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【猫の尿路結石|血尿】自然治癒する?症状や寿命、オススメのフードについて獣医師が徹底解説

猫の尿路結石は餌を変えれば自然治癒するって本当??

尿路結石の原因によりますが、水分摂取不足であれば水分含有量の多い餌にすれば、尿から排泄できることもあります。

猫の尿路結石の原因のほとんどは水分摂取量不足やおやつ(チュールなど)のあげすぎによる栄養バランスの悪さによるものです!

尿路結石が悪化すると、尿回数が1日5~6回以上のおしっこをしたり、血尿がでたりなど、生活の質を大きく下げるような症状がでます。

ただし、尿路結石の原因や症状には個体差があり、一概に「フードを変えるだけで治る」とは言きれません。しかし、バランスの取れた食事を心がけ、水分補給もしっかり行うことで尿路結石の予防は十分に可能です。

今回は猫の血尿の原因である尿路結石について獣医師が解説します。

尿路結石とは?

尿路結石とは尿中のミネラルなどといった様々な物質が結晶を形成し、その結晶がタンパク質などと結合することで固まった石のことです。

尿路結石は、腎臓から尿道までの泌尿器のどこにでもできる可能性はあります。結石には様々な種類がありますが、猫の尿路結石のほとんどはシュウ酸カルシウムです。その他にはストルバイトや尿酸塩などの結石ができることもあります。

シュウ酸カルシウム尿路結石は酸性尿(pHが低い尿)で形成され、雄猫・室内飼いの猫・ペルシャ猫やヒマラヤ猫リスクが高いとされています。

小さな尿路結石ができたとしても、はじめは無症状ですが、大きくなると、尿路結石が存在する粘膜部分に炎症が引き起こされるため、血尿尿路閉塞を引き起こします。

尿路結石は自然治癒する?

7日以内に尿結晶や尿路結石が溶けたり、尿かた排泄されることで自然治癒する猫もいます。

しかし平均すると、尿結晶や尿路結石が溶けるに療法食を6週間ほど続ける必要があります。(溶けない結晶や結石は自然治癒は難しいです)

また、大きな結石は小さなサイズへと溶けることができても、尿路閉塞のリスクとなることがあります。

結石が大きくて溶解することができない場合は、手術で取り除く必要があります。

猫の尿路結石の初期・末期症状

尿路結石は、泌尿器の粘膜を傷つけることで様々な症状を引き起こす可能性があります。

一方、尿管や尿道などの部分に結石が詰まってしまうと、排尿できなくなり、重篤な症状を引き起こします。

そのため、早期発見・早期治療が必要です。

尿路結石の初期症状としては

  • 頻尿
  • トイレ以外で尿をする
  • 何度も何度もトイレに行く
  • 尿回数が1日5~6回以上の頻尿
  • 血尿
  • おしっこがキラキラする
  • 陰部をしきりに舐める動作を行う
  • 排尿時に泣き叫ぶ

などといった症状があります。

末期になると尿道閉塞を引き起こすことで排尿できなくなり、元気がなくなったり、何度も吐いたりなど全身の症状を伴います。

完全に尿路閉塞を引き起こすと水腎症尿毒症を引き起こし、命の危険があります。

尿路結石以外の血尿の原因

血尿の原因の大部分は、泌尿器系の疾患が原因となっており、尿路結石以外にも様々なものがあります。

血尿の原因となっている疾患を診断するためには、動物病院で検査を行うことが重要です。

特に、腹部X線検査や腹部超音波検査は、尿路結石、腫瘍、膀胱炎など、血尿を引き起こす疾患を特定するためによく行われます。

細菌感染による膀胱炎などの尿路感染症は、犬では血尿の原因として多く発生しますすが、実際には猫では稀です。

腎臓の病気

腎臓は、体内の老廃物を排出する役割を担う重要な臓器です。

腎臓に問題がある場合、排出される老廃物が体内に留まり、体内のバランスを崩すことがあります。

特に猫では慢性腎臓病が高齢で起こりやすいです。その場合、頻尿、食欲不振、嘔吐、下痢などの症状が現れます。

膣や子宮の病気

膣や子宮に問題がある場合、猫が血尿を発することがあります。

子宮内膜炎や膿瘍、膣の炎症などが原因となることがあります。これらの疾患が原因の場合、猫は排尿ができないといった症状が現れます。

泌尿器の腫瘍

腫瘍が原因で猫が血尿を発することがあります。特に、腎臓や尿路の腫瘍が原因となることがあります。腫瘍が原因の場合、猫は排尿が困難になり、ポタポタおしっこをするといった症状が現れることがあります。

雄猫の生殖器の傷

生殖器に傷がある場合、猫が血尿を発することがあります。

猫が過度になめたり、または外傷によって傷ついたことが原因となる場合があります。この場合、猫は排尿時に痛みを感じることがあります。

交通事故

交通事故によって、猫が内臓や骨格に損傷を受けることがあります。

特に、腎臓や尿路、膀胱などが損傷を受けた場合、猫が血尿を発することがあります。猫が交通事故に遭った場合、血尿以外にも骨折や内臓損傷などの症状が見られることがあります。

以上のように、猫が血尿を発する原因は尿路結石以外にも様々なものがあります。

症状に合わせて、早めに獣医師に相談することが重要です。特に交通事故の場合は早急な治療が必要です。

猫は外傷を隠す生き物であり、痛みや不快な症状を我慢することがあります。そのため、獣医師による適切な検査や治療を受けることが大切です。猫の健康状態を常にチェックし、早期発見・早期治療につなげましょう。

尿路結石の原因

猫の尿路結石の原因としては

脱水や水分不足・食べ物・膀胱炎

などが考えられます。

まず、何らかの原因で脱水が起こると、尿が濃くなってしまい、尿路を通過する尿の量が減ります。それにより結石ができやすくなるのです。

また、食べ物も原因の一つです。猫には、体質に合わせた食事を与えることが大切です。

膀胱炎も猫の尿路結石の原因として考えられます。膀胱炎は、ストレスや細菌などによって引き起こされる場合もあり、尿路結石の原因となる場合もあります。

脱水・水分不足

脱水や水分不足を起こしていると、尿が濃くなってしまうため、結石ができやすくなってしまいます。

清潔な水が用意されていない、給水機が気に入らないなどといった理由で水分不足になることが多いです。

1日2回以上こまめに水を変えてあげましょう!ミネラルウォーターは結石形成を促してしまうため、絶対にあげないようにしてください。あげるのであれば、フィルターで濾過した水道水が良いでしょう。

食べ物

おやつをあげすぎたり、栄養バランスの悪い餌を食べている場合には、結石ができやすくなってしまいます。また、ドライフードだけを食べている猫は尿路結石ができるリスクが高くなることが報告されています。

ですので、尿路結石を予防するためにも缶やパウチなどの水分を多く含んでいるフードをバランスよくあげることが重要です。

膀胱炎

膀胱炎になると結石ができやすくなることがあります。猫では特発性膀胱炎と呼ばれるストレスが原因の膀胱炎をよく引きこします、細菌感染による膀胱炎が起こることはほとんどありません。

特発性膀胱炎の治療法はストレスのケア、水分摂取量を増やす、トイレを清潔にする、トイレの個数を増やすなどといった環境改善がメインです。抗生剤や炎症止めの薬を使用することは基本的にありません。

猫の尿路結石の治療

猫の尿路結石の治療

尿路結石により閉塞が起こっていない場合には、基本的に水分摂取量を増やすなどして改善を試みます。閉塞がある場合にはカテーテルや外科手術による処置を行います。

猫の尿路結石の治療には、尿路結石による閉塞がある場合と、閉塞がない場合で異なります。

閉塞がない場合には、基本的には水分摂取量を増やすなどして改善を試みます。具体的にはドライフードではなくウェットフードを与えることが推奨されます。また、健康的な猫の場合、1日あたりの水分摂取量は約60 ml/kgとされています。一方、閉塞がある場合には、カテーテルによる治療や外科手術による処置が必要となります。

水分摂取量を増やす

尿路結石の原因は水分不足であることがほとんどです。水分摂取量を増やすように工夫を行いましょう。

具体的には

  • 餌を変える
  • 水飲み場を増やす
  • 給水機を変える(噴水型が良い)

などといったことが挙げることができます。

カテーテル

尿道に結石が詰まっている場合は、カテーテルを尿道に入れることで閉塞を解消します。

外科手術

尿管結石による閉奥をカテーテルで解消できなかったり、結石が尿管で詰まっていたり、膀胱や腎臓に結石がある場合には外科手術により結石を取り除きます。

尿路結石の猫の寿命

尿路結石自体が直接的に猫の寿命を短くするわけではありませんが、合併症や結石による尿路の閉塞などが生じると、命に関わる状況が発生することがあります。

ですが、適切な診断と治療を早期に開始することができれば、多くの猫は寿命を全うすることができます。

猫の尿路結石は予防できる?

尿路結石は予防することが可能です。

以下で代表的な予防策についてご紹介します。

ウェットフードの量を増やす

尿路結石と食事に関しては有意な相関があり、ドライフード中心の食事を与えている猫では、尿石症のリスクが高く、ウェットフードをドライフードと一緒に食べている猫は尿石症のリスクはかなり低くなります。

水分含有量の高い食事回数を増やすことで、尿路結石の予防効果はあるといえるでしょう。

以下の記事で代表的な猫の尿路結石用フードのドライフードとウェットフードについて総まとめしています。

新鮮な水を用意する

また、新鮮な水を常に用意しておくことも重要です、具体的には1日2回はこまめに水を取り替えましょう。

獣医師おすすめの尿露結石用フード

ここでは、獣医師が厳選したおすすめのフードご紹介します。

以下で紹介するフードは、膀胱炎や尿路結石予防や対策に特化して開発されたもので、マグネシウム、リン、カルシウムなどのミネラルを低く抑え、クランベリーやオメガ3脂肪酸など、尿路の健康を促進する成分を含むように作られています。

c/dマルチケアコンフォートメタボリックス(猫用)

ヒルズの栄養学者と獣医師が開発したプリスクリプション・ダイエット〈猫用〉c/dシーディーマルチケア コンフォート+メタボリックスは、愛猫の体重管理と下部尿路の健康の管理に配慮した特別療法食です。

この療法食は、オメガ-3脂肪酸と抗酸化成分の調整等により、下部尿路疾患で最も多い特発性膀胱炎の再発時の管理を89%までケアし、低カロリーで60日間で11%の減量に役立つことが科学的に証明されています。

また、特発性膀胱炎の管理に役立つ加水分解ミルクプロテインとトリプトファンを配合しており、ミネラルや尿pHバランスに配慮し、尿路結石の形成を抑制するためにもサポートします。そして、満腹感と満足感を向上させることでダイエットにも適したフードで、ミネラルのバランス調整により、ストルバイトとシュウ酸カルシウム尿石の形成を予防します。

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ユリナリー S/O ライト(猫用)

ユリナリーS/Oライトは、下部尿路疾患(特発性膀胱炎、ストルバイト結石症およびシュウ酸カルシウム結石症)の猫に給与することを目的として、特別に調製された食事療法食です。

この食事は、マグネシウムなどのミネラル成分を調整し、体重過多に配慮してカロリー密度を低く調整しています。さらに、ストルバイトが形成されにくい弱酸性の尿となるように、ミネラルなどの栄養バランスを調整することで、健康的な尿量を維持するようにも配慮しています。

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本記事のまとめ

猫の尿路結石は、猫の尿路に結石が形成される症状で、頻尿や血尿が目立つことが多くなります。

しかし、頻尿や血尿の背後には、尿路結石だけでなく、感染症や膀胱炎、腫瘍などの他の疾患の可能性も存在します。

フードを療法食へと変えることで尿のpHを調整し、結石の形成を防ぐ効果や結石を溶かす効果が期待できます。

尿路結石の初期症状は分かりにくく、飼い主にとって気づきにくい場合もあります。

時間が経過すると症状は悪化し、血尿だけでなく、尿が出にくくなったり、尿が全く出なくなる状況も考えられます。このような場合、早期に治療を行うことが重要です。

  • この記事を書いた人
院長

院長

国公立獣医大学卒業→→都内1.5次診療へ勤務→動物病院の院長。臨床10年目の獣医師。 犬と猫の予防医療〜高度医療まで日々様々な診察を行っている。

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