国際腎臓病研究会 腎臓病 ステージ3

犬の腎臓病
ステージ3 完全管理ガイド

クレアチニン 2.9〜5.0 mg/dL。症状が顕著になり始めるこのステージ、食事管理が生存期間に大きく影響することがエビデンスで示されています(Jacob et al. 2002、ステージ2〜3対象)。

血清クレアチニン
2.9〜5.0
mg/dL
SDMA
36〜54
μg/dL
リン目標(%DM)
0.15〜0.4
%(乾物換算)
尿比重
<1.020
濃縮能低下

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国際腎臓病研究会準拠・リン量を乾物換算で比較

腎臓病 ステージ3 管理ガイド

目次

  1. ステージ3とは何か
  2. 症状チェックリスト(10項目)
  3. 余命と予後のエビデンス
  4. 食事管理の完全ガイド
  5. 推奨フードランキング
  6. サプリメント戦略
  7. 薬物療法の概要
  8. 自宅ケア・モニタリング
  9. 病院フォローアップ頻度
  10. ステージ4への移行サイン

1. ステージ3とは何か

国際腎臓病研究会の分類では、腎臓病ステージ3は血清クレアチニンが2.9〜5.0 mg/dL、SDMAが36〜54 μg/dLの範囲を指します。腎機能の約75%以上が失われており、残った腎臓で体内毒素を排出しようとする「代償機能」がほぼ限界に達している状態です。

このステージの最大の特徴は、症状が飼い主にもはっきり見えるようになるという点です。多飲多尿、食欲の低下、体重の減少、元気消沈—これらが重なって現れます。また、リンの代謝障害が加速するため、食事管理が治療の中核になります。

重要:ステージ3は「最重要管理期」
ここで適切な介入を行うかどうかが、その後の余命と生活の質を大きく左右します。特にリン制限食への切り替えは最優先事項です。

2. ステージ3の症状チェックリスト

当てはまる症状をタップしてチェックしてください。

0 / 10 項目 (0%)
チェックリストに回答してください

3. 余命と予後のエビデンス

0日
処方食グループの
中央生存期間
0日
通常食グループの
中央生存期間
0倍
食事管理で寿命が延びる差

生存期間の比較(Jacob et al. 2002 JAVMA)

処方腎臓食グループ 594日
594日
通常食グループ 188日
188日

出典: Jacob F et al. (2002) Clinical evaluation of dietary modification for treatment of spontaneous chronic renal failure in dogs. JAVMA, 220(8): 1163–1170.

ステージ3の余命は個体差が大きく、食事管理を継続した群では中央生存期間594日(約1年7ヶ月)という報告があります(Jacob et al. 2002)。個体差はありますが、適切なケアで目安を超えるケースも多く見られます。最も重要な予後因子は食事管理の継続と、合併症(高血圧・貧血・尿路感染)のコントロールです。今できることを一つひとつ積み重ねていきましょう。

食事管理で変わる数字を、フード選定に活かす

処方食グループと通常食グループの差は「何を食べさせるか」で生まれました。ステージ3に対応したフードをリン量・タンパク質・月額コストで比較しています。

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4. 食事管理の完全ガイド

ステージ3の食事管理は「何を食べさせるか」ではなく「何を制限するか」を正確に理解することが出発点です。

① リン制限(最重要)

国際腎臓病研究会2023年版準拠:目標 0.15〜0.4%DM(乾物換算)

腎臓病が進行するとリンの排泄能力が低下し、血中リン濃度が上昇(高リン血症)します。これが腎臓の線維化を加速させる「最大の悪循環」です。一般市販フードのリン含量は0.6〜1.2%DM程度なので、腎臓病専用フードへの切り替えが必須です。

② タンパク質制限(適度に)

目標:14〜20%DM(高品質なタンパク源で最小限に)

タンパク質の代謝産物(BUN・尿毒素)が腎臓に負担をかけます。ただし過度な制限は筋肉量低下を招くため、「量を減らして質を上げる」が原則です。

③ 水分摂取(積極的に増やす)

目標:体重1kgあたり50〜80mL/日以上

十分な水分は残存腎機能による毒素排出を助けます。ウェットフードへの切り替え、複数の水皿設置、ウォーターファウンテン(循環式給水器)の導入が効果的です。

④ カリウム(検査値に応じて補充)

低カリウム血症(<3.5 mEq/L)の場合は補充が必要

多尿によりカリウムが失われやすくなります。低下すると筋力低下・頸部腹側屈症(首が下がる)が起こります。血液検査で定期的に確認し、必要に応じてサプリメントを追加します。

5. ステージ3推奨フードランキング(TOP3)

国際腎臓病研究会2023年版基準(リン0.15〜0.4%DM)を満たす製品から選定。詳細はフードランキングページで確認できます。

1
ステージ3対応・長期管理向き
yumyumyum 腎臓ケア
リン: 0.38%DM(乾物換算)ステージ 3基準内
国産素材・低リン。ステージ3の食欲低下局面でも食べ続けやすい嗜好性が特長。長期管理の第一選択。水をフードに足して水分補給を補うことも有効。
2
次点推奨
ヒルズ プリスクリプション k/d
リン: 0.18〜0.22%DM
EPA/DHA配合で炎症抑制効果あり。長期臨床試験データが豊富。
3
特化型
ロイヤルカナン 腎臓サポートS
リン: 0.15〜0.20%DM
超低リン設計。リン値がより高い場合(4.5 mg/dL以上)に特に適する。

フード選びで迷ったら:ステージ別早見表

ウェットフード・ドライフードの水分摂取量換算、月額コスト比較、各商品の注意点をまとめた一覧ページで、担当獣医師との相談材料を整理できます。

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6. サプリメント戦略

ステージ3では食事管理を土台とし、不足を補う形でサプリメントを追加するのが原則です。サプリは獣医師の指示のもと使用してください。
1
EPA/DHA(オメガ3脂肪酸)
推奨量:40〜100 mg/kg/日(EPA+DHA合計)
研究あり
2
リン吸着剤(処方品)
食事のリン制限でも血中リンが下がらない場合に使用
国際腎臓病研究会基準
3
カリウム補充(クエン酸カリウム等)
血清カリウム <3.5 mEq/Lの場合に補充
獣医師一致見解
4
ビタミンB複合体
多尿による水溶性ビタミン損失を補う
補助的

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EPA/DHAの選び方、リン吸着剤の種類、危険なサプリ一覧を解説。

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7. 薬物療法の概要

ステージ3では食事管理に加え、複数の薬物療法を組み合わせるのが一般的です。以下は主な選択肢です(処方・用量は必ず担当獣医師の指示に従ってください)。

薬剤カテゴリー 目的 対象となる状態
リン吸着剤(水酸化アルミニウム等) 腸管でのリン吸収を抑制 血清リン >4.5 mg/dL
ACE阻害剤・ARB(ベナゼプリル等) タンパク尿軽減・腎保護 タンパク尿あり(UPC >0.5)
降圧剤(アムロジピン等) 高血圧コントロール 収縮期血圧 >160 mmHg
エリスロポエチン製剤 腎性貧血の改善 Ht <20%
制吐剤(マロピタント等) 嘔吐・吐き気の緩和 嘔吐が頻繁な場合
胃保護剤(オメプラゾール等) 尿毒素による胃潰瘍を予防 消化器症状がある場合

8. 自宅ケア・モニタリング

i

体重の週次記録

毎週同じ時間・条件で体重を測定し、記録します。1週間で2%以上の減少があれば受診を検討してください。

水分摂取量の計測

1日の水摂取量を計量カップで測ります。体重1kgあたり100 mL/日を超える多飲が持続する場合は悪化の可能性があります。

i

症状日誌をつける

嘔吐回数、食事量、元気度(5段階)を毎日記録します。受診時に持参すると診断の精度が上がります。

i

血圧チェック

腎臓病は高血圧を引き起こしやすく、高血圧がさらに腎臓を傷めます。家庭用ドッグ血圧計や、病院での定期測定が推奨されます。

9. 病院フォローアップの推奨頻度

検査項目 推奨頻度(ステージ3) 確認ポイント
血液検査(腎機能+電解質) 1〜2ヶ月に1回 BUN、クレアチニン、リン、カリウム
尿検査(比重・タンパク尿) 1〜2ヶ月に1回 UPC比、尿比重
血圧測定 毎回受診時 目標:収縮期 <160 mmHg
体重・BCSチェック 毎回受診時 体重の減少傾向に注意
眼底・眼圧検査 3〜6ヶ月に1回 高血圧による網膜剥離スクリーニング

10. ステージ4への移行サイン

以下のサインが1つでも現れたらすぐに受診してください。ステージ4(クレアチニン >5.0 mg/dL)への移行、または尿毒症クライシスの可能性があります。
!
激しい嘔吐が止まらない(1日3回以上)—尿毒素の急上昇を示す
!
立てない・けいれん・意識がもうろうとする—尿毒症性脳症の緊急サイン
!
完全に食事を食べなくなった(24〜48時間以上)—低血糖・筋肉崩壊のリスク
!
口の潰瘍・口臭の急激な悪化—尿素の口腔内分解による尿毒症性口内炎
!
歯茎が白や灰色になった—重度の貧血(ヘマトクリット <15%)の可能性
!
血液検査でクレアチニンが5.0 mg/dLを超えた—国際腎臓病研究会分類上のステージ4昇格

ステージ4への移行後も、適切な管理でQOL(生活の質)を維持できるケースは多くあります。詳細はステージ4 QOLケアガイドを参照してください。

今すぐ行動を

ステージ3、今日からできること

エビデンスが証明した「食事管理で寿命3倍」。
まず正しいフードを選ぶことが最大のケアです。

ステージ3が進むと、自宅での皮下補液(皮下点滴)が必要になるケースがあります。 自宅点滴ガイドを読む →

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参考文献・エビデンス

  1. Jacob F et al. (2002) Clinical evaluation of dietary modification for treatment of spontaneous chronic renal failure in dogs. JAVMA, 220(8): 1163–1170.
  2. 国際腎臓病研究会 (International Renal Interest Society) 腎臓病 Staging Guidelines 2023. www.iris-kidney.com
  3. Brown SA et al. (2000) Effects of dietary polyunsaturated fatty acid supplementation in early renal insufficiency in dogs. J Lab Clin Med, 135(3): 275–286.
  4. Polzin DJ (2011) Chronic kidney disease in small animals. Vet Clin North Am Small Anim Pract, 41(1): 15–30.
  5. Elliott J, Grauer GF (eds.) (2007) BSAVA Manual of Canine and Feline Nephrology and Urology, 2nd ed.

Supervised by

獣医師・動物病院院長

臨床15年以上

東京都内・動物病院院長

臨床歴15年以上、東京都内で動物病院を開業する院長。腎臓病が進んだ段階でも「まず食べてくれること」を第一に考え、処方食への切り替えや水の飲ませ方など、飼い主が実際に試せる方法を一緒に考えてきた。「頑張りすぎず、でも諦めない管理」を飼い主に伝えることを大切にしている。飼い主向けセミナーの講師も務め、ペット専門誌・Webメディアへの監修・寄稿実績あり。

飼い主向けセミナー講師 メディア監修実績あり

最終監修日: 2026年3月 | 本ページのステージ3診断基準・リン管理方針・フード推奨内容を監修

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