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犬のアジソン病

犬のアジソン病の症状チェックリスト:初期サインから重篤症状まで

犬のアジソン病の症状チェックリスト:初期サインから重篤症状まで

愛犬が最近元気がない、食欲が落ちた、嘔吐を繰り返す——そんな症状が続いているとき、「犬のアジソン病(副腎皮質機能低下症)」が原因の一つとして考えられます。この病気は症状が他の疾患と似ているため見落とされやすく、重篤化してから初めて診断されるケースも少なくありません。本記事では、初期から重篤段階までの症状を段階的に解説し、飼い主様が早期発見するためのチェックリストをご紹介します。

アジソン病とはどのような病気か

副腎皮質ホルモンが不足する病気

アジソン病は、副腎皮質から分泌されるホルモンが不足することで生じる内分泌疾患です。副腎は左右の腎臓の近くにある小さな臓器で、コルチゾール(糖質コルチコイド)とアルドステロン(鉱質コルチコイド)を分泌しています。これらのホルモンが不足すると、体内のナトリウムとカリウムのバランスが崩れ、血圧や血糖値の調節が困難になります。

発症しやすい年齢と性別

犬のアジソン病は生後2か月から9歳ごろまでの幅広い年齢で発症し、平均発症年齢は4歳半前後とされています。性別では雌犬に多く、全体の約76%を占めるという報告があります。若い犬でも発症するため、「若いから大丈夫」とは言い切れない点に注意が必要です。

症状がわかりにくい「グレートプリテンダー」

アジソン病は「グレートプリテンダー(偽装の達人)」とも呼ばれるほど、症状が多彩で他の病気と区別しにくい特徴があります。元気消失や食欲不振は多くの病気で見られるため、アジソン病だとすぐに気付くことは難しく、獣医師でも鑑別が難しい場合があります。

初期症状のチェックリスト

消化器系の変化

アジソン病の初期段階では、消化器系の症状が現れることが多くあります。以下の項目に当てはまるものがないか確認してみてください。

  • 食欲が明らかに落ちている、またはごはんを残すようになった
  • 嘔吐が週に1回以上起きている
  • 下痢または軟便が続いている
  • 体重が徐々に減っている
  • お腹を触ると痛がる様子がある

全身状態の変化

消化器症状と並行して、以下のような全身的な変化も現れることがあります。

  • 以前より元気がなく、散歩を嫌がるようになった
  • 筋力が落ちてきたように感じる
  • 震えや筋肉のけいれんが見られる
  • 脱水気味で皮膚のハリが失われている
  • 好不調の波があり、良くなったと思ったらまた悪くなる

「波のある経過」が重要なサイン

アジソン病の特徴的なパターンの一つが「良くなったり悪くなったりを繰り返す」経過です。特にストレスがかかったとき(トリミング、環境の変化、旅行など)に症状が悪化し、安静にしていると回復する——このような経過が続く場合はアジソン病を疑う材料になります。

中等度から重篤な症状

循環器・神経系の症状

病気が進行すると、心臓や血管に関わる症状も出てきます。アルドステロン不足による高カリウム血症が心臓に影響し、脈が遅くなる「徐脈」が現れることがあります。また低血糖により、ぐったりして立ち上がれない、失神に近い状態になることもあります。

急性副腎不全(アジソンクリーゼ)の前兆

治療せずに放置した場合や、強いストレスがかかったとき、「アジソンクリーゼ」と呼ばれる急性の危機状態に陥ることがあります。その前兆として、突然の虚脱(ぐったりして動けなくなる)、血便・吐血、呼吸困難、チアノーゼ(舌や歯茎が青白くなる)などが見られます。このような状態は命に関わるため、ただちに動物病院へ連絡してください。

電解質異常が引き起こす症状

血液検査では、ナトリウムの低下(低ナトリウム血症)とカリウムの上昇(高カリウム血症)が典型的な所見として見られます。この電解質の異常が、徐脈・筋力低下・けいれん・意識障害などさまざまな症状の根本原因となっています。

症状チェックリスト総まとめ

早期発見のための確認ポイント

以下のうち複数の項目に当てはまる場合は、獣医師への相談を検討してください。

  • 食欲不振・体重減少が2週間以上続いている
  • 嘔吐・下痢が繰り返し起きている
  • 元気がなく、運動を嫌がるようになった
  • 良くなったり悪くなったりを繰り返している
  • ストレスがかかると症状が悪化する
  • 震えや筋肉の脱力感がある
  • 脱水気味の状態が続いている

動物病院を受診する目安

上記の症状が2つ以上見られる場合や、症状の波が1か月以上続く場合は、早めに動物病院を受診することをお勧めします。診察時には「いつから症状が出ているか」「症状の波があるか」「ストレスとの関係」などを具体的に伝えると、獣医師が判断しやすくなります。

かかりつけ医への伝え方

アジソン病は初診では気づかれにくい病気です。「アジソン病の可能性はありますか?」と飼い主様から直接尋ねることで、副腎皮質刺激ホルモン刺激試験を検討してもらえる場合があります。遠慮せずに疑問を伝えることが早期発見につながります。

まとめ

犬のアジソン病は、初期には食欲不振・嘔吐・元気消失といった非特異的な症状から始まり、進行すると重篤な急性副腎不全を引き起こすことがあります。「波のある経過」「ストレス時の悪化」というパターンを覚えておくことが早期発見の鍵です。症状が気になる場合は早めに獣医師へ相談し、適切な検査を受けることをお勧めします。

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