国際腎臓病研究会準拠 · 早期発見ガイド · 2026年3月更新

犬の腎臓病
初期症状
チェックガイド

腎臓病は症状が出たときにはすでに進行しています。75%以上の犬が診断時にステージ2以上(Polzin 2011)。早期発見のサインを15項目のチェックリストで確認してください。

症状をチェックする 血液検査の読み方
75%+
診断時にすでに
ステージ2以上
40%
SDMA(早期腎機能指標)
腎機能低下の時点で
異常を検出
3倍
早期管理で
生存期間が延長
犬の腎臓病 初期症状チェックガイド

犬の腎臓病が「気づかれにくい」理由

腎臓には大きな予備能力があります。腎機能が75%以上低下して初めて、血液検査の数値(クレアチニン・BUN〈血中の老廃物の一種〉)が正常範囲を外れます。つまり飼い主が気づいて病院へ連れて行く頃には、すでに腎臓の3/4が機能していない状態です(国際腎臓病研究会ガイドライン 2023)。

!

Polzin(2011)の報告

犬の慢性腎臓病(慢性腎臓病)の75%以上が診断された時点ですでにステージ 2以上に進行しています。

1
腎臓の予備能力が高い
腎機能が75%失われるまで血液検査の主要マーカーは正常範囲に収まります。
2
症状が「老化」と区別しにくい
多飲・活動量低下・食欲変化はシニア犬の自然な変化と重なります。
3
従来の検査では早期検出が難しかった
SDMA検査の普及により、より早期の発見が可能になりました(Hall JA et al. 2014)。
i

早期発見が意味を持つ理由

Jacob et al.(2002)のRCTでは、食事療法を早期に開始した群の中央生存期間は594日、遅れた群は188日でした。早期発見と早期介入により生存期間は最大3倍延長できます。

インタラクティブチェック

初期症状チェックリスト15項目

当てはまる症状にチェックを入れてください。チェック数が多いほど早急な受診が必要です。このチェックリストは診断ツールではありません。

受診の優先度を上げる背景因子(症状ではありません)

0 / 15 項目 (0%)
リスク評価
0
症状を確認してください

現時点での自覚症状は少ない状態です。7歳以上のシニア犬は年1回以上の血液検査(SDMA・クレアチニン含む)を受けることを強く推奨します。

複数の症状が重なっています。腎臓病の可能性を否定できません。早めに動物病院で血液検査・尿検査を受けることをお勧めします。

受診前に確認すること

多くの症状が見られます。腎臓病が進行している可能性があります。できるだけ早く動物病院を受診してください。

ステージが判明したら、ステージ別フードの選び方をご確認ください。

ご注意: このチェックリストは医療診断ツールではありません。愛犬の様子が気になる場合は担当獣医師にご相談ください。

ステージ 1〜4

ステージ別の症状の違い

慢性腎臓病は国際腎臓病研究会の4ステージに分類されます。ステージが進むにつれ症状が複雑化・重症化します。

ステージ1
無症状期

Cr <1.4 mg/dL / SDMA <18

ほぼ無症状 わずかな多飲(見落としやすい) 尿比重がわずかに低下 SDMAのみ上昇していることがある
ステージ2
軽度症状期

Cr 1.4〜2.8 / SDMA 18〜35

明らかな多飲・多尿 軽度の食欲低下 体重減少が始まる 活動性の低下
ステージ3
中等度症状期

Cr 2.9〜5.0 / SDMA 36〜54

顕著な食欲不振・嘔吐 著しい体重減少 サルコペニア(筋肉量の減少) 貧血(腎性貧血)
ステージ4
重度症状期(末期)

Cr >5.0 / SDMA >54

尿毒症症状(意識障害・痙攣) 重度の食欲廃絶 口内炎・アンモニア臭 QOLの著しい低下

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最も重要な3サイン

特に見逃しやすい3つのサイン

1

多飲(水をよく飲む)

基準: 体重1kgあたり100mL/日以上

腎臓病では腎臓が尿を濃縮できなくなります(尿濃縮障害)。その補償として体が水分を求め飲水量が増えます。これは腎機能低下の最も早期に現れる症状のひとつです。計測方法:1日の水を入れた量から残りを引いて飲水量を計算します。体重5kgの犬なら1日500mL以上が目安です。

2

尿比重の低下(薄い尿)

要注意: 尿比重 1.030未満(犬)

尿比重は尿の濃さを示す指標です。健康な犬の尿比重は1.030以上ですが、腎臓が尿を濃縮できなくなると低下します。この変化は血液検査のクレアチニン異常が出るより早く現れます。飼い主が気づくサイン:尿の色が薄い(ほぼ無色)、臭いが弱い、シーツを多く使うようになったなど。

3

体重減少・筋肉量の低下

目安: 2〜3ヶ月で体重の5%以上減少

腎臓病による食欲低下・タンパク質代謝異常は体重減少として現れます。特にサルコペニア(筋肉量の減少)は慢性腎臓病の予後に直接影響するため体重管理は治療の一部です。計測推奨:月1回、毎朝同じ条件で体重を記録してください。

数値の見方

血液検査の読み方

腎臓病を診断・管理するための主要な検査マーカーとその意味を解説します。

SDMA
Symmetric Dimethylarginine(対称性ジメチルアルギニン)
早期検出マーカー(推奨)

腎臓のろ過機能(GFR)が約40%低下した時点で異常値を示します(Hall JA et al. 2014)。クレアチニンはGFRが75%低下しないと上昇しないため、SDMAはより早期に腎機能の変化を捉えられます。クレアチニンより平均17ヶ月早い検出が可能。

正常<14 μg/dL
ステージ1〜2境界14〜17 μg/dL
ステージ2〜318〜35 μg/dL
ステージ4>54 μg/dL
クレアチニン(Cr)
Creatinine / 筋肉代謝産物
ステージング基準値

腎機能が75%低下した時点で正常範囲を外れます。国際腎臓病研究会のステージ分類の主要マーカー。

ステージ1<1.4 mg/dL
ステージ21.4〜2.8 mg/dL
ステージ32.9〜5.0 mg/dL
ステージ4>5.0 mg/dL
BUN
Blood Urea Nitrogen(尿素窒素)
補助マーカー

BUNはタンパク質摂取量・消化管出血・脱水など腎臓以外の要因でも変動するため、クレアチニン・SDMAと組み合わせて評価します。

参考正常値7〜27 mg/dL
中等度上昇51〜100 mg/dL
重度上昇>100 mg/dL
血清リン(P)
Phosphorus / 腎臓病管理の最重要マーカー
管理の最優先指標

腎機能低下でリンが蓄積し腎臓をさらに傷める「リン毒性ループ」が発生します。フード選択の主要評価軸。

ステージ1〜2目標<4.5 mg/dL
ステージ3目標<5.0 mg/dL
ステージ4目標<6.0 mg/dL
高リン血症>6.0 mg/dL
i

Hall JA et al. 2014:SDMAの臨床的優位性

SDMAはクレアチニンより平均40%早く腎機能低下を検出します。クレアチニンが正常値内であっても、SDMAが上昇している場合(>14 μg/dL)は腎機能低下が始まっている可能性があります。

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早期発見のための定期健診ガイド

7歳未満
基本スクリーニング血液検査(クレアチニン・BUN)、尿検査(比重・タンパク)、血圧測定
年1回
7歳以上
シニア総合検査(SDMA含む)SDMA・クレアチニン・BUN・リン・尿比重・血圧。7歳以上はSDMA追加が強く推奨されます
年2回
ステージ1
SDMA・尿比重モニタリング確定後は3〜6ヶ月ごとに検査。原因疾患の管理と定期モニタリングを開始
3〜6ヶ月
ステージ2
食事療法開始・定期管理フード変更後1〜2ヶ月での効果確認。クレアチニン・リン・血圧の安定確認
2〜3ヶ月
ステージ3
集中管理・多項目モニタリングリン・カリウム・重炭酸塩・貧血マーカーを含む精密検査
1〜2ヶ月
ステージ4
緩和ケア・QOL管理QOL指標を中心とした評価。症状の緩和、苦痛のない生活の維持
2〜4週間

発見したらすぐにやること

1

動物病院を受診し、ステージを確認する

まず正確なステージを把握することが最重要です。血液検査(SDMA・クレアチニン・BUN・リン)と尿検査を受け「国際腎臓病研究会で何ステージか」を確認しましょう。

2

ステージに合ったフードへ切り替える

ステージ2以降では食事療法が最重要の管理手段です。Jacob et al.(2002)のRCTでは食事療法のみで生存期間が3倍延長されました。

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3

水分摂取量を増やす工夫をする

脱水は腎機能悪化を加速します。ウェットフードへの切り替え、水飲み場の増設、ぬるま湯の活用などで飲水量を増やしてください。

4

定期検査のスケジュールを組む

フード変更後1〜2ヶ月後の再検査を予約し、効果を数値で確認する習慣をつけましょう。

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まとめ:早期発見のための5つのポイント

  • 01腎臓病の75%以上は無症状で進行する——症状が出たときにはすでにステージ2以上の可能性が高い
  • 02多飲・薄い尿・体重減少の3サインを老化と見分けるために月1回の体重記録と飲水量の把握が重要
  • 03SDMAはクレアチニンより40%早く腎機能低下を検出する——7歳以上のシニア犬は毎年SDMA検査を
  • 04ステージを確認してからフード・サプリ・薬を選ぶ
  • 05早期介入で生存期間は最大3倍——Jacob et al.(2002)で食事療法開始群594日 vs 非開始群188日

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