国際腎臓病研究会のステージ1は、クレアチニンが正常範囲内(<1.4 mg/dL)でも腎臓病と診断される特殊な段階です。診断の根拠となるのは主に以下の3つです:
IDEXX研究(Hall JA et al. 2014)によると、SDMAは腎機能が40%低下した時点で上昇し始めるのに対し、クレアチニンは75%低下しないと上昇しません。つまりSDMAは「見えなかった初期腎臓病」を表面化させる革命的なバイオマーカーです。
| 指標 | 検出できる腎機能低下 | 特徴 |
|---|---|---|
| SDMA | 40%低下から上昇 | 早期・高感度・筋肉量に影響されにくい |
| クレアチニン | 75%低下して初めて上昇 | 長年使われてきた標準指標だが感度が低い |
| BUN(尿素窒素) | 50〜60%低下から上昇 | 食事内容・水分量に大きく左右される |
ステージ1は自覚症状がほぼなく、多くの場合「たまたま受けた健康診断」「他の病気の検査中」に発見されます。発見のきっかけを知っておくことが、早期発見への第一歩です。
ステージ1の管理で最も重要なのは、定期的な血液・尿検査で「変化のトレンド」を追うことです。1回の数値より、経時的な推移が重要です。
| 検査項目 | ステージ1の目安 | 注意が必要な変化 |
|---|---|---|
| SDMA | 18〜25 μg/dL(要注意範囲) | 26 μg/dL 以上 → ステージ2を示唆 |
| 血清クレアチニン | < 1.4 mg/dL | 1.4 mg/dL 以上 → ステージ2移行 |
| 血清リン | < 4.5 mg/dL が理想 | 上昇トレンドは食事管理強化のサイン |
| BUN(血中尿素窒素) | 10〜28 mg/dL | 食事・水分量で変動大。クレアチニンとセットで評価 |
| UPC比(尿) 尿中タンパク漏れの程度を示す検査値 | < 0.2 が正常 | 0.5 以上 → 積極的な治療介入が必要 |
| 血圧 | < 140 mmHg(収縮期) | 160 mmHg 以上で腎臓への二次障害が加速 |
検査結果は1枚にまとめた表にして時系列で管理しておくと、微妙な変化に気づきやすくなります。スマートフォンのメモアプリやスプレッドシートへの記録をお勧めします。
国際腎臓病研究会2023年版ガイドラインでは、ステージ1からの食事管理開始を推奨しています。目標リン量(%DM:乾物換算)は0.4〜0.6%です。
一般的な市販フードのリン量は0.6〜1.2%DMが多い。ステージ1の時点から腎臓病対応フード(または低リン市販食)に切り替えることで、腎線維化の進行を抑制できます。
ウェットフードへの移行が最も効果的。飲水量の目標は体重1kgあたり50〜60mL/日。複数の水皿・ウォーターファウンテンの設置も有効です。
ステージ1では過度なタンパク制限は不要。18〜22%DM程度の高品質なタンパク源(鶏肉・魚)を選ぶことが基本です。
血圧が160 mmHg以上の場合は低ナトリウム食も考慮。処方食(Hill's k/d等)は低ナトリウムに設計されています。
腎臓病処方食を食べたグループの中央生存期間は594日、通常食グループは188日。この差はステージ2〜3の犬を対象としたものですが、ステージ1から食事管理を始めることで、さらに長い予防効果が期待できます。
国際腎臓病研究会2023年版基準(リン0.4〜0.6%DM)を満たす製品から、嗜好性・入手しやすさも加味して選定。
初期の腎機能不全犬にEPA/DHAを補給したところ、腎内炎症が抑制され、腎機能の低下速度が有意に緩やかになることが示されました(J Lab Clin Med, 135(3): 275–286)。ステージ1から開始することで最大の予防効果が期待できます。
| 検査 | 頻度(ステージ1) | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 血液検査(腎機能) | 6ヶ月に1回 | SDMA・クレアチニン・BUN・リン・カリウム |
| 尿検査(比重・タンパク) | 6ヶ月に1回 | UPC比・尿比重・細菌培養(UTI除外) |
| 血圧測定 | 6ヶ月に1回 | 目標:収縮期 <140 mmHg |
| 体重・BCSチェック | 毎月 | 体重の変化トレンドに注目 |
| 腹部超音波(腎臓の形態) | 年1回 | サイズ・エコー輝度・囊胞の有無 |
症状がないと受診を怠りがちですが、6ヶ月の間に急速に進行するケースがあります。「次回の予約日をその場で取る」習慣を持つことで、継続的なモニタリングが実現します。
上記のサインが見られたら、すぐに獣医師に相談し、ステージ2管理ガイドに移行してください。食事管理の強化とより頻繁なモニタリングが必要になります。
正しいフードとサプリを選ぶことで、ステージ2・3への移行を大幅に遅らせることができます。
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Supervised by
獣医師・動物病院院長
臨床15年以上東京都内・動物病院院長
臨床歴15年以上、東京都内で動物病院を開業する院長。腎臓病の初期は症状が出にくいからこそ、「早めに知って、早めに動くことが愛犬のその後を大きく変える」と伝え続けている。不安を抱えた飼い主が一つひとつ納得できるよう、丁寧な説明を診療の核においている。飼い主向けセミナーの講師も務め、ペット専門誌・Webメディアへの監修・寄稿実績あり。
最終監修日: 2026年3月 | 本ページのステージ1診断基準・食事管理方針・フード推奨内容を監修
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