多くの高齢猫で発症する腎臓病、食べいいものといけないものがある事をご存知でしょうか??食べてはいけないものを食べてしまっている場合には、腎臓病が悪化してしまう危険があります!
本記事では腎臓病での食事について詳しく獣医師とペット栄養管理士が解説しています!
本記事で分かること
- 腎臓病(急性腎不全・慢性腎臓病)について
- 腎臓病の7つの予防法
- 腎臓に良い食べ物と食べてはいけない食べ物
腎臓病は、「無言の病」とも呼ばれ、初期段階だと症状がほとんど現れないおそろしい病気ですが、進行すると尿毒症と呼ばれる状態になり、痙攣や昏睡といった末期症状を引き起こします。
そして、失われた腎機能を取り戻すことはできませんので、腎臓病はなるべく悪化させず、早期発見・治療することが重要です。
そのためには食事療法が非常に重要となってきます。
食事療法では腎臓に負担をかける食品を避け、負担をかけない食品を与える必要があります。
腎臓病とは
腎臓は血液中の老廃物や毒素をろ過して尿として排出する機能を持つ大変重要な臓器です。そのような機能が落ちてしまうことを腎臓病といいます。
また、腎臓病は現在進行形で起こっている腎臓の機能不全を意味し、腎不全は不可逆的な腎臓の損傷による末期状態を意味します。
腎不全の状態になると、猫ちゃんの体にどのような悪影響が出るの?
腎臓が正常に機能しなくなると、次のようなことが起こります。
- 循環器系に老廃物が蓄積される
- 有害な物質が血液へ再吸収される
- 老廃物が適切に尿から排泄できない
- 水の飲み過ぎや脱水症状を引き起こす
腎臓病は大きく分けると慢性腎臓病と急性腎障害の2種類になります。 症状が慢性的なものを慢性腎臓病、症状が急に出るものを急性腎障害と呼びます。
慢性腎臓病
長い時間(数ヶ月)をかけ、様々な腎機能が低下してしまう病気です。
初期症状は多飲多尿くらいしか起こらず、飼い主様が気づけない事がほとんどで、明らかな症状が出てくるのは慢性腎臓病がある程度進行してしまった時です。
慢性腎臓病の末期になると、
尿毒症や多臓器不全と呼ばれる状態になり、最終的に治療は困難となり、亡くなってしまう事がある怖い病気です。
急性腎障害
毒物(不凍液など)を食べてしまったり、尿路閉塞で結石が詰まるなど様々な原因により、急激に腎機能が低下してしまう病気です。わずか数時間あるい数日程度の期間で症状が一気に悪化してしまい、体内の老廃物を出すことがでなくなります。
症状としては、尿がでなくなったり、嘔吐、食欲不振が認められます。
治療には積極的な静脈点滴などを行う事があります。急性腎臓病は状態が改善すれば、腎機能が正常に戻る事がありますが、命に関わることもあります。
慢性腎臓病の原因は?
慢性腎臓病は、主に加齢や免疫の異常などにより腎臓の糸球体と呼ばれる部分で炎症などのダメージが生じる事が原因と考えられています。
糸球体が損傷すると、老廃物や毒素をおしっこで排泄する機能が落ちてしまい、尿毒症などの症状を引き起こします。
慢性腎臓病と診断される猫ちゃんのほとんどが10歳齢を超えており、若齢で発症することは稀です。
他には
- 歯周病
- 心臓病
- 遺伝性
- 膵炎
などにより腎臓病を併発する事がありますので、注意が必要です。
腎臓病の予防と対策7選
一度損なわれた腎機能は元に戻せません。だからこそ、腎臓へのダメージを最小限に抑え、健康なうちから変化に気づく力を身につけるための生活習慣をお伝えします。
歯磨きの習慣化
歯周病の猫ちゃんはそうでない猫ちゃんと比べて腎臓病にかかりやすい傾向があると報告されています。
また歯周病はそれ以外にもたくさんの病気と関わることが最近の研究で分かってきました。
腎臓病やそれ以外の病気を対策するため、日頃から歯磨きの習慣をつけ口腔ケアを心がけましょう。
バランスの取れたごはん
塩分が適度に制限された栄養バランスのとれたごはんはとても大切です。
総合栄養食はある一定の基準を満たしたものを言いますが、メーカーにより原材料や添加物など大きく異なりま す。
自身の猫ちゃんに1番合うごはんを選びましょう。
新鮮な水をいつでも飲めるようにしておく
また新鮮な水がいつでも飲める環境を保つことも大切です。
普段の飲水量がどの程度かを把握しておくと参考になるでしょう。1日の飲水量の目安は1日の摂取カロリーとイコールと言われています。
つまり1日に必要なカロリーが300キロカロリーの猫ちゃんの場合、300ミリリットルの飲水量がベストです。
体重の管理
適切な体重管理は猫の全体的な健康を維持する上で重要なことです。
肥満は腎臓だけでなく、他の内臓にも負担をかけ、糖尿病などの病気のリスクを高めます。
体重の管理にはダイエットフードと定期的な運動を組み合わせることが重要です。
適度な運動
運動は猫の健康維持にとって非常に重要です。
室内飼育の猫は常に運動不足の状態で、筋肉が落ちやすく、肥満になりやすいです。運動を行う事で肥満解消にもなりますし、また心臓と筋肉を健康に維持するのに役立ちます。
猫に運動を促すためには、レーザーポインターや猫用のおもちゃを使って遊ぶことがオススメです。
ストレスの軽減
猫はストレスに敏感な動物であり、過度のストレスは体のに影響を与え、腎臓の健康を損ねる可能性があります。
ストレスを軽減するためには、静かで安全な環境を確保し、猫の好みに合わせたプライベートな空間を用意しましょう。
無理な食事の変更を避ける
急な食事の変更は猫の消化器系や腎臓にストレスをかけ、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
新しい食事に切り替える場合は、今の食事と新しい食事を半々で混ぜることから始め、徐々に新しい食事の割合を増やしていくと良いでしょう。
これをしていれば絶対に予防できるといったものはありません。 猫ちゃんを普段から思いやる家族の目が一番の予防と言えるのかもしれません。
獣医師オススメの腎臓ケアサプリメント
カリナールコンボ
カリナールコンボは、7歳以上の愛犬や愛猫の腎臓の健康をしっかりと守るための究極の健康補助食品です。
これは「リン吸着」、「プレバイオティクス」、「プロバイオティクス」の3つの強力なアクションを組み合わた革新的な製品で、カリナール®の新たな進化形です。
リン吸着により、必要以上のリンの吸収を抑えることができます。これは特に腎臓に負担をかけるリンの過剰摂取を防ぐために重要です。さらに、プレバイオティクスとプロバイオティクスが消化器系全体を助け、消化管内の窒素物質の管理を実現します。これにより、中高齢の愛犬や愛猫の腎臓の健康をしっかりとサポートします。
また、カリナールコンボと療養食と一緒に利用することで、さらに効果を高めることができます。
腎臓病で食べて良い物について
腎臓病の猫ちゃんに与えられるものには限りがあります。
しかしそんな中でも与えることができるおやつもあります。
どんな食事制限の中でも絶対にあげられるわけではないので、厳しい食事制限がある場合は獣医師と相談して与えてください。
おこめ
リンやカリウムの含有量が少ないため、食事制限を必要とする猫ちゃんに与えることができます。
腎臓病ではタンパク質の制限が必要とされるため、少なくなりがちなカロリー補給によく、米粉を使ったクッキー などで食欲減退時のおやつにもおすすめです。
小麦粉
小麦粉もおこめと同じくリンやカリウムの含有量が少ないた食事制限を必要とする猫ちゃんに与えることができます。
果物や野菜にはリンやカリウムが多く含まれているものも多く、日頃から手作り食を与えている家庭でない限りは無知に与えることはおすすめできません。
たまごボーロ
今まで与えていたおやつを急にやめるのは猫ちゃんだけでなく飼い主様にとっても心苦しいことですよね。
購入できるおやつが全くないわけではなく、猫ちゃん用に販売されているたまごボーロは与えることができるおやつの一つです。
クッキー
猫ちゃん用に販売されている小麦粉や米粉が主成分であるクッキーもおやつとして与えることができます。
ただしクッキーであればなんでも与えられるわけではなく、野菜や果物が練り込まれているものもあるため、腎臓病に影響を与えないものかどうか注意して選ぶようにしましょう。
腎臓病で食べてはいけないもの
タンパク質を多く含むもの
タンパク質は猫の食事に必要不可欠な栄養素ですが、腎臓病の猫にとっては問題となる可能性があります。腎臓が正常に働かない場合、余分なタンパク質の処理が困難になり、体内に毒素が溜まってしまう可能性があるためです。
一般的に、
- 鶏肉、牛肉などの肉類
- 魚類
- 大豆などの豆類
は高タンパク質であり、腎臓病の猫に与える事は避けるべきです。
リンを多く含むもの
腎臓の機能が低下すると、リンの排泄が困難になり、高リン血症を引き起こす可能性があります。
これは、骨や他の組織に問題を引き起こす可能性があるため、食事中のリンの量を制限することが重要です。
リンは
- 牛乳やヤギミルク、チーズなどの乳製品
- 魚介類
- 豆類
- 豚肉
などに多く含まれます。
また、食品添加物としてリン酸塩が含まれている食品もあり、そのような食品も避けなければなりません。
例えば、ハムやソーセージなどの加工食品にリン酸塩は多く含まれていますので、あげないようにしてください。
塩分(ナトリウム)を多く含むもの
塩分は腎臓に負担をかけ、高血圧や水分バランスの乱れを引き起こす可能性があります。
例えば、
- パン
- ポテトチップス
- ハムやソーセージなどの加工肉
などは猫にとって過剰な塩分を含んでいます。
まとめ
慢性腎臓病は完治させることができない病気であることを忘れないでください。
腎臓病のステージが進むにつれて、寿命が短くなる可能性が高くなりますので、早期発見•治療が重要なのです。
腎臓病はほかの病気から引き起こされることもあり、シニア期からの発症する事がほとんどです。
早期発見を行うことが重要ですので、1年に2回以上の血液検査・尿検査などの健康診断を受けることをおすすめします。
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