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犬の糖尿病

【獣医師監修】犬の糖尿病の血糖値管理|測定方法・目標値・低血糖への対処

犬の糖尿病管理において、血糖値の目標範囲は80〜180mg/dLとされています。健康な犬の正常値(75〜130mg/dL)より若干高めに設定するのは、低血糖のリスクを避けるためです。この記事では血糖値の測定方法、管理目標、低血糖・高血糖への対処法を獣医師監修のもと解説します。

犬の血糖値の正常値と目標値

区分血糖値の目安
健康な犬の正常値75〜130mg/dL
糖尿病管理の目標範囲80〜180mg/dL
低血糖の危険ライン80mg/dL未満
高血糖・尿糖が出るライン200mg/dL超

犬は血糖値が200mg/dL程度でも尿糖が陽性になることが知られており、この状態が続くと白内障・腎症などの合併症リスクが高まります。そのため人の糖尿病管理より厳密なコントロールが推奨されます。

血糖値曲線(グルコースカーブ)とは

血糖値曲線検査は、インスリン投与後の血糖値の変化を1日かけて追う検査です。インスリン投与量の適切さを評価するために定期的に実施します。

評価のポイント

  • 最低血糖値(ナディア):80mg/dL以上を維持しているか
  • 作用持続時間:インスリンが12時間程度(1日2回投与の場合)効果を維持しているか
  • 血糖値の振れ幅:投与前後の差が大きすぎないか

インスリン投与量の調整後は1〜2週間以内に再検査し、効果を確認します。

自宅での血糖値測定

自宅での血糖値モニタリングは、通院回数を減らし、より細かな管理を可能にします。犬用または人間用の小型血糖測定器を使用します。

測定部位

耳介の毛細血管(耳の内側の薄い皮膚部分)や口唇の内側粘膜などから採血します。動物病院でのトレーニングを受けた上で行ってください。

自宅測定の記録

測定結果・測定時刻・食事量・インスリン投与量を記録し、動物病院受診時に持参します。これにより獣医師がより正確な投与量調整を行えます。

フルクトサミンによる長期管理評価

フルクトサミン検査は過去2〜3週間の血糖値の平均を反映する指標です(人の糖尿病でいうHbA1cに相当)。1〜3ヶ月ごとの定期検査で使用し、血糖コントロールが全体的に良好かを評価します。

フルクトサミン値評価
350μmol/L未満良好なコントロール
350〜450μmol/L中等度の高血糖
450μmol/L超コントロール不良

低血糖への対処法

血糖値が80mg/dL未満になると低血糖症状が現れます。以下の症状に注意してください。

  • ぐったりする・力が入らない
  • ふらつき・意識がぼんやりする
  • けいれん(重症)

対処手順

  1. 意識がある場合:口の粘膜にハチミツまたはガムシロップを少量塗り付ける
  2. 15〜20分後に症状が改善しているか確認する
  3. 改善しない、または意識がない場合は直ちに動物病院へ搬送する
  4. 回復後も必ず動物病院に報告し、インスリン量の見直しを受ける

高血糖が続く場合の対処

血糖値が常に300〜400mg/dL以上と高い場合は以下の原因が考えられます。

  • インスリン量が不足している
  • インスリンの保管不良(品質劣化)
  • 注射手技の問題(皮下に入っていない)
  • ソモギー現象(低血糖後のリバウンド高血糖)
  • 感染症・ストレスなど血糖値を上昇させる併存疾患

自己判断でインスリンを増量することは危険です。必ず動物病院を受診して原因を特定してください。

インスリン投与の具体的な手順については犬のインスリン投与の量と頻度をご参照ください。食事管理との関係については犬の糖尿病に良い食事・フード選びもあわせてご確認ください。

愛犬の療法食選びにお悩みの飼い主様は、おすすめ療法食ランキングもご覧ください。

よくある質問

Q. 犬の血糖値の管理目標は何mg/dLですか?

犬の糖尿病管理の目標血糖値は80〜180mg/dLとされています。健康な犬の正常値(75〜130mg/dL)より高めに設定するのは低血糖リスクを避けるためです。200mg/dLを超えると尿糖が陽性になり合併症リスクが高まります。

Q. 自宅で血糖値を測定できますか?

はい、可能です。犬用または人間用の小型血糖測定器を使用し、耳介や口唇から採血します。ただし正確な測定には動物病院でのトレーニングが必要です。測定値を記録して定期受診時に持参すると、インスリン量の調整に役立ちます。

Q. フルクトサミン検査とはどんな検査ですか?

フルクトサミンは過去2〜3週間の血糖値の平均を反映する指標です。350μmol/L未満であれば血糖コントロールは良好と判断されます。1〜3ヶ月ごとの定期検査で使用されます。

  • この記事を書いた人
院長

院長

国公立獣医大学卒業→→都内1.5次診療へ勤務→動物病院の院長。臨床10年目の獣医師。 犬と猫の予防医療〜高度医療まで日々様々な診察を行っている。

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