
犬の腎臓病には急性腎臓障害と慢性腎臓病がありますが、特に多いのが慢性腎臓病(CKD)です。慢性腎臓病とは、腎臓の機能が徐々に低下し数ヶ月~数年かけて進行する病気で、高齢のワンちゃんほど発症リスクが高まります。
腎臓は血液から老廃物や毒素を尿として排泄し、体内の水分・電解質バランスを保ち、血圧調整やホルモン分泌(赤血球を作る働き)など重要な役割を担う臓器です。
その腎臓の機能が低下すると、体内に有害な老廃物が蓄積し全身の不調を招きます。実際、犬は生涯で約10頭に1頭が慢性腎臓病になるとも報告されており、高齢期に特に注意したい病気です。
慢性腎臓病を引き起こす原因はひとつではなく、多因性です。加齢による腎機能の自然低下のほか、細菌感染やウイルス感染による腎炎、中毒性物質の摂取(薬物やブドウ中毒など)、外傷による腎臓損傷、免疫介在性疾患、尿路結石による尿路閉塞など様々な要因が慢性的な腎障害をもたらします。
これらによって腎臓の組織(特に血液をろ過する糸球体)が徐々に壊れていき、一度壊れた腎臓組織は元に戻らないため慢性的な機能不全に陥るのです。初期には体が予備力で補うため症状が出にくいですが、障害が進行して腎機能が全体の約3/4以上失われると臨床症状が現れ始めます(※国際腎臓学会IRISの基準では腎不全の進行度をステージ1~4に分類し、ステージ3以降で症状が顕著になるとされます)。
犬の腎臓病の症状
慢性腎臓病の初期では目立った症状がほとんどありません。しかし注意深く観察すると、例えば「多飲多尿」が最初のサインとして現れることがあります。腎機能が低下すると尿を濃縮する能力が落ち、大量の薄い尿をするようになるため水分不足を補おうと水をたくさん飲むようになるのです。この多飲多尿(以前より水をよく飲み、尿量が増える状態)は飼い主さんが比較的気づきやすい初期症状です。
病状が中期〜後期に進行すると、腎臓のろ過機能低下により老廃物が体内に蓄積し、全身に様々な不調が現れます。代表的な症状は食欲不振と体重減少で、今まで完食していたご飯を残す、オヤツも欲しがらない、痩せて骨ばってくる等の変化が見られます。同時に、腎臓の解毒機能低下により嘔吐や下痢を起こすこともあります。尿毒素が体に回ると口臭がアンモニア臭くなったり、口内炎・胃炎を起こし吐き気や口の痛みでさらに食欲低下に陥る悪循環も見られます。他にも元気消失(虚弱・疲れやすい), 被毛の艶が落ちる, 脱水による皮膚の弾力低下, 貧血による粘膜の白さなど全身状態の悪化が進みます。末期にはけいれん発作や昏睡など重篤な状態に至ることもあり注意が必要です。
豆知識: 猫の慢性腎臓病は非常に多くの高齢猫が患うことで知られますが、犬でも高齢になれば珍しくない病気です。特に7歳以上のシニア犬では定期的な健康診断を受け、腎臓の数値や尿検査の結果に注意することで早期発見・早期対策が可能になります。
腎臓病の診断方法:検査内容とステージ分類
犬の腎臓病が疑われる場合、動物病院で以下のような検査を行い総合的に診断します。
- 血液検査: 腎臓の老廃物ろ過能力を評価する指標として、クレアチニン(CRE)や尿素窒素(BUN) の値を測定します。腎機能低下に伴いこれらの数値は基準値より上昇し、特にCREは慢性腎臓病の重症度分類に用いられます。近年ではより早期に腎障害を検出できるマーカーとしてSDMA(対称性ジメチルアルギニン)も測定されます。加えて、慢性腎臓病では赤血球を作るホルモンの分泌低下により貧血が起きるため血球計算も行い、貧血の有無や程度を確認します。
- 尿検査: 腎臓が尿を濃縮する能力を見る尿比重の測定や、尿中にタンパクが漏れていないか(尿蛋白の有無)を確認します。慢性腎臓病の初期には血液検査が正常でも尿検査で異常(低比重尿や蛋白尿)が見られることがあり、早期発見に有用です。また尿中の糖や沈渣(白血球や結晶など)の分析、尿培養検査による細菌感染の有無確認なども行われます。
- 画像診断: 腎臓の形態を評価するために腹部超音波検査(エコー)を実施します。腎臓の大きさの変化(慢性腎不全では縮小傾向)、腎結石の有無、腎臓周囲の構造異常などを調べます。必要に応じてレントゲン検査で結石の位置やサイズ確認、血圧測定で高血圧の有無(腎不全の犬の多くで高血圧が見られます)をチェックすることもあります。
こうした検査結果を踏まえ、国際獣医腎臓病学会(IRIS) のガイドラインに沿って慢性腎臓病のステージ分類が行われます。IRISステージはクレアチニン値やSDMA値、尿蛋白の程度と血圧によりステージ1(軽度)~ステージ4(重度)に分けられます。ステージ1~2は腎機能残存率が約33%以上あり多くは無症状ですが、ステージ3(残存腎機能25%以下)からは食欲不振や体重減少など症状が出始め、ステージ4(残存10%以下)では重度の尿毒症状が見られます。ステージ分類により治療方針が立てられ、例えばステージ2あたりから腎臓ケアの食事療法を開始し、ステージが進むほど点滴や薬物による集中的ケアが必要になります。
犬の腎臓病の治療とケア
慢性腎臓病と診断された場合、早期から適切な治療とケアを行うことで病気の進行をできるだけ緩やかにし、愛犬のQOL(生活の質)を維持・向上させることが大切です。 一度失われた腎機能を元に戻すことはできませんが、残った腎臓の働きをサポートし老廃物の蓄積を抑えることで、愛犬と過ごせる時間を延ばすことが期待できます。治療の主な柱は脱水の補正(十分な水分補給), 食事療法, 対症療法の内服薬や補助サプリです。
- 十分な水分補給と点滴治療: 慢性腎臓病では尿量が増えて脱水になりやすいため、常に新鮮な水をたっぷり用意し好きなだけ飲めるようにします。自宅では水飲みの場所を増やしたり、風味をつけたぬるま湯を与えるなど工夫すると良いでしょう。病状が進んでいる場合や食欲不振で水も飲めない場合には、動物病院で点滴(皮下補液や静脈点滴)を行い体内の水分量を維持します。点滴により血中の老廃物濃度を下げ、尿量を増やして有害物質の排泄を促す効果が期待できます。
- 食事療法: 詳細は後述しますが、腎臓への負担を減らす療法食への切り替えが治療の中心となります。タンパク質やリン・ナトリウムを制限したバランスの取れた食事により、尿毒素の産生を抑えつつ必要な栄養を確保します。療法食は原則として獣医師の指導のもとで選択し、可能な限り早期から導入することが推奨されます。
- 薬物療法: 症状や検査結果に応じて様々な薬が使われます。例えば、腎不全に伴う高血圧には降圧剤(ACE阻害薬など)、尿タンパクの改善にもACE阻害薬(エナラプリル等)を用いることがあります。リン吸着剤(活性炭やキトサン製剤)を投与し腸内でリンや毒素を吸着させて排泄を促し、血中リン濃度やBUNの低下を図ります。食欲不振や嘔吐には制吐剤や胃粘膜保護剤を、貧血には造血ホルモン製剤や鉄剤を投与する場合もあります。これらの投薬は獣医師の判断で行われ、副作用に注意しながら定期的にモニタリングしていきます。
- サプリメント療法: 補助的にサプリメントが用いられることもあります。例えばオメガ3脂肪酸(EPA/DHA)は抗炎症作用で腎臓の炎症を和らげる効果が期待でき、療法食やフィッシュオイルの形で補給されます。ビタミンB群やビタミンCは水溶性で尿中に流出しやすいため追加補給が推奨される場合があります。腎臓病の犬では食欲低下からビタミン・ミネラル不足に陥りやすいため、必要に応じて獣医師がサプリメントの利用を指導します。ただしサプリメントも過剰摂取は害となり得ますので、自己判断で複数の市販品を与えることは避けましょう。
- その他の治療: 病状が重篤な場合、一部の高度医療施設では腹膜透析や血液透析により人工的に血液中の老廃物を除去する治療が行われることもあります。また再生医療(幹細胞療法)の研究も進んでおり、ステージ2~3程度の比較的早期の腎不全で腎機能低下を遅らせる効果が報告されています。ただしこれらは特殊な治療法であり、一般的には上述した内科的ケアが中心です。
自宅でのケア: 慢性腎臓病の管理には日々の家庭でのケアも重要です。毎日愛犬の様子を観察し、食事・飲水量や排尿・排便の状態、体重の増減を記録しましょう。特に体重は減少傾向がないか定期的に測定します。急な体重変化は脱水や浮腫のサインの場合もあり、獣医師に報告すべき重要な情報となります。適度な運動も取り入れましょう。過度な運動は負担ですが、軽い散歩で筋力維持を図り、肥満を防ぐことは腎臓への余分な負荷軽減につながります。ストレスの少ない安静に過ごせる環境を整え、暑さ寒さにも配慮してください。トイレの失敗が増える子もいるため、室内にトイレを増設する、ペットシーツを多めに敷く等の対策も有用です。何より無理をさせないことが大切で、調子の悪い日は安静にさせつつこまめに抱っこで水を飲ませる、食欲がない時は獣医師に相談して食欲増進剤を処方してもらうなど臨機応変な対応を心がけましょう。
獣医師のアドバイス: 「腎臓病のワンちゃんには水分摂取がとても大切です。ドライフード中心で水をあまり飲まない子には、療法食のウェット缶や手作りの低タンパクスープを活用して、水分と栄養を同時に補給するのも効果的です。食欲が落ちている時期は無理に固形物を与えず、エネルギー補給できる流動食や補助食も取り入れ、愛犬の負担を減らしてあげましょう。」
腎臓病の犬の食事管理のポイント
食事療法(療法食)は慢性腎臓病の進行を抑える最も重要なケアの一つです。腎臓に負担をかけない栄養設計のフードに切り替えることで、老廃物の発生を減らしつつ必要なカロリーや栄養素を摂取できます。慢性腎臓病の食事管理における4つのポイントは次の通りです。
- リンの制限: 腎機能が低下するとリン(ミネラルの一種)の排泄が不十分になり体内に蓄積します。その結果、副甲状腺ホルモンの過剰分泌を招き骨からカルシウムが溶け出すなど、骨や腎臓に悪影響が及びます。そのため腎臓病の犬ではリン含有量を制限した食事が必要です。療法食では原材料や添加物の選定により通常のフードよりリンが大幅に抑えられています。
- タンパク質の制限: タンパク質を摂取すると代謝の過程で窒素性老廃物(尿素窒素BUNなど)が発生し、健康な腎臓であれば尿中に排泄されます。しかし腎不全ではこの老廃物の排泄が追いつかず体内に蓄積し尿毒症の原因となります。したがって食事中のタンパク質量を制限し、必要最小限の良質なタンパク源のみを含む療法食が推奨されます。ただし過度な制限は筋肉量の減少を招くため、あくまで専門家の指示の下で行います。
- ナトリウム(塩分)の制限: 腎臓には余分なナトリウムを排泄する働きがありますが、腎機能低下により塩分の排泄もうまくできなくなると高血圧の原因となり、腎臓や心臓に負担がかかります。そのため腎臓病用の食事では低ナトリウムに調整されており、塩分過多を防ぎます。自宅で手作り食を与える場合も味付けは極力せず、加工食品や塩分の多い食材は避けましょう。
- オメガ3脂肪酸の活用: 魚油などに含まれるオメガ3脂肪酸(EPA/DHA)には抗炎症作用があり、腎臓の糸球体の炎症を抑えて腎機能低下の進行を遅らせる効果が期待されています。犬はオメガ3を体内で合成できないため、食事から摂取する必要があります。療法食にはオメガ3が強化されているものが多く、市販のフィッシュオイルサプリなどで補給する場合もあります。
以上のポイントを満たすため、市販の腎臓サポート用療法食は長年の研究データに基づいて栄養素が調整されています。例えばヒルズ社やロイヤルカナン社など歴史のあるメーカーの療法食は、腎臓病の犬での有効性(症状の改善や生存期間の延長)が報告されており、獣医師も信頼して処方しています。基本的にはかかりつけ獣医師の指示のもと、現在の病状やステージに合った療法食を選んで与えるようにしてください。
食事の与え方: 腎臓病の犬では一日の摂取カロリーを維持することも大切です。食欲が落ちている場合は1日分を小分けにして複数回与える、フードを電子レンジで人肌程度に温める(香りが立ち食欲を刺激します)、ぬるま湯でふやかす(水分補給も兼ねる)など工夫しましょう。またドライよりウェットタイプや手作り食の方が食べる子もいますので、獣医師と相談しながら愛犬が受け入れやすい形に調整して構いません。市販の腎臓ケア用の犬用おやつ(低タンパク質・低リン設計のビスケットなど)を利用するのも良いでしょう。ただし絶対に避けるべき食品として、塩分の多い人間の食べ物(加工肉やスナック菓子)、高タンパク質のオヤツ(チーズ、かつお節、ジャーキー類)などがあります。これらは少量でも腎臓に負担となるので与えないでください。
療法食を食べない時は…: 腎臓療法食は風味が淡白で嗜好性がやや低いため、犬によってはなかなか食べてくれないケースもあります。無理に切り替えてまったく食べなくなると低栄養でかえって悪影響なので、嫌がる場合は徐々に混ぜて慣らす、いくつか別のメーカーの療法食を試す、といった対策をとりましょう。どうしても療法食を口にしない場合、獣医師の許可を得て、市販のフードにリン吸着剤を添加しリンを排泄させる方法もあります(ただし根本的な解決にはならないため獣医師と相談が必要です)。療法食に少しだけ茹でたサツマイモやカボチャを混ぜると食いつきが良くなることもあります。サツマイモやジャガイモはリンやタンパク質が少なくエネルギー源になるため、トッピングとして適しています。ただし鶏ささみや魚など動物性タンパクはリンも多く含むため、トッピングに使う際は極少量にとどめてください。食べてくれる療法食が見つかるまでは、主治医と二人三脚で根気強く工夫を重ねていきましょう。
腎臓病の犬におすすめのフード・サプリ3選
ここでは、慢性腎臓病の愛犬の健康管理に役立つ療法食やサプリメントを獣医師の視点から3つ紹介します。いずれも腎臓への負担軽減を目的に開発された製品です。愛犬の好みや病状に合わせて、主治医と相談の上で取り入れてみてください。
腎臓病の犬におすすめのフード・サプリ3選比較表
順位 | 商品名・メーカー | オススメ度 | 種類 | 主な成分・特徴 | 価格帯 | 対象ステージ | 嗜好性 | 主な効果・メリット |
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1位 | ヒルズ k/d 犬用 | ★★★★★ | 療法食 | リン・ナトリウム制限、高品質タンパク質、オメガ-3脂肪酸 | 中程度 | ステージ2~4 | ★★★★☆ | 長年の実績と科学的根拠。腎不全進行を遅らせる効果。ドライ・ウェット両方あり |
2位 | ロイヤルカナン 腎臓サポート | ★★★★☆ | 療法食 | 高消化性タンパク質、リン制限、ビタミンB群・EPA+DHA強化 | 中程度 | ステージ1~4 | ★★★★★ | 豊富なバリエーション。食べ飽きしにくい。粒が小さくシニア犬も食べやすい |
3位 | ネフガード | ★★★☆☆ | サプリメント | ヤシ殻由来活性炭 | 低価格 | ステージ3~4推奨 | ★★★☆☆ | 尿毒素を腸内で吸着・排泄。BUN値改善。副作用少なく長期使用可能 |
1. ヒルズ プリスクリプション・ダイエット k/d 犬用 (腎臓ケア)
特徴: 腎臓病の食事療法といえばまず名前が挙がる信頼の療法食が、ヒルズの「k/d」です。リンやナトリウムを制限し、高品質なたんぱく質を適切な量だけ含有した処方で、腎臓への負担を軽減しますdonavi.ne.jp。さらにオメガ-3脂肪酸や抗酸化成分も強化され、腎臓の健康維持を総合的にサポートします。ヒルズ独自の「キドニーディフェンス」技術により腸内で尿毒素の産生を管理し、腎不全の進行を遅らせる効果も謳われています。また嗜好性にも配慮されており、科学的においしさが証明されたチキン風味の粒となっていますdonavi.ne.jp。実際、「ヒルズ k/dを与えたら食欲が戻った」「療法食でも喜んで食べてくれる」といった飼い主さんの声も多く、継続しやすい工夫がされています。
おすすめ理由: ヒルズ k/dは長年にわたり世界中で使用され、その有効性が臨床的にも確認された実績あるフードです。腎臓病の犬のQOL向上に役立つことが科学的に証明されており、ステージ2~4の幅広い腎不全の犬に対応できますdonavi.ne.jp。ドライタイプだけでなく缶詰タイプ(チキン&野菜シチューなど)も販売されており、食欲や嗜好に合わせて選択可能です。獣医師からの信頼も厚く、迷ったらまず試していただきたい定番療法食と言えます。
適しているケース: 慢性腎臓病と診断されたすべての犬(※妊娠犬や成長期の子犬は除く)が対象です。特にクレアチニンやBUNが高値で腎負担軽減が急務な子、尿タンパクが出ている子、高齢で腎機能が低下してきた子に適しています。味にうるさい愛犬には、ドライとウェットを混ぜたりレンジで温めるなどして風味を高めると良いでしょう。
購入先: 動物病院で購入できるほか、ヒルズ公式オンラインショップやAmazon、楽天市場などの通販サイトでも入手可能です。ただし療法食につき基本的には獣医師の指導のもと与えてください。
2. ロイヤルカナン 療法食 腎臓サポート ドッグフード
特徴: ヒルズと並んで療法食の両巨頭といえるのがロイヤルカナン社の「腎臓サポート」シリーズです。こちらもリン含有量を抑え、高消化性のタンパク質を厳選配合したフードで、腎不全の進行抑制に役立ちます。ロイヤルカナン腎臓サポートは香りや食感のバリエーションが豊富な点が特徴です。ドライフードでも通常粒の他に「スペシャル」「セレクション」など嗜好性を変えた粒があり、ウェットもパウチや缶で数種類の味を展開しています。「食べ飽きしやすい腎不全の犬にもローテーションで与えられる」と評判です。腎臓病で不足しがちなビタミンB群やEPA+DHA、抗酸化物質も強化され、総合栄養食として必要栄養素を満たしています。粒が小さめでシニア犬でも食べやすく作られている点も嬉しい配慮です。
おすすめ理由: ロイヤルカナンは世界的なペットフード研究機関を持ち、エビデンス重視で処方設計されています。その腎臓サポートも獣医師の信頼が厚く、多くの動物病院で処方されています。特に多彩なラインナップは他に代え難く、「ヒルズは食べなかったけどロイヤルカナンなら食べた」というケースも少なくありません。腎臓病のステージや好みに合わせ、「早期腎臓サポート」から「腎臓サポート スペシャル」まで使い分けることができます。食事に飽きやすい子や、ドライとウェットを組み合わせて与えたい飼い主さんにも最適です。
適しているケース: 腎臓病のステージ1~4まで幅広く利用できます。初期の予防的な食事管理から末期のサポートまで、獣医師の指示に応じて種類を選択します。特に「食事の好き嫌いが激しい」「療法食を途中で嫌がる」といったワンちゃんには、ロイヤルカナンの複数の風味・形状を試しながら与えることで飽きにくくなる利点があります。
購入先: 全国の動物病院で取り扱いがあるほか、Amazonや楽天市場などの通販でも購入可能です。公式サイト経由で獣医師に紹介された通販ショップから取り寄せることもできます。購入時は必ず獣医師から指示された製品を選ぶようにしてください。
3. ネフガード (活性炭サプリメント)
特徴: 「ネフガード」は腎臓ケアに用いられるサプリメントで、主成分はヤシ殻由来の活性炭です。活性炭には多孔質による強力な吸着作用があり、腸内で尿毒症の原因となる老廃物や毒素を吸着して体外へ排泄させる働きをします。腎臓病で腎機能が低下すると、本来尿中に排泄すべき老廃物の一部が腸から再吸収され体内に蓄積してしまいますが、ネフガードはそれを腸管内でキャッチして便と一緒に排泄させることで、血中の有害物質濃度を下げる手助けをします。製品は黒い粒状のカプセルや粉末タイプがあり、基本的に無味無臭なのでフードに混ぜても犬が嫌がりにくい利点があります。
おすすめ理由: ネフガードは動物病院でも腎不全の補助療法として広く使われています。飼い主さんからは「使い始めてBUNの数値が改善した」「愛犬の吐き気が減ってご飯を食べるようになった」といった声が多く、尿毒症状の緩和に貢献するとされています。薬ではなくサプリメント扱いのため副作用も少なく(※ごくまれに便秘が見られる程度)、長期的に使いやすい点もメリットです。特にステージ3~4でBUNやクレアチニンが高い子では、食事療法と併用することでQOL向上が期待できます。
適しているケース: 中~末期の慢性腎臓病で尿毒症状(食欲不振、嘔吐など)が出ている犬に適しています。早期で症状が少ない段階でも、予防的に投与して老廃物蓄積を抑える目的で使うことがあります。腎不全だけでなく肝不全など毒素蓄積を伴う病態にも応用されます。ただし活性炭は他の薬剤を吸着してしまう恐れがあるため、もし腎臓病で別の内服薬(降圧剤など)を飲んでいる場合は、ネフガード投与の時間を薬と2時間以上ずらす必要があります。使用前には必ず獣医師に相談しましょう。
購入先: 動物病院で処方してもらえるほか、市販もされているため通販サイト(Amazonやペット用品店)で購入可能です。粒タイプ・顆粒タイプともに1ボトル数千円程度で入手できます。継続使用する場合は定期購入制度などを利用すると経済的かもしれません。いずれにせよ獣医師の指導の下、適切な量を継続して与えてください。
まとめ
犬の慢性腎臓病は静かに進行する怖い病気ですが、正しく理解し早期から対策を行うことで、愛犬の負担を減らし穏やかな生活を送らせてあげることができます。症状が出にくい初期だからこそ定期検診による早期発見が重要であり、異変に気づいたらすぐ受診しましょう。
診断された後は、獣医師と二人三脚で食事管理や投薬、家庭でのケアを継続することがポイントです。
飼い主さんの不安を減らし、愛犬が少しでも快適に過ごせる時間を延ばすために、この記事の情報がお役に立てば幸いです。大切な愛犬と向き合いながら、できる限りのサポートをしてあげましょう。