犬の緑内障は、眼圧の上昇により失明を引き起こす病気です。
眼圧が上昇すると、視神経が損傷を受け、犬の視力が徐々に損なわれます。
緑内障は、犬のあらゆる種類の犬種に発生する可能性がありますが、一部の犬種には緑内障に罹患する可能性が高いものがあります。
緑内障は、早期に発見されない場合、視力の永久的な損失を引き起こすことがあります。
緑内障ってどんな病気?
緑内障は、目の中の水(房水)が溜まって、目の圧力(眼圧)が上がることで、目が痛くなったり、神経などに損傷が起こる病気です。
目の中にある視神経や網膜が傷つくと、視力が低下し、最悪の場合、失明につながります。ですので、早く治療して、目の圧力を下げることが大切です。
また、緑内障は急性と慢性の2種類に分類されます。
急性緑内障は、病気が急に始まって視力が回復する見込みがありますが、慢性緑内障は、病気が進行して視力が回復しないことが多いです。
犬の緑内障の原因は、眼圧の上昇が主な原因となりますが、原因によって原発性・続発性緑内障の2つに分類されます。
原発性緑内障は遺伝的な要因によって引き起こされ、特定の犬種に関連しています。一方、続発性緑内障は他の眼の疾患に伴って眼圧が上昇するものです。
原発性緑内障
原発緑内障は、隅角が開放している原発開放隅角緑内障(POAG)と隅角が閉塞している原発閉塞隅角緑内障(PACG)に分けられます。
開放隅角緑内障は、眼圧が上昇し、視神経が損傷を受ける病気です。
閉塞隅角緑内障は、眼の前部にある隅角の閉塞によって引き起こされます。どちらのタイプも、犬に重篤な視力の損失を引き起こす可能性があります。
原発緑内障の好発犬種は、柴犬、シーズー、アメリカンコッカースパニエルなどです。
平均発症年齢は約7.3歳で、初期は片目のみに症状が起こることの方が多いです。
続発性緑内障
続発緑内障は、何らかの眼疾患に続発して発生します。続発緑内障に関与する疾患には、
- 眼球内腫瘍
- 外傷
- 虹彩黒色症
- 網膜剥離などがあります。
続発緑内障は、
- シーズー
- アメリカンコッカースパニエル
- ゴールデンレトリーバー
などが好発犬種で、平均発症年齢は7.7歳です。
犬の緑内障の初期•末期症状
犬の緑内障には、初期症状と末期症状という2つの段階があります。
ここでは、犬の緑内障について、初期症状と末期症状、それぞれの症状の詳細を説明します。
初期症状
緑内障の初期症状では、以下のような変化が現れることがあります。
- 目が張って大きく見える
- 体調が悪くなる
- 目が白く濁る
- 食欲が低下する
- 目を痛そうにしょぼつかせる
- 瞳孔が開く
- 目をこする
- 充血(点眼薬の副作用の場合もあります)
- 視覚障害(物にぶつかりやすくなるなど)
緑内障の最初の症状は、犬が片目を閉じたり、目が充血したり、さまざまな強さの眼の痛みを感じることがあります。
末期症状
緑内障が進行し、末期症状が現れると、以下のような変化がみられるようになります。
- 目が大きく見える
- 目を痛そうにしょぼつかせる
- 充血している
緑内障は進行してしまい、慢性化すると視力の回復が見込めなくなります。
緑内障になった場合の寿命は?放置したらどうなる?
幸いなことに、緑内障による視力の低下があっても、愛犬は健康で幸せな生活を送ることができます。
しかし、緑内障が慢性化したり、治療せずに放置したりすると、後遺症が残り、失明する可能性があります。
特に、放置してしまった場合は、約40%以上の確率で1年以内に失明するといわれています。
注意ポイント
緑内障で急激に眼圧が上昇してしまった場合、24時間以内に治療を開始しなければ完全に失明にする可能性があることもあります。
ですので、緑内障の早期発見と治療が重要であることも忘れてはなりません。
緑内障の治療法(急性緑内障と慢性緑内障)
緑内障の治療には、内科的治療と外科的治療の2つのアプローチがあります。
内科的治療では、房水の産生を減らすための点眼薬や房水の流出を増やす効果を持つ目薬の使用が重要です。
外科的治療は眼圧上昇による目の痛みを取り除くために行うもので、主に慢性緑内障で行います。
急性緑内障の治療では、眼圧を下げることが目的で、プロスタグランジン関連薬やマンニトール点滴、前房穿刺が用いられます。
また、炎症を抑えるためにステロイドが全身投与され、対側眼の予防に炭酸脱水酵素阻害薬や遮断薬が点眼されます。
慢性緑内障の治療では、疼痛コントロールが目的で、内科治療として点眼薬や内服薬が用いられます。
外科治療としては、
- 眼球摘出手術
- 強膜内シリコン球挿入術
- 硝子体内ゲンタマイシン注入術
などが選択肢として考えられます。
犬の緑内障の早期発見の重要性
犬の緑内障は、犬の目の病気の中でも最も深刻なものの一つであり、犬の視力を永久的に損なう可能性があります。
犬の緑内障を早期に発見することは、犬が健康な目を保つために重要なことです。
犬の目の健康を定期的にチェックすることが犬の緑内障を早期に発見するための最も重要な方法の一つです。
犬が目をこすったり、片目を閉じたり、目が充血したり、犬が目に痛みを感じているように見える場合は、病院に行く必要があります。犬の目が白濁している場合は、犬が緑内障に罹患している可能性があります。
犬の緑内障に対する予防法
犬の緑内障に対する予防法は、犬の目の健康を維持することが重要です。
犬の目を定期的にチェックし、異常がある場合は早期に発見し、適切な治療を開始することが必要です。犬の目を清潔に保ち、犬の目に負担をかけることのないようにすることも重要です。
まとめ
犬の緑内障は、犬の視力を永久的に損なう可能性がある深刻な病気です。
目の健康を維持するためには、定期的な動物病院での診察が必要です。
異常がある場合は、早期に発見し、適切な治療を開始することが重要です。また目を清潔に保ち、犬の目に負担をかけることのないようにすることも重要です。