愛犬が時折、嘔吐することはありませんか?
大好きな食べ物を突然食べなくなったりしませんか?
食後におならをしたり、下痢をしたりすることはありませんか?
もし当てはまる症状があれば、診断が難しい慢性膵炎を患っているかもしれません。
"膵炎"とよばれる病気を聞いたことがある飼い主さんは多くいらっしゃると思います。
しかしながら、実は膵炎には2種類あり、急性膵炎と慢性膵炎に分類されていることをご存知でしょうか?
急性膵炎は集中治療により1〜2週間で完治しますが、慢性膵炎は治ることはありません。そして慢性膵炎は、他の消化器疾患と区別することが難しく、早期発見できないケースが多いのです。
慢性膵炎が起こったからといって、すぐに命にかかわるわけではありませんが、糖尿病や膵外分泌不全などといった様々な疾患を併発する場合があり、その際は注意しなければなりません。
今回の記事では、あまり知られていない慢性膵炎を患ったワンちゃんの寿命•症状•食事などについて獣医師が詳しく解説いたします!
膵臓ってどんな臓器?
膵臓は、胃の底部と小腸の起始部の近くにくっついている、細長いピンク色のの消化器官です。
膵臓の働きには、外分泌機能と内分泌機能があります。外分泌機能は食物を消化するための酵素を分泌することです。内分泌機能はインスリンやグルカゴンなどのホルモンを分泌して血糖値を調節する役割を担っています。
膵炎ってどんな病気?
膵炎はなぜ起こるのかというと、膵臓から分泌される消化酵素に原因があります。
というのも、膵臓から分泌される消化酵素が脂肪・炭水化物•タンパク質を分解するのと同じように、自分の膵臓を消化し始める(自己消化)と膵炎が起こるためです。
たとえば、高脂肪食を食べた場合、膵臓から多量の消化酵素が分泌されます。そしてその多量の消化酵素が膵臓内で活性化し、膵組織を自己消化して炎症が起こるのです。それを膵炎とよびます。
そして慢性膵炎は、その膵炎が繰り返される事で、膵臓の細胞が破壊され、膵組織が萎縮•繊維化を引き起こし、膵臓の機能が低下してしまう病気です。
急性膵炎を繰り返すことで慢性膵炎になることが多いですが、逆に慢性膵炎から急性膵炎に急性増悪してしまうこともあります。
慢性膵炎を引き起こすと、糖尿病や膵外分泌不全といった疾患を併発することがあります。
慢性膵炎で起こる6つの症状
急性膵炎とは異なり、慢性膵炎の犬には数ヶ月から数年にわたり症状が認められます。以下のような症状が長期に渡って慢性的に起こっているかどうかを観察してください。
- 元気、食欲不振
- 大腸炎(粘液・鮮血を含む便)
- 嘔吐
- 下痢(水様便、軟便)
- 昔よりも嘔吐の回数が増えた
- おなかがゴロゴロ鳴ることが多い
- 腹部不快感や痛み
上記の症状が複数個当てはまるようであれば、慢性膵炎の可能性があります。
慢性膵炎は、無症状あるいは、嘔吐や下痢、食欲不振による脱水症状や体重の減少、黄疸・発熱・低体温・腹痛も起こります。
慢性膵炎の特徴は、急性膵炎のような激しい症状というよりかは、緩やかな慢性的な消化器症状を引き起こします。
慢性膵炎は、無症状のこともあるため、膵炎以外の慢性消化器疾患との鑑別が困難な疾患です。診断が難しいとされる慢性膵炎ですが、最新の検査技術を駆使することで、より正確に状態を把握し、適切な治療を行うことが可能になっています。
慢性膵炎は、長期間にわたり症状が続くことが多いため、早期発見と適切な治療が重要です。適切な診断と治療を受けることで、合併症のリスクを軽減することができます。
急性膵炎はどのくらいで治るの?
回復にかかる時間は、犬の膵炎の重症度によって異なります。軽症の場合は、2~4日の入院が必要です。退院後、1~2週間で完全に回復します。
急性膵炎にこれといった特効薬はなく、輸液や鎮痛剤、制吐剤、抗凝固剤などを使用することで症状を緩和し、回復を待ちます。
原則、急性膵炎の治療は入院で静脈点滴を行いますが、入院が強いストレスとなる場合には、毎日通院で皮下点滴やブレンダZ(フザプラジブナトリウム水和物)などの抗炎症薬を投与する場合もあります。
症状が重くても、とにかく諦めず治療を続けることが大切です。
犬の膵炎は完治しますか?
はい、膵炎は完治可能で、治療法があります。ほとんどの犬は輸液療法と内科的管理で回復します。しかし、慢性膵炎はコントロールが難しいことがあります。
慢性膵炎はどのくらいで治るの??
慢性膵炎は完治は難しいです。
というのも膵組織が萎縮や繊維化といった不可逆的な変化が起こっているため、それらが元に戻ることは考えにくいからです。
慢性膵炎は付き合っていく病気ですので、その治療も膵臓の炎症を抑えたり、痛みを取り除いたり、吐き気止めを使用したりなどといった対症療法になります。
慢性膵炎が起こりやすい犬種は?
ミニチュアシュナウザーは、遺伝的に脂肪の代謝が悪く(高脂血症)、膵臓から過剰な脂肪消化酵素が分泌されるため、膵炎を起こしやすい体質とされています。
またイングリッシュ・コッカー・スパニエルに関しては、自己免疫性の膵炎が好発すると報告されています。
その他の原因としては、膵臓の外傷、腫瘍、過去に避難去勢以外の手術を行ったことがある、抗生物質・化学療法(ロイナーゼ)・臭化カリウムなどの薬物などがあります。また、糖尿病、甲状腺機能低下症、クッシング症候群といった内分泌疾患も犬の膵炎の原因となることがあります。
慢性膵炎は診断が難しい!
残念ながら、慢性膵炎に特異的な検査はありません。
慢性膵炎の診断を行うためには、症状、血液検査(特にSPEC cPLや膵特異的リパーゼ)、腹部超音波検査などを組み合わせて行われます。確定診断は膵臓生検に基づいて行われますが、犬では行われることがほとんどありません。
そのため、慢性膵炎は他の疾患を除外して診断される除外診断となりますので、診断をつけるまでにかなりの時間を要することがほとんどです。
慢性膵炎の治療(内科療法・食事について)
慢性膵炎の治療は、内科療法による対症療法と療法食(低脂肪食)が推奨されます。
内科療法による対症療法(痛み・炎症・吐き気など)
慢性膵炎で最も早く取り除いてあげないといけないものは腹部の強い痛みです。痛みは犬の生活の質を大きく低下させてしまいますので、慢性膵炎の際はブトルファノール・トラマドール・ブプレノルフィンなどといった鎮痛剤を早期に使用することが重要です。
イヌやネコの自己免疫性の慢性膵炎に対しては、ステロイドによって症状の改善が認められたとの報告がなされています。ステロイドは血栓症を引き起こしたり、糖尿病を悪化させるなど副作用を引き起こすこともありますので慎重に投与することが重要です。
また、免疫抑制剤であるシクロスポリンによっても自己免疫性の慢性膵炎をコントロールする事ができた症例も報告されています。シクロスポリンは、ステロイドに比べて副作用が少ないことが利点です。
嘔吐や下痢がある場合には、吐き気止めであるセレニア(マロピタント)、整腸剤(プロバイオティクス)、下痢止め(ディアバスター•デルクリア)を使用し、対症療法を行います。
その他には蛋白分解酵素阻害剤や消化酵素剤を使用します。
低脂肪食の給餌がカギ
慢性膵炎の治療には、低脂肪食を給餌することも重要です。
乾物ベースで7%以下の脂肪を含む食事を探してください。例えば、缶詰のラベルに粗脂肪が4%と記載されている場合であっても、実際の脂肪は乾物ベースで約16%であり、低脂肪とはいえません。(水分76%、乾物24%、4÷24×100=16%)
低脂肪のドッグフードとしては、鶏肉•鹿肉・馬肉・ラム肉などの低脂肪の原材料を使用しているフードがオススメです。
もし手作りの低脂肪食を作る場合には、ささみ•白身魚といった低脂質•高タンパク質の食材をベースにさつまいもなどの炭水化物をトッピングするとよいでしょう。
手作り食については以下の記事で詳しく解説しておりますので、ぜひ参考にしてみてください!
小麦(パン)、大豆、とうもろこしといった穀物は、健康な犬でも消化が難しいことがあります。
膵炎の犬では、消化に必要な酵素が不足しているため、さらに消化することが困難ですので、あまりあげない方が良いでしょう。
膵炎にいい食べ物
低脂肪以外で膵炎にいい食べ物の条件はどのようなものがあるのでしょうか?
低脂肪以外の膵炎にいい食べ物の条件は、以下のようなものがあります。
- 高繊維であること
- 低糖質(GI)であること
- 高品質な消化に良いタンパク質を使用していること
- オメガ3脂肪酸などの炎症を抑える自然成分が含有されていること
獣医師オススメの膵臓に良いフードはどれ?
なかなか膵臓に良い低脂肪フードが見つからない...
低脂肪フードの食いつきが悪い...
フードを食べても膵炎が再発してしまう...
といったお悩みを多くの飼い主さんが持っていらっしゃることでしょう。
良い低脂肪フードと巡り会えると、
あなたの愛犬の膵炎が良くなるのはもちろんのこと、
フードの食いつきがいいのでおやつをあげなくても大満足で、さらには愛犬の体質が膵炎になりにくい体質へと変わっていくので、膵炎が繰り返し再発することがなくなります!
どうすればそんなことが可能になるのでしょうか。
そのためには、体質を改善しながら膵炎をしっかり治してくれる低脂肪フードを選ぶ必要があります!
具体的に私が提案する良い低脂肪のフードは
- 膵臓に負担をかけないレベルで低脂肪であること
- 膵炎になりにくい体質へと改善する作用がある
- 嗜好性が高く、食いつきが良い
といった3つの条件を満たしている療法食です。
これらの条件を満たしている低脂肪フードを獣医師である私が厳選して、ご紹介しましょう!
和漢みらいのドッグフード
和漢みらいのドッグフードは漢方を導入した特別療法食
和漢みらいのドッグフードって何がすごいの??
和漢みらいのドッグフード【特別療法(膵臓用)】は、製薬会社が開発した高性能ドッグフードで、
- 膵臓に良い漢方含有(89種類)
- 高品質な鹿肉使用
- 腸内環境を意識したマクロビ発酵素材配合
- オメガ3脂肪酸含有
- ファイトケミカル含有
など他のドッグフードには含まれていない愛犬の体に良い成分がたくさん配合されています。
和漢みらいのドッグフードには漢方を中心に、
鹿肉などの良質なタンパク質や腸内環境を意識したマクロビ発酵素材が使用されています。
漢方によって、膵臓のケアだけでなく、根本となっている体質を改善することができます。
漢方を導入した特別療法食
和漢みらいのドッグフードって何がすごいの??
和漢みらいのドッグフード【特別療法(膵臓用)】は、製薬会社が開発した高性能ドッグフードで、
- 膵臓に良い漢方含有(89種類)
- 高品質な鹿肉使用
- 腸内環境を意識したマクロビ発酵素材配合
- オメガ3脂肪酸含有
- ファイトケミカル含有
など他のドッグフードには含まれていない愛犬の体に良い成分がたくさん配合されています。
和漢みらいのドッグフードには漢方を中心に、
鹿肉などの良質なタンパク質や腸内環境を意識したマクロビ発酵素材が使用されています。
漢方によって、膵臓のケアだけでなく、根本となっている体質を改善することができます。
食いつきがとても良い
和漢みらいのドッグフード【特別療法食(膵臓用)】は療法食だし、和漢が入っているけど、美味しいの??
和漢みらいのドッグフード【特別療法(膵臓用)】は原材料にもとことんこだわっているので、
高品質なタンパク源を摂取できるだけでなく、
食いつきも非常に良いドッグフードですので、
あまり食べないわんちゃんにもオススメです!
膵臓にやさしい低脂肪
和漢みらいのドッグフード【特別療法(膵臓用)】は膵臓に優しい設計がされており、
にこだわったヒューマングレードのドッグフードです!
和漢のフードの口コミ
和漢のフードの気になる口コミを以下でご紹介します。
イヤイヤが多い我家の老犬も色々試しました。和漢のフードは飽きずに食べてくれてます。やっと継続して食べてくれるフードにたどり着きました!血液検査も横ばいで悪化はしていません。ありがとうございます。
40代女性
低脂肪のフードを色々試しましたが、1番食いつきがいいです。他のは食べないかしぶしぶ食べるような子ですが、がっついて食べます。
高齢犬にもぴったり
60代女性
19才なので膵臓の機能も低下しており、食べやすいフードはないか探していました。フードを変えて食べないことかないよう、いつものフードに(小粒なので)ふりかけのようにしたところ気にせず食べてくれました。めざせ20才!
膵炎に悩む愛犬とその飼い主さんに、心からこのフードを推奨します。
オススメの低脂肪ウエットフードランキング3選
i/d low fat チキン&野菜入りシチュー 缶詰
- 優れた消化性と低脂肪
- ショウガ、メガ-3脂肪酸を含有
- 科学的に証明された抗酸化成分
- ミネラルを調整
- とにかく美味しくて食いつきがいい!
i/d アイディー ローファット チキン&野菜入りシチュー 缶詰 は夢中になるおいしさで低脂肪食を必要とする愛犬の消化の不調をケアするのに役立つ優れた消化性のたんぱく質をもつ療法食です。
このシチュー缶は、一口サイズの美味しいお肉や、お米、野菜などの食材で作られており、食欲が落ちた膵炎の犬に最適です。
消化器サポート低脂肪
【高消化性】消化管の健康維持に配慮して高消化性に設計。さらにプレバイオティクスを含む複数の食物繊維をバランスよく配合。
【低脂肪】脂肪制限が必要な犬のために、脂肪含有量を調整。
【食物繊維バランス】低脂肪でも必要なエネルギーを摂取できるように、食物繊維の含有量を調整。
消化器サポート低脂肪缶は、消化吸収不良による下痢や高脂血症の犬に給与することを目的として、特別に調製された食事療法食です。この食事は、脂肪や食物繊維の含有量を調整し、消化性の高い原材料を使用しています。
クリティカルリキッドGI high energy
クリティカルリキッドGI high energyは膵炎の回復期に給与する目的で特別に調製された食事療法食(流動食)です。
この食事は、脂肪の含有量を低く調整しながら、必須脂肪酸や必要栄養素を強化しています。また消化性の高い原材料を使用し、カロリー含有量を高めています。
オススメのサプリメント
マイトマックススーパー
膵炎がよく起こる場合は、もともと腸内環境が悪いワンちゃんの可能性が高いです。腸内環境を整えるためには、整腸剤をサプリメントとして与えた方が良いです。
愛犬へのオススメのサプリはマイトマックススーパーです。
マイトマックススーパーは、これまでの乳酸菌製品とは全く異なるペディオコッカス菌製品で、素早く愛犬のお腹の腸内細菌バランスを整えてくれます。
また生きたまま菌が届くので、腸へとダイレクトに整腸剤の効果を出すことが可能です。軟便や下痢などの腸のお悩みを抱えている愛犬御用達のどうぶつで処方されるオススメの整腸剤です。
慢性膵炎になったワンちゃんの寿命はどのくらい?
慢性膵炎になってしまったワンちゃんは健康なワンちゃんと比較して、寿命が短くなってしまうことが報告されています。
なぜ寿命が短くなってしまうかというと、慢性膵炎に併発して、糖尿病・膵外分泌不全・腎臓病といった様々な疾患が併発してしまうためです。
また、急性膵炎を発症した場合には、20~40%が亡くなることが報告されています。
慢性膵炎にはオメガ3脂肪酸サプリメントがおすすめ
オメガ3脂肪酸のサプリメントは、慢性膵炎の犬に対して効果的な栄養補助としておすすめのサプリメントです。
まず第1に、オメガ3脂肪酸は抗炎症作用を持っています。膵炎は炎症反応が関与するため、抗炎症効果のあるオメガ3脂肪酸は炎症の軽減に役立ちます。
特に、EPA(エイコサペンタエン酸)およびDHA(ドコサヘキサエン酸)は、炎症を抑制する働きを示すことが知られています。
次に、オメガ3脂肪酸は免疫機能の調整に効果があります。慢性膵炎の犬では、免疫機能が過剰に反応して炎症を引き起こすことがあります。
オメガ3脂肪酸は、免疫細胞の働きを調整し、過剰な炎症反応を抑制する効果があり、慢性膵炎の症状の緩和や進行の遅延が期待できます。
まとめ
本記事のまとめです。
- 慢性膵炎は治らない消化器疾患で、長期にわたって嘔吐などの症状が続く。
- 慢性膵炎は、膵炎が繰り返される事で、膵臓の細胞が破壊され、膵組織が萎縮•繊維化を引き起こす病気。
- 糖尿病や膵外分泌不全を慢性膵炎では併発することがある。
- 慢性膵炎を除外診断により診断されるため、発見が遅れることがある。
- 食事療法は重要で、低脂肪食を与える必要がある。
最後に、犬の慢性膵炎は治る病気ではないため、一生涯のケアが必要です。
膵臓の炎症が進行する前に、早期発見と早期診断が重要です。痛みの緩和と栄養補給を目的とした治療に加え、犬の運動時間を増やしたり、定期的な健康チェックを受けることも重要です。
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✔︎以下の記事で“膵炎の手作り食“については以下の記事で総まとめしていますので、ぜひ参考にしてみてください!
✔︎以下の記事で“獣医師がオススメする膵臓に良いフード6選“を総まとめしていますので、ぜひ参考にしてください!
飽きずに食べてくれてます。
20代女性