獣医師、ペット栄養管理士が犬と猫の病気と食事について徹底解説しています!

カテゴリー

新薬について 犬のアレルギー 犬の皮膚病

【獣医師監修】アポキルの長期服用による副作用・やめ方について解説

アポキルは、犬のアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患による痒みを和らげるために用いられる薬です。

その効果は目を見張るもので、強い痒みであってもアポキルを使えば、落ち着いてしまうことがほとんどです。また、ステロイドで痒みの管理をしていた愛犬にとってはアポキルは革命的な代替薬となりました。

しかしながら、ほとんどの愛犬では痒みの症状を管理するために長期的にアポキルを服用する必要があります。

もちろんアポキルにも副作用があるので、長期使用を懸念される飼い主さんも多くいらっしゃるでしょう。

そこで、本記事ではアポキルの使用方法やどれくらいであれば長期使用してよいか、アポキルをやめる際はどうすればいいかなど獣医師が詳しく解説します。

アポキルの機序と効果

アポキルは、アトピーなどの痒みの治療に効果的な治療薬です。

犬の痒みにはインターロイキン(IL) 31が強く関与していることが分かっており、このIL-31が細胞に結合すると、JAKと呼ばれるシグナルを活性化させ、結果的に痒みなどを引き起こします。

アポキル(オクラシチニブ)はこのJAKを阻害することによって、痒みの軽減効果を発現する治療薬です。

アポキルは皮膚炎には効果がない?

アポキルは皮膚の痒みには大変効果がありますが、皮膚炎には効果が弱いです。

少しの皮膚炎であれば問題はありませんが、真っ赤になるほどの強い皮膚炎では皮膚炎にはあまり効きません。

その場合は、まずステロイドを1週間程度投与し、皮膚炎がある程度落ち着いた後にアポキルを開始すると、効率良く治療を行うことができます。

アポキルの使い方

アポキルは錠剤で、口から与えます。服用後に嘔吐する場合は、食事と一緒に与えてみてください。

用量としては、0.4〜0.6mg/kgを1日2回投与します。最終的に減薬して1日1回へ変更します。ですが、1日1回では半減期の関係上アポキルの効きがかなり悪くなることがあります。その場合は低用量のアポキルを1日2回で使用すると、上手に減薬することができます。(ただし、長期に渡る1日2回の使用は適応外使用ですので、獣医師と相談してください)

アポキルは12ヵ月齢以上の犬への使用が承認されていますが、

  • 免疫介在性疾患
  • クッシング症候群
  • 繁殖中、妊娠中、授乳中の犬
  • 重篤な感染症

にかかっている犬には使用しないでください。

アポキルの副作用

一般的な副作用としては、嘔吐、下痢、食欲不振があります。

これらは一時的なもので、通常は自然に治ります。

重篤な副作用としては、感染症、ガン(皮膚型リンパ腫)の悪化、白血球数の低下、高コレステロール血症などがあります。

これらの副作用が出た場合には、減薬あるいは休薬を行う必要があります。

アポキルの長期投与について

一部の犬にとっては、一時的な症状の緩和ではなく、長期的な管理が必要なことがあります。しかし、長期的にアポキルを使用することは、一部の犬において副作用を引き起こす可能性があります。

長期的な使用による副作用は、

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 食欲不振
  • 白血球減少
  • 膀胱炎
  • 膿皮症

などがあります。

さらに、アポキルは高用量で免疫抑制を起こすため、長期使用により細菌性膀胱炎や膿皮症などの感染症のリスクが上昇する可能性もあります。

ではどれくらいの期間であれば、長期服用してもよいのでしょうか?

答えとしては、3カ月程度であれば1日2回で使用できます

ある研究ではアポキルを1日2回で長期投与した53頭のアトピー性皮膚炎の犬に対して研究を行ったところ、投与期間は約113日で、重席な副作用は発現しませんでした。一方で、それ以上の長期投与に関しては安全性が確認されているわけではないため、慎重に投与する必要があります。

アポキルのやめ方

長期間アポキルを服用していた犬をアポキルから切り替える際には、獣医師の指導を受けることが重要です。

突然の中止は犬にストレスを与え、症状の悪化を引き起こす可能性があります。

通常、獣医師はアポキルの量を徐々に減らしていき、その間に新たな治療法を開始することを勧めるでしょう。

これは、アポキルの効果が薄れ、新たな治療法が効き始めるタイミングを合わせるためです。

アポキルが効かない時の原因と対処法

アポキルはほとんどの痒みに効く薬です、なので効かないのではなく、他にも皮膚病を一緒に患っていて、そちらの管理ができておらず、アポキルの効果を100%発揮出来ていないケースがほとんどです。

アポキルは基本的にアトピー性皮膚炎に大変効く葉です。したがって、アポキルを飲んでもあまり症状が改善しない場合であっても、アポキルが効いてないわけではありません。

具体的には膿皮症やマラセチア皮膚炎などの感染症や食物アレルギーを併発しており、それらの治療管理が不十分な場合がほとんどです。

アレルギーであれば食事療法を、膿皮症やマラセチア皮膚炎であればシャンプーや抗菌剤の投与を行うことで、皮膚は良くなっていくことでしょう。

本記事のまとめ

長期的にアポキルを使用することで、嘔吐、下症状、食欲不振、一般的な不快感や脱毛などの副作用が生じる可能性があります。

さらに、アポキルが免疫系に影響を及ぼすため、長期使用により感染症のリスクが上昇する可能性も指摘されています。

アポキルを止める場合は、獣医師の指導を受けて、徐々に減量することが重要です。

  • この記事を書いた人
院長

院長

国公立獣医大学卒業→→都内1.5次診療へ勤務→動物病院の院長。臨床10年目の獣医師。 犬と猫の予防医療〜高度医療まで日々様々な診察を行っている。

-新薬について, 犬のアレルギー, 犬の皮膚病