳の犬種である
・耳の中に毛が多い犬種である
・アレルギー体質の犬種である
・水遊びが好き、またはよく耳に水が入る
・過去に外耳炎を発症したことがある
上記に1つでも当てはまる場合は、定期的な耳のチェックを心がけましょう。
このセクションのまとめ
垂れ耳、耳道内の毛が多い犬種、アレルギー体質の犬種は外耳炎のリスクが高いです。これらの犬種を飼っている場合は、日常的な耳のチェックと適切なケアが特に重要になります。

犬の外耳炎の症状:臭い・耳垢・かゆみのサインを見逃さない

外耳炎の早期発見には、日頃から愛犬の耳の状態を観察しておくことが大切です。ここでは、外耳炎の代表的な症状について、初期から重症まで段階的に解説します。

初期症状:見逃しやすいサイン

外耳炎の初期段階では、症状が軽微で飼い主さんが気づきにくいことがあります。最も早い段階で現れるのが、耳を気にする仕草です。耳を後ろ足で掻く回数が少し増えたり、頭を時々振ったりする程度の変化です。

耳の中を見ると、正常よりもやや赤みがかっている場合があります。また、耳垢の量がいつもより少し多くなったり、色がやや変化したりすることもあります。この段階で適切な治療を開始できれば、比較的短期間で改善することが多いです。

典型的な症状

外耳炎が進行すると、以下のような典型的な症状が現れます。

耳の臭いは外耳炎の最もわかりやすいサインのひとつです。正常な耳にはほとんど臭いがありませんが、外耳炎になると独特の不快な臭いが発生します。臭いの種類は原因によって異なり、細菌感染では腐敗臭、マラセチア感染では甘酸っぱい発酵臭がすることが多いです。

耳垢の変化も重要なサインです。正常な耳垢は薄い黄色〜薄茶色で少量ですが、外耳炎では耳垢の量が増え、色や性状が変化します。黄色い膿状の耳垢は細菌感染、茶褐色でベタベタした耳垢はマラセチア感染、黒い乾燥した粒状の耳垢は耳ダニ感染を示唆します。

かゆみは外耳炎で最も多い症状です。犬は耳を後ろ足で激しく掻いたり、家具や床に耳をこすりつけたりします。掻くことで耳介に傷がつき、そこから出血したり、さらに感染が広がったりする悪循環が生じます。

頭を振る動作も外耳炎の特徴的な症状です。耳の中の不快感や異物感を解消しようとして、犬は頭を激しく振ります。この動作が激しいと、耳介の内側の血管が破れて耳血腫(耳たぶに血液が溜まって風船のように膨れる状態)を起こすことがあります。

⚠️ 注意
頭を激しく振る動作は耳血腫の原因になります。耳血腫は耳介が風船のように腫れ上がる状態で、治療しないと耳がカリフラワーのように変形してしまいます。外耳炎の症状が出たら、頭を振る動作がひどくなる前に早めに受診しましょう。

重症の症状

外耳炎が重症化すると、以下のような症状が現れます。

耳道の腫脹と狭窄:炎症が強くなると耳道の壁が腫れ上がり、耳道が狭くなります。重度の場合は完全に耳道が閉塞してしまうこともあります。こうなると点耳薬が届かなくなるため、治療が困難になります。

痛み:軽度の外耳炎ではかゆみが主体ですが、重症化すると強い痛みを伴うようになります。耳を触ると悲鳴を上げたり、攻撃的になったりする犬もいます。食事を嫌がったり、元気がなくなったりすることもあります。

耳道の慢性的な変化:長期間放置された外耳炎では、耳道の皮膚が厚くなり(肥厚)、石灰化(骨化)が起こることがあります。この段階まで進行すると、内科的な治療では改善が難しく、手術(全耳道切除術)が必要になることもあります。

ポイント
外耳炎の症状の重症度を把握するために、以下の段階を参考にしてください。
軽度:軽い赤み、少量の耳垢増加、時々耳を気にする
中等度:明らかな赤み・腫れ、耳垢の増加、臭い、頻繁に掻く・頭を振る
重度:耳道の腫脹・狭窄、強い痛み、膿性の分泌物、元気食欲の低下

耳垢の色と原因の関係

耳垢の色や性状は、外耳炎の原因を推測する重要な手がかりになります。ただし、あくまでも参考情報であり、正確な診断には動物病院での検査が必要です。

耳垢の色・性状疑われる原因臭いの特徴
黄色〜黄緑色、膿状細菌感染(特に緑膿菌)強い腐敗臭・生臭い
茶褐色〜チョコレート色、ベタベタマラセチア感染甘酸っぱい発酵臭
黒い乾燥した粒状耳ダニ比較的軽度
赤みがかった茶色アレルギー性(軽度)軽度〜中等度
血混じり腫瘍、異物、重度の炎症血液臭
このセクションのまとめ
外耳炎の症状は、初期の軽い耳の赤みから、重度の耳道狭窄・強い痛みまで幅広いです。耳の臭い、耳垢の色や量の変化、頭を振る仕草、耳を掻く頻度の増加などが主なサインです。早期発見・早期治療が重症化を防ぐ鍵となります。

犬の外耳炎の診断方法

動物病院での外耳炎の診断は、視診から始まり、必要に応じてさまざまな検査が行われます。ここでは、一般的な診断の流れと各検査について解説します。

問診と視診

まず獣医師は、症状がいつから始まったか、片耳か両耳か、過去に外耳炎の既往があるか、アレルギーの有無、使用しているフードやおやつ、生活環境などについて質問します。これらの情報は原因の推定に非常に役立ちます。

次に、耳介(耳たぶ)の外側と内側を視診します。耳介の赤み、腫れ、傷、脱毛などがないかを確認します。耳垢の色や性状も重要な情報です。

耳鏡検査(ビデオオトスコープ検査)

耳鏡(オトスコープ)は、耳道の奥を観察するための器具です。光源と拡大レンズが付いており、外耳道の状態や鼓膜を直接観察できます。

耳鏡検査では以下の点を確認します。

・耳道の壁の状態(赤み、腫れ、肥厚、潰瘍)
・耳垢や分泌物の量と性状
・異物の有無
・腫瘍やポリープの有無
・鼓膜の状態(正常、破裂、膨隆)

最近ではビデオオトスコープを導入している動物病院も増えています。ビデオオトスコープはモニターに拡大画像を映し出せるため、より詳細な観察が可能です。また、飼い主さんにもリアルタイムで耳の中の状態を見てもらうことができます。

ポイント
耳鏡検査で鼓膜の状態を確認することは非常に重要です。鼓膜が破れている場合、使用できる点耳薬の種類が制限されます。一部の点耳薬は中耳に入ると聴覚障害を引き起こす可能性があるため、鼓膜の状態を確認せずに点耳薬を使用することは危険です。

耳垢の顕微鏡検査(細胞診)

耳垢を綿棒で採取し、スライドガラスに塗りつけて顕微鏡で観察する検査です。これは外耳炎の診断で最も基本的かつ重要な検査のひとつです。

顕微鏡検査では、以下のことがわかります。

細菌の有無と種類:球菌(丸い形の細菌)か桿菌(棒状の細菌)かを判別できます。桿菌が多い場合は緑膿菌の可能性が高く、治療方針に影響します。

マラセチアの有無と量:マラセチアは特徴的な「だるま型」をしているため、顕微鏡で容易に確認できます。1視野あたりの数で感染の程度を評価します。

炎症細胞の有無:白血球(好中球)が多い場合は活発な感染が起きていることを示します。

耳ダニの有無:耳ダニの成虫や卵を確認できます。

細菌培養検査と薬剤感受性試験

慢性的な外耳炎や治療に反応しない外耳炎では、耳垢を専門の検査機関に送って細菌培養検査を行います。この検査では、どのような細菌が増殖しているかを正確に同定し、さらにどの抗菌薬が有効かを調べる薬剤感受性試験を行います。

この検査は結果が出るまでに数日〜1週間程度かかりますが、特に緑膿菌などの耐性菌が疑われる場合や、一般的な治療で改善しない場合には非常に重要な検査です。

その他の検査

必要に応じて以下の検査が行われることもあります。

画像検査:レントゲン検査やCT検査は、中耳炎や内耳炎が疑われる場合、耳道の骨化が進んでいる場合、腫瘍が疑われる場合などに行われます。特にCT検査は耳道や中耳の詳細な評価に優れています。

アレルギー検査:血液検査によるアレルゲン特異的免疫グロブリン検査や、皮内反応試験などがあります。ただし、これらの検査は偽陽性・偽陰性の問題があるため、臨床症状と合わせて総合的に判断する必要があります。

甲状腺機能検査:中高齢犬で外耳炎が繰り返す場合、甲状腺機能低下症が背景にあることがあります。血液検査で甲状腺ホルモン値を測定します。

⚠️ 注意
外耳炎の治療前に必ず耳垢の検査を受けることが重要です。原因がわからないまま闇雲に薬を使うと、効果がないだけでなく、耐性菌の出現症状の悪化を招くことがあります。「とりあえず点耳薬」ではなく、正確な診断に基づいた治療を受けましょう。
このセクションのまとめ
外耳炎の診断には、耳鏡検査、耳垢の顕微鏡検査(細胞診)が基本です。慢性例や難治例では細菌培養検査や画像検査が必要になります。原因を正確に特定することが適切な治療への第一歩です。

犬の外耳炎の治療:耳洗浄・点耳薬・全身薬

外耳炎の治療は、原因と重症度に応じて異なります。ここでは、動物病院で行われる標準的な治療法について、段階的に解説します。

耳洗浄(イヤークリーニング)

耳洗浄は外耳炎治療の最も基本的なステップです。耳道内に溜まった耳垢や分泌物を取り除き、点耳薬が効果的に作用できる環境を整えます。

動物病院での耳洗浄は、専用のイヤークリーナー(耳洗浄液)を耳道に注入し、耳の付け根をやさしくマッサージして汚れを浮かせた後、犬に頭を振らせて排出させるという手順で行います。重度の場合は、耳鏡やビデオオトスコープを使いながら、より丁寧な洗浄が必要になります。

イヤークリーナーにはさまざまな種類があり、主に以下の成分が含まれています。

界面活性剤:耳垢を分解・溶解する作用があります。
乾燥剤:耳道内の余分な水分を除去し、乾燥した環境を保ちます。
酸性化剤:耳道内を弱酸性に保ち、細菌やマラセチアの増殖を抑制します。
消毒成分:クロルヘキシジンなどの消毒成分が含まれるものもあります。

⚠️ 注意
鼓膜が破れている場合は、使用できるイヤークリーナーが限られます。一部のイヤークリーナーに含まれる成分が中耳に入ると聴覚障害を引き起こす危険があります。必ず獣医師の指示のもとで適切な製品を使用してください。自己判断で市販のイヤークリーナーを使用することは避けましょう。

点耳薬

点耳薬は外耳炎治療の中心となる治療法です。原因に応じて、さまざまな成分が含まれた点耳薬が使用されます。

抗菌薬含有点耳薬:細菌感染に対して使用します。ゲンタマイシン、ポリミキシンB、エンロフロキサシン、マルボフロキサシンなどの抗菌薬が含まれます。

抗真菌薬含有点耳薬:マラセチアやその他の真菌感染に対して使用します。ミコナゾール、クロトリマゾール、ケトコナゾールなどが含まれます。

ステロイド含有点耳薬:炎症を抑える目的で使用します。ほとんどの外耳炎用点耳薬にはステロイドが含まれており、かゆみや腫れを速やかに改善します。

多くの外耳炎用点耳薬は、これら3つの成分を合剤として含んでいます。代表的な製品には、抗菌薬+抗真菌薬+ステロイドの3成分が配合された点耳薬があり、細菌とマラセチアの混合感染に対応できます。

最近では、1回の投与で1〜4週間効果が持続する長時間作用型の点耳薬も登場しています。これは動物病院で獣医師が投与するタイプで、自宅での点耳が難しい犬や、飼い主さんの負担を軽減したい場合に適しています。

点耳薬の種類主な成分対象投与頻度
一般的な合剤抗菌薬+抗真菌薬+ステロイド細菌・マラセチア混合感染1日1〜2回、7〜14日間
長時間作用型フルオロキノロン+抗真菌薬+ステロイド一般的な外耳炎1回投与で1〜4週間持続
抗ダニ点耳薬イベルメクチンなど耳ダニ製品により異なる

全身薬(内服薬・注射薬)

重度の外耳炎や、点耳薬だけでは十分な効果が得られない場合には、全身薬が併用されます。

抗菌薬の内服:重度の細菌感染や中耳炎を併発している場合に使用します。外耳炎だけであれば、通常は点耳薬で十分ですが、全身的な治療が必要な場合もあります。

抗真菌薬の内服:重度のマラセチア感染や、全身の皮膚にもマラセチア感染がある場合に使用します。ケトコナゾール、イトラコナゾールなどが用いられます。

ステロイドの内服:強い炎症や耳道の狭窄がある場合に、短期間使用されることがあります。炎症を速やかに抑え、耳道を広げて点耳薬が届くようにする目的で使用されます。

鎮痛薬:痛みが強い場合には、非ステロイド性消炎鎮痛薬などが使用されることがあります。

駆虫薬:耳ダニの治療には、スポットオンタイプの駆虫薬(セラメクチン、モキシデクチンなど)が効果的です。これらは耳だけでなく体表のダニやノミにも有効です。

ポイント
点耳薬の効果を最大限に発揮させるためには、正しい手順で投与することが重要です。
1. 耳洗浄で耳垢を除去する
2. 耳道の水分を拭き取る
3. 指定された量の点耳薬を耳道に滴下する
4. 耳の付け根を30秒程度やさしくマッサージする
5. 犬が頭を振らないようにしばらく保定する
処方された期間は症状が改善しても最後まで使い切ることが大切です。

外科治療

慢性的な外耳炎で耳道の肥厚や骨化が進み、内科治療では改善が見込めない場合には、外科治療が検討されます。

外側耳道切開術(ゼップ手術):垂直耳道の外側の壁を切開して開放し、耳道の通気性を改善する手術です。比較的軽度の慢性例に適応されます。

全耳道切除術+鼓室胞骨切り術:耳道全体と中耳の鼓室胞を外科的に切除する手術です。重度の慢性外耳炎や中耳炎、耳道の腫瘍などで適応されます。この手術を行うと聴覚は失われますが、慢性的な痛みや感染から解放されます。

このセクションのまとめ
外耳炎の治療は耳洗浄、点耳薬、全身薬の3本柱で行われます。原因と重症度に応じて適切な治療法が選択され、慢性・重度の場合は外科治療が必要になることもあります。処方された薬は指示通りに最後まで使い切ることが重要です。

繰り返す外耳炎にはアレルギーの根本治療が必要

「何度治療しても外耳炎が再発する」——このような場合、点耳薬で感染を抑えるだけでは不十分です。外耳炎を引き起こしている根本原因、特にアレルギーに対する治療が必要になります。

なぜ外耳炎は繰り返すのか

外耳炎が繰り返す主な理由は以下の通りです。

1. 根本原因が解決されていない
最も多い理由がこれです。点耳薬で細菌やマラセチアの感染を抑えても、アレルギーという根本原因が残っていれば、薬をやめると再び炎症が起こり、二次感染を繰り返します。

2. 治療が不十分なまま中断されている
症状が改善したからと自己判断で薬をやめてしまうケースです。見た目には良くなっていても、耳道の奥では感染が残っていることがあります。

3. 耐性菌の出現
不十分な抗菌薬治療を繰り返すと、薬に対して耐性を持つ細菌が出現することがあります。特に緑膿菌は多剤耐性を獲得しやすい細菌です。

4. 耳道の構造的変化
慢性的な炎症により耳道の壁が肥厚すると、耳道が狭くなって通気性が悪化し、外耳炎を起こしやすい環境が持続します。

⚠️ 注意
外耳炎が年に2回以上再発する場合は、必ずアレルギーやその他の基礎疾患の検査を受けましょう。「いつもの薬」をもらって終わりにするのではなく、なぜ繰り返すのかを突き止めることが最も重要です。

アトピー性皮膚炎の治療

アトピー性皮膚炎が外耳炎の根本原因である場合、以下のような治療が行われます。

アレルゲン回避:原因となるアレルゲンが特定できた場合、できるだけそのアレルゲンとの接触を減らします。ハウスダストマイトが原因であれば、こまめな掃除や寝具の洗濯、空気清浄機の使用などが有効です。花粉が原因であれば、花粉の多い時期の散歩時間や場所の調整が考えられます。

薬物療法:アトピー性皮膚炎のかゆみや炎症を抑える薬として、現在は以下のような選択肢があります。

ヤヌスキナーゼ阻害薬(オクラシチニブ):かゆみのシグナル伝達を選択的にブロックする薬で、即効性があります。1日1〜2回の内服で、多くの犬でかゆみが劇的に改善します。

抗インターロイキン31抗体(ロキベトマブ):かゆみに関与するインターロイキン31を中和するモノクローナル抗体の注射薬です。月1回の注射で4〜8週間効果が持続します。副作用が非常に少ないのが特徴です。

シクロスポリン:免疫抑制薬で、アレルギー反応を抑制します。効果が出るまでに4〜6週間かかることがありますが、長期管理に適しています。

ステロイド:即効性がありますが、長期使用では副作用(多飲多尿、肝障害、糖尿病など)のリスクがあるため、短期間の使用が推奨されます。

減感作療法(アレルゲン特異的免疫療法):原因アレルゲンを少量ずつ体内に投与して、免疫システムを徐々に慣らしていく治療法です。効果が出るまでに6〜12か月かかりますが、唯一のアレルギーの根治療法と言えます。成功率は約60〜70%とされています。

食物アレルギーの治療

食物アレルギーが原因の場合、最も重要な治療は原因食材の除去です。

除去食試験:まず、これまでに食べたことのないタンパク源を使用したフード(新奇タンパク食)や、タンパク質を細かく分解した特別なフード(加水分解食)に切り替えます。8〜12週間、そのフードとお水のみを与え、おやつやその他の食べ物は一切与えません。

除去食試験で症状が改善した場合は、以前のフードに戻す「負荷試験」を行い、症状が再燃するかどうかを確認します。症状が再燃すれば食物アレルギーと確定診断されます。

食物アレルギーが確定した場合は、原因食材を含まないフードを生涯にわたって継続する必要があります。

✅ チェックリスト
除去食試験を成功させるためのポイント
・おやつは一切与えない(除去食と同じタンパク源のおやつのみ可)
・人間の食べ物を与えない
・他のペットのフードを食べないように管理する
・サプリメントや歯磨きガムも中断する
・フィラリア予防薬は牛肉フレーバーのものを避ける
・試験期間は最低8週間、できれば12週間継続する
・家族全員で徹底することが重要

スキンケアの重要性

アレルギー体質の犬では、皮膚バリア機能が低下していることが多いため、スキンケアも重要な治療の一部です。

セラミド配合の保湿剤必須脂肪酸サプリメント(オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸)を補給することで、皮膚バリアの修復を助けます。これにより、アレルゲンの侵入を防ぎ、感染のリスクを下げることが期待できます。

適切なシャンプー療法も有効です。薬用シャンプーで定期的に洗うことで、皮膚の細菌やマラセチアの数を減らし、アレルゲンを洗い流すことができます。

このセクションのまとめ
繰り返す外耳炎の治療には、感染の治療だけでなく、アレルギーなどの根本原因に対する治療が不可欠です。アトピー性皮膚炎には薬物療法や減感作療法、食物アレルギーには除去食試験と食事管理が中心となります。獣医師と相談しながら、愛犬に最適な治療計画を立てましょう。

正しい耳掃除の方法と適切な頻度

自宅での耳掃除は、外耳炎の予防と管理において重要な役割を果たします。ただし、誤った方法で行うとかえって耳を傷つけてしまうため、正しい方法を知っておくことが大切です。

耳掃除に必要なもの

自宅での耳掃除に必要なものは以下の通りです。

動物用イヤークリーナー(獣医師が推奨するもの)
コットンまたはガーゼ
ティッシュ(周囲の汚れを拭く用)
おやつ(ご褒美用)

綿棒は使用しないでください。綿棒を耳道に入れると、耳垢を奥に押し込んでしまったり、耳道の皮膚を傷つけたりする危険があります。綿棒が使えるのは、耳介の内側のヒダの部分を拭く場合のみです。

正しい耳掃除の手順

手順1:イヤークリーナーを注入する
犬を落ち着かせた状態で、耳介を軽く持ち上げて耳道の入り口が見えるようにします。イヤークリーナーのノズルを耳道の入り口に当て、耳道がクリーナーで満たされる程度の量を注入します。

手順2:耳の付け根をマッサージする
イヤークリーナーを注入したら、すぐに耳の付け根を20〜30秒間やさしくマッサージします。「クチュクチュ」という音が聞こえれば、クリーナーが耳道全体に行き渡っている証拠です。このマッサージで耳垢が浮き上がります。

手順3:犬に頭を振らせる
マッサージが終わったら、犬に自由に頭を振らせます。飛び散りが気になる場合は、バスルームや屋外で行うとよいでしょう。頭を振ることで、溶けた耳垢がクリーナーとともに排出されます。

手順4:耳介を拭く
コットンやガーゼを指に巻き、耳介の内側と耳道の入り口に見える汚れをやさしく拭き取ります。指が届く範囲のみを拭き、決して奥に押し込まないようにしてください。

手順5:ご褒美を与える
耳掃除が終わったら、たっぷり褒めておやつを与えましょう。耳掃除を嫌な経験にしないことが、長期的なケアを継続するコツです。

ポイント
耳掃除のコツは「やり過ぎないこと」です。耳道の皮膚には自浄作用があり、健康な耳を過剰に掃除すると、かえって皮膚を刺激して炎症を起こすことがあります。獣医師から指示された頻度を守り、耳が健康な時は無理に掃除する必要はありません。

耳掃除の適切な頻度

耳掃除の頻度は、犬の耳の状態や体質によって異なります。以下は一般的な目安です。

耳の状態推奨頻度備考
健康な立ち耳の犬月1〜2回程度汚れが少なければ不要
健康な垂れ耳の犬週1回程度耳の状態を見ながら調整
外耳炎の治療中獣医師の指示通り毎日〜週数回の場合あり
アレルギー体質の犬週1〜2回程度予防的なケアとして
水遊び後その都度乾燥させることが重要
⚠️ 注意
以下のような場合は自宅での耳掃除を中止し、動物病院を受診してください。
・耳を触ると痛がる、嫌がる
・耳から膿や血が出ている
・耳道が腫れて入り口が狭くなっている
・耳垢の臭いが非常に強い
・耳掃除をしても改善しない、または悪化する
これらの症状は治療が必要な外耳炎のサインです。

耳掃除に慣れさせるトレーニング

耳掃除を嫌がる犬は少なくありません。特に過去に外耳炎で耳が痛かった経験のある犬は、耳を触られることに強い拒否反応を示すことがあります。

耳掃除に慣れさせるには、段階的なトレーニングが効果的です。まず、耳を触ることに慣れさせることから始めます。耳の外側を撫でながらおやつを与え、「耳を触られる=良いことがある」という関連付けを作ります。

次に、耳介をめくる練習、耳道の入り口を指で触る練習と段階的に進めていきます。各段階で犬がリラックスできるようになってから、次の段階に進むのがポイントです。無理に進めると逆効果になるため、犬のペースに合わせることが大切です。

このセクションのまとめ
自宅での耳掃除はイヤークリーナーとコットンで行い、綿棒は使用しません。「注入→マッサージ→頭振り→拭き取り」の手順を守り、やり過ぎないことが大切です。頻度は犬の耳の状態に応じて調整し、異常がある場合は動物病院を受診しましょう。

中耳炎・内耳炎への進行:見逃してはいけない危険なサイン

外耳炎を放置した場合、炎症が鼓膜を越えて中耳や内耳に広がることがあります。中耳炎・内耳炎は外耳炎よりもはるかに深刻な状態であり、後遺症が残ることもあるため、早期発見と適切な治療が極めて重要です。

中耳炎とは

中耳炎は、鼓膜の奥にある中耳腔(鼓室)に炎症が起きる病気です。犬の中耳炎の多くは、外耳炎が進行して鼓膜が破れ、そこから感染が中耳に広がることで発症します。

中耳炎の症状は外耳炎の症状に加えて、以下のような特徴的な症状が見られます。

強い痛み:中耳炎は外耳炎よりも強い痛みを伴うことが多いです。口を開ける動作で痛みが増強するため、食欲の低下硬いものを食べるのを嫌がるといった症状が見られることがあります。

頭を傾ける:患側(炎症がある側)に頭を傾ける「斜頸」が見られることがあります。これは中耳の炎症による不快感や平衡感覚の軽度な障害によるものです。

顔面神経麻痺:中耳のすぐ近くを顔面神経が通っているため、中耳炎が顔面神経に影響を及ぼすことがあります。症状としては、患側のまぶたが閉じられない唇が垂れ下がる鼻が曲がるなどが見られます。

ホルネル症候群:中耳付近を通る交感神経が障害されると、患側の瞳孔の縮小まぶたの下垂第三眼瞼(瞬膜)の突出眼球の陥凹が見られるホルネル症候群を発症することがあります。

⚠️ 注意
外耳炎の犬に頭の傾き、まぶたの異常、食欲低下などの症状が見られた場合は、中耳炎への進行が疑われます。できるだけ早く動物病院を受診してください。中耳炎は外耳炎よりも治療に時間がかかり、適切な治療が遅れると後遺症が残る可能性があります。

内耳炎とは

内耳炎は、蝸牛や三半規管がある内耳に炎症が起きる病気です。中耳炎がさらに進行して内耳に波及するケースが最も多いです。内耳は聴覚と平衡感覚を司っているため、内耳炎の症状はより深刻です。

めまい・旋回運動:三半規管が障害されると、激しいめまいが起こり、犬は同じ方向にグルグル回り続ける「旋回運動」を示します。立っていられなくなったり、転倒を繰り返したりすることもあります。

眼振:眼球が意思とは関係なく左右または上下に素早く動く「眼振」が見られます。これは前庭(平衡感覚を司る器官)の障害によるものです。

嘔吐:激しいめまいに伴って嘔吐が見られることがあります。人間の乗り物酔いと同じメカニズムです。

難聴:蝸牛が障害されると聴覚が低下します。片側の内耳炎であれば反対側の耳で聞こえるため気づきにくいこともありますが、両側性の場合は顕著な難聴が起こります。

中耳炎・内耳炎の治療

中耳炎・内耳炎の治療は、外耳炎の治療よりも長期間にわたり、より積極的な治療が必要です。

全身的な抗菌薬治療が中心となり、4〜8週間以上の長期投与が必要になることがあります。細菌培養検査と薬剤感受性試験の結果に基づいて、最適な抗菌薬を選択します。

中耳腔内に膿が溜まっている場合は、全身麻酔下での中耳洗浄が行われることがあります。ビデオオトスコープを用いて鼓膜を通して中耳にアクセスし、貯留した膿を除去して洗浄します。

内科治療で改善しない重度の中耳炎では、鼓室胞骨切り術などの外科治療が必要になることもあります。

項目外耳炎中耳炎内耳炎
主な症状かゆみ、耳垢増加、臭い痛み、斜頸、顔面神経麻痺めまい、眼振、旋回運動
重症度軽度〜中等度中等度〜重度重度
治療期間1〜4週間4〜8週間以上数週間〜数か月
後遺症耳道の肥厚(慢性の場合)顔面神経麻痺、難聴難聴、平衡感覚障害
ポイント
外耳炎から中耳炎・内耳炎への進行を防ぐためには、外耳炎の段階で適切に治療することが最も重要です。「たかが耳の炎症」と軽視せず、獣医師の指示通りに治療を完了させましょう。特に慢性的に繰り返す外耳炎では、定期的な通院で鼓膜の状態をチェックしてもらうことをおすすめします。
このセクションのまとめ
外耳炎が進行すると中耳炎・内耳炎を引き起こし、顔面神経麻痺、めまい、難聴などの深刻な症状が出現します。頭の傾き、まぶたの異常、旋回運動などの症状が見られたら緊急性が高いため、すぐに動物病院を受診しましょう。

犬の外耳炎の予防:日常ケアでできること

外耳炎は適切な予防策を講じることで、発症リスクを大幅に減らすことができます。特にリスクの高い犬種や、過去に外耳炎を経験した犬では、日常的な予防ケアが重要です。

定期的な耳のチェック

外耳炎の早期発見には、日頃から愛犬の耳を観察する習慣をつけることが最も大切です。週に1〜2回は耳介をめくって耳の中を見てみましょう。

チェックするポイントは以下の通りです。

・耳の中の色(正常はピンク色)
・耳垢の量と色
・臭いの有無
・赤みや腫れの有無
・犬が耳を気にする仕草の有無

普段の状態を知っておくことで、異常が起きたときに素早く気づくことができます。スマートフォンのカメラで健康な時の耳の中を撮影しておくと、比較する際に便利です。

適切な耳掃除

前のセクションで解説した正しい方法で、適切な頻度の耳掃除を行いましょう。ただし、健康な耳を過剰に掃除することは逆効果です。耳道の皮膚には自浄作用があるため、目に見える汚れがなければ無理に掃除する必要はありません。

水泳・入浴後のケア

水遊びの後やシャンプーの後は、耳の中に水が残りやすいです。耳道内の湿った環境は細菌やマラセチアの繁殖を促すため、水遊び後は必ず耳を乾燥させることが大切です。

コットンで耳介の内側の水分を拭き取り、乾燥成分配合のイヤークリーナーで耳道内を洗浄すると効果的です。水泳が好きな犬は、水泳用の耳栓(犬用のシリコン製耳栓)を使用することも選択肢のひとつです。

食事管理

食物アレルギーが外耳炎の原因である場合は、適切な食事管理が最も重要な予防策です。獣医師と相談して、愛犬に合ったフードを選びましょう。

一般的に、良質なタンパク源オメガ3脂肪酸(魚油などに含まれる)が豊富なフードは、皮膚の健康維持に役立つとされています。ただし、フードの変更は必ず獣医師に相談してから行ってください。

環境管理

アトピー性皮膚炎の犬では、アレルゲンへの暴露を減らすことが予防に繋がります。

・こまめな掃除機がけと拭き掃除
・寝具やベッドの定期的な洗濯
・空気清浄機の使用
・花粉の多い時期は散歩の時間帯を調整する
・散歩後に足先や体を拭く

✅ チェックリスト
外耳炎予防のための日常ケア
・週1〜2回の耳のチェック
・適切な頻度での耳掃除
・水遊び・シャンプー後の耳の乾燥
・定期的な動物病院での健康診断
・アレルギー対策の食事管理(必要な場合)
・生活環境の清潔維持
・トリミング時の耳毛のケア(獣医師と相談)

定期的な動物病院の受診

外耳炎のリスクが高い犬種や、過去に外耳炎を経験した犬は、3〜6か月ごとに動物病院で耳の検査を受けることをおすすめします。獣医師による耳鏡検査で、飼い主さんでは確認できない耳道の奥の状態や鼓膜の健康状態をチェックしてもらえます。

定期検査では、外耳炎の初期段階で発見できるため、重症化を防ぐことができます。また、アレルギー治療を行っている場合は、治療の効果を評価し、必要に応じて治療計画を調整する機会にもなります。

このセクションのまとめ
外耳炎の予防には、定期的な耳のチェック、適切な耳掃除、水遊び後のケア、食事管理、環境管理が重要です。リスクの高い犬は定期的な動物病院の受診も予防に効果的です。

犬の外耳炎にかかる治療費の目安

外耳炎の治療費は、症状の重症度や治療期間、検査内容によって大きく異なります。ここでは、一般的な治療費の目安をお伝えします。ただし、動物病院によって料金設定は異なるため、あくまでも参考としてご覧ください。

初診時の費用

外耳炎で初めて受診した場合、一般的に以下のような費用がかかります。

項目費用の目安
初診料1,000〜3,000円
耳鏡検査500〜2,000円
耳垢の顕微鏡検査1,000〜3,000円
耳洗浄1,000〜3,000円
点耳薬2,000〜5,000円
合計(目安)5,500〜16,000円程度

慢性・重度の場合の追加費用

慢性的な外耳炎や重度の場合は、追加の検査や治療が必要になり、費用が高くなります。

細菌培養検査・薬剤感受性試験:5,000〜15,000円
アレルギー検査:15,000〜40,000円
CT検査:30,000〜80,000円
全耳道切除術:150,000〜400,000円以上

ポイント
外耳炎は早期に治療するほど費用も抑えられます。軽度のうちに適切に治療すれば数千円で済むことも多いですが、重症化して手術が必要になると数十万円の費用がかかることもあります。ペット保険に加入している場合は、外耳炎が補償対象かどうかを確認しておきましょう。
このセクションのまとめ
外耳炎の治療費は軽度の場合5,000〜16,000円程度ですが、慢性化・重症化すると検査や手術で高額になります。早期発見・早期治療が医療費の面でも重要です。

犬の外耳炎に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 犬の外耳炎は自然に治りますか?

犬の外耳炎は自然治癒することはほとんどありません。放置すると悪化して慢性化し、中耳炎や内耳炎に進行するリスクがあります。軽度の段階でも動物病院を受診し、適切な治療を受けることが大切です。「様子を見よう」と思っているうちに重症化してしまうケースは非常に多いため、早めの受診をおすすめします。

Q2. 犬の外耳炎は人間にうつりますか?

通常、犬の外耳炎が人間にうつることはありません。犬の外耳炎の原因となる細菌やマラセチアは、健康な人間に感染するリスクは極めて低いです。ただし、耳ダニは理論上は人間にも一時的に寄生する可能性がありますが、人間の耳で増殖することは通常ありません。免疫力が低下している方は念のため注意してください。

Q3. 犬の外耳炎は他の犬にうつりますか?

耳ダニによる外耳炎は他の犬に感染します。耳ダニは接触感染するため、多頭飼育の場合は全頭を同時に治療する必要があります。一方、細菌性やマラセチア性の外耳炎は、基本的に他の犬に直接うつることはありません。ただし、共有のベッドやタオルを介して間接的に細菌が移行する可能性はゼロではないため、清潔に保つことが大切です。

Q4. 市販の点耳薬を使ってもいいですか?

市販の点耳薬やイヤークリーナーを治療目的で使用することはおすすめしません。外耳炎の原因によって必要な薬が異なり、誤った薬を使用すると症状が悪化したり、耐性菌が出現したりする恐れがあります。特に鼓膜が破れている場合は、使用できない成分があるため危険です。必ず獣医師の診断を受けてから、処方された薬を使用してください。

Q5. 外耳炎の治療中にシャンプーをしてもいいですか?

治療中のシャンプーについては獣医師に相談してください。一般的には、耳に水が入らないように注意すればシャンプーは可能です。耳にコットンを軽く詰めて水の侵入を防ぐ方法もあります。シャンプー後は耳の中をしっかり乾燥させ、必要に応じてイヤークリーナーで洗浄してから点耳薬を使用しましょう。

Q6. 犬の耳が臭いのですが、外耳炎ですか?

耳の臭いは外耳炎の典型的なサインのひとつです。健康な犬の耳にはほとんど臭いがないため、明らかな臭いがある場合は外耳炎の可能性が高いです。ただし、垂れ耳の犬では健康な状態でも多少の臭いがすることがあります。いつもと違う臭い、特に腐敗臭や発酵臭がする場合は、早めに受診しましょう。

Q7. 外耳炎と耳血腫の関係は?

耳血腫は、外耳炎に伴うかゆみや痛みで犬が耳を激しく掻いたり頭を振ったりすることで、耳介の内側の血管が破れて血液が溜まる病気です。耳介が風船のように膨れ上がり、治療しないと耳が変形してしまいます。耳血腫の治療には血液の排出と圧迫処置、場合によっては手術が必要です。耳血腫を防ぐためにも、外耳炎の早期治療が重要です。

Q8. アレルギー検査はどのような検査ですか?

犬のアレルギー検査には主に2種類あります。血液検査(アレルゲン特異的免疫グロブリン検査)は、血液中の特定のアレルゲンに対する抗体の量を測定する検査です。皮内反応試験は、さまざまなアレルゲンを少量ずつ皮膚に注射して反応を見る検査で、より正確性が高いとされています。食物アレルギーの診断には除去食試験が最も信頼性の高い方法です。検査費用は15,000〜40,000円程度が目安です。

Q9. 外耳炎を予防するフードはありますか?

外耳炎を直接予防する特定のフードはありませんが、皮膚の健康をサポートする成分が含まれたフードは間接的に予防に役立つ可能性があります。特にオメガ3脂肪酸(魚油由来)が豊富なフードは、皮膚のバリア機能を強化し、炎症を抑える効果が期待されています。ただし、食物アレルギーがある場合は、原因食材を避けることが最優先です。フード選びは獣医師に相談しましょう。

Q10. 外耳炎は季節によって発症しやすい時期がありますか?

はい、外耳炎には季節性があります。特に梅雨〜夏にかけて(6〜9月)は気温と湿度が高くなるため、耳道内が蒸れやすく、細菌やマラセチアが繁殖しやすい環境になります。この時期は外耳炎の発症率が高くなる傾向があります。また、花粉が原因のアトピー性皮膚炎では、春(スギ・ヒノキ花粉)や秋(ブタクサ花粉)に症状が悪化することがあります。

Q11. 子犬の外耳炎で特に注意することはありますか?

子犬の外耳炎で特に多いのは耳ダニによる感染です。ペットショップやブリーダー、保護施設から迎えた子犬で、黒い乾燥した耳垢が出て激しくかゆがる場合は、耳ダニを強く疑います。子犬の耳道はデリケートなため、自己判断で薬を使わず、早めに動物病院を受診してください。多頭飼育の場合は、先住犬への感染を防ぐためにも早急な治療が必要です。

Q12. 高齢犬の外耳炎で気をつけることは?

高齢犬で片耳だけの慢性外耳炎がなかなか治らない場合は、耳道の腫瘍の可能性を考慮する必要があります。また、高齢犬では甲状腺機能低下症が外耳炎の基礎疾患として隠れていることがあります。甲状腺機能低下症では、皮膚のバリア機能が低下し、感染に対する抵抗力が弱くなるため、外耳炎を繰り返しやすくなります。血液検査で甲状腺ホルモンの値を測定することで診断できます。

ポイント
外耳炎は非常に身近な病気ですが、その原因は多岐にわたり、適切な診断と治療が重要です。疑問や不安がある場合は、かかりつけの獣医師に遠慮なく相談してください。インターネットの情報はあくまでも参考であり、愛犬の状態に合わせた個別のアドバイスは獣医師にしかできません。

まとめ:犬の外耳炎を正しく理解し、愛犬の耳を守ろう

犬の外耳炎は非常に一般的な病気であり、多くの飼い主さんが経験する問題です。この記事の要点を最後にまとめます。

この記事の重要ポイントまとめ

1. 犬の耳の構造
犬の耳道はL字型で通気性が悪く、外耳炎を起こしやすい構造です。

2. 主な原因
細菌、マラセチア、耳ダニ、異物、腫瘍が主な原因です。特にアレルギーが背景にある場合が多いです。

3. アレルギーとの深い関係
慢性・再発性外耳炎の50〜80%にアレルギーが関与しています。点耳薬だけでは根本的な解決にはなりません。

4. 好発犬種
垂れ耳の犬種、耳道内に毛が多い犬種、アレルギー体質の犬種はリスクが高いです。

5. 早期発見のサイン
耳の臭い、耳垢の変化、頭を振る、耳を掻くなどの症状に注意しましょう。

6. 適切な診断
耳鏡検査と耳垢の顕微鏡検査で原因を特定し、それに合った治療を行うことが大切です。

7. 治療の3本柱
耳洗浄、点耳薬、全身薬を組み合わせて治療します。処方された薬は最後まで使い切りましょう。

8. 繰り返す場合は根本治療を
アレルギーの診断と治療(薬物療法、食事管理、減感作療法)が必要です。

9. 正しい耳掃除
イヤークリーナーとコットンを使い、やり過ぎないことが大切です。綿棒は使わないでください。

10. 中耳炎・内耳炎への注意
外耳炎を放置すると深刻な合併症に進行する可能性があります。早期治療で予防しましょう。

外耳炎は「ありふれた病気」ですが、決して軽視してよい病気ではありません。適切な治療を受けずに放置すると、慢性化して治療が困難になったり、中耳炎・内耳炎に進行して深刻な後遺症が残ったりする可能性があります。

特に繰り返す外耳炎には、アレルギーなどの基礎疾患が隠れていることが多いため、「なぜ繰り返すのか」を獣医師と一緒に探ることが完治への近道です。愛犬の耳の健康を守るために、日頃からの観察と適切なケアを心がけてください。

愛犬の耳に異常を感じたら、早めにかかりつけの動物病院を受診しましょう。早期発見・早期治療が、愛犬の快適な生活を守ります。

🔍 犬のアレルギーを網羅的に理解したい方へ

症状の見分け方から検査・食事・薬・長期管理まで全ての情報をまとめた「犬のアレルギー完全ガイド」も参考にしてください。食物アレルギー・環境アレルギー・アトピーの違いも詳しく解説しています。

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