犬のアジソンクリーゼ(急性副腎不全)は、命に直結する緊急事態です。アジソン病の犬がある日突然ぐったりして立てなくなったとき、飼い主様が適切に判断して動物病院に連れて行くまでの時間が予後を大きく左右します。本記事では、アジソンクリーゼの症状、発生しやすい状況、そして緊急時の対処法について詳しく解説します。
アジソンクリーゼとは何か
急性副腎不全の定義
アジソンクリーゼ(急性副腎不全)とは、アジソン病の犬が急激な副腎ホルモン不足に陥り、循環不全・ショック状態になる緊急事態です。体内のナトリウムが急激に低下し、カリウムが上昇することで心臓への負担が一気に増大します。適切な治療を受けなければ数時間以内に死亡することもある、非常に深刻な状態です。
クリーゼが起きやすい状況
アジソンクリーゼは以下のような状況で特に起きやすいとされています。未診断のアジソン病犬が初めて症状を呈した場合、すでに診断されているがストレスが強くかかった場合(手術・感染症・外傷・環境変化など)、そして投薬を突然中断した場合などです。季節の変わり目や旅行後など、普段と違う環境が続くときも注意が必要です。
未診断犬での突然発症
アジソン病が未診断の犬でも、ストレスや感染症をきっかけにクリーゼが突然起こることがあります。それまで一見元気に見えていた犬が突然重篤な状態になることもあるため、「今まで問題なかったから大丈夫」とは判断できません。
アジソンクリーゼの緊急症状
主な緊急症状のリスト
以下の症状が見られた場合、アジソンクリーゼの可能性があります。ただちに動物病院に連絡してください。
- 突然のぐったり・虚脱(立ち上がれない、横たわったまま動けない)
- 意識がもうろうとしている・反応が鈍い
- 全身の震え・けいれん
- 歯茎・舌が青白い・白い(チアノーゼ、貧血様の状態)
- 呼吸が浅く速い、または極端に遅い
- 脈が触れにくい、または遅い(徐脈)
- 血便・吐血
- 嘔吐・下痢が止まらない
- 体温が低い(低体温)
通常のアジソン病の症状との違い
通常のアジソン病の慢性症状(元気がない、食欲がない、嘔吐など)と比較して、クリーゼでは症状が急激に悪化し、「急に倒れた」「突然動けなくなった」という経過が特徴的です。慢性的な不調が続いていた犬が急変した場合はクリーゼを強く疑ってください。
心臓への影響
高カリウム血症が進行すると、心臓の電気的な活動に異常をきたし、不整脈から心停止に至る可能性があります。これがアジソンクリーゼが命に関わる最大の理由です。脈が異常に遅い、または不規則に感じる場合は特に危険なサインです。
クリーゼ時の緊急対処法
まず動物病院に電話する
クリーゼの疑いがある場合、まずかかりつけの動物病院に電話してください。「突然ぐったりして動けない」「歯茎が白い・青い」「呼吸がおかしい」など症状を具体的に伝えることで、病院側が受け入れ準備を整えることができます。夜間・休日であっても、緊急動物病院を探してすぐに向かってください。
搬送中にできること・してはいけないこと
搬送中は愛犬を毛布などで包んで保温し、静かに横に寝かせて運びます。揺らしたり抱き上げて歩かせたりすることは体への負担が増すため避けてください。また、水や食事を無理に与えることも禁物です。呼吸の状態を確認しながら、できるだけ早く病院へ向かうことを最優先にしてください。
病院での治療内容
動物病院では、大量の輸液(点滴)によって循環血液量を回復させ、低ナトリウム・高カリウムを補正することが最優先の処置となります。同時に、不足しているコルチゾールを注射で補充します。適切な治療が行われた場合、多くの犬は24〜48時間以内に血液検査の数値と症状が改善するとされています。
クリーゼを予防するためにできること
ストレス時の投薬調整(ストレスドーシング)
手術・入院・トリミングなど愛犬にストレスがかかる予定がある場合、事前に主治医に相談してプレドニゾロンを一時的に増量する「ストレスドーシング」の計画を立てておくことが重要です。突発的なストレス(事故・感染症など)の場合も、できるだけ早く獣医師に連絡して指示を仰いでください。
定期検査で状態を把握する
3か月に1回程度の定期的な血液検査(電解質確認)を欠かさず受けることで、クリーゼの前段階となる電解質異常を早期に察知できます。「最近少し食欲が落ちている」「元気がない気がする」という段階で相談することが、クリーゼを未然に防ぐことにつながります。
緊急連絡先と夜間病院を事前に調べておく
アジソン病の犬を飼っている飼い主様は、かかりつけ医の緊急連絡先と、夜間・休日対応の動物病院の情報をスマートフォンに保存しておくことをお勧めします。いざという時に慌てず動けるよう、平常時から備えておくことが大切です。
まとめ
アジソンクリーゼは突然発症し、治療が遅れると命に関わる緊急事態です。ぐったりして動けない、歯茎が青白い、脈が遅いなどの症状が見られたら、ためらわずすぐに動物病院へ連絡してください。日ごろからストレス管理・定期検査・緊急時の連絡先確認を徹底することが、愛犬の命を守ることにつながります。
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