ステージ3の状態と現れる症状
中度〜重度の腎機能低下ステージ3は血中クレアチニン値が2.9〜5.0mg/dL(猫)の段階で、腎機能の著しい低下が明確になります。老廃物(尿毒素)が血中に蓄積し始め、様々な全身症状が現れます。
主な症状
- 嘔吐・吐き気(尿毒素による消化器刺激)
- 食欲低下・体重減少(筋肉量の著しい低下)
- 口臭の悪化(尿臭様の口臭)
- 元気の低下・活動量の減少
- 多飲多尿の継続または悪化
- 貧血による青白い歯茎
積極的な食事療法への移行
ステージ3では腎臓病用処方食への完全移行が強く推奨されます。ただし食欲低下が起きやすいため、「処方食を食べない」よりも「何かを食べる」ことを優先する場面も出てきます。
処方食への移行を試みる
段階的に処方食の割合を増やし、1〜2週間かけて切り替えましょう。嗜好性の高いウェットタイプの処方食から始めると受け入れてもらいやすいです。ロイヤルカナンの腎臓サポート(ウェット)・ヒルズのk/dウェットなどが使いやすい製品です。
食欲がない場合の対処
処方食を拒否する場合、獣医師と相談の上で食欲増進薬(ミルタザピン少量など)の使用を検討することもあります。また少量多頻度の給餌・フードを軽く温める・新しい器に替えるなどの工夫も有効です。絶食は急速な体力低下を招くため、何も食べない日が続く場合はすぐに獣医師へ相談してください。
皮下点滴の必要性と自宅点滴の方法
ステージ3以降では脱水が顕著になるため、自宅での皮下点滴(皮下輸液)を獣医師から勧められるケースが増えます。老廃物の排出を助け、腎臓への負担を軽減する効果があります。
自宅皮下点滴の流れ
- 獣医師から正式な指導を受け、必要な物品を準備する
- 点滴液(乳酸リンゲル液など)・点滴チューブ・注射針を用意
- 猫をリラックスさせた状態で首の後ろの皮膚をつまみ空間を作る
- 針を挿入し、規定量(獣医師指定の量)を投与する
- 終わったら針を抜きしっかり止血する
- 週2〜3回または毎日など、獣医師の指示に従って実施
自宅点滴は慣れるまで不安を感じる飼い主さんも多いですが、動物病院で丁寧に指導を受けることで、多くの方が習得できます。不安な場合は動物病院での通院点滴から始めるか、在宅医療サービスの利用も検討してみてください。
体重と筋肉量を維持するための管理
ステージ3で最も起きやすい問題の一つが「筋肉量の低下(サルコペニア)」です。体重だけでなく、筋肉の量と質を維持することが長期的なQOLに直結します。
体重測定の重要性
毎週同じ時刻・条件で体重を測定し記録しましょう。2週間で5%以上の体重減少が見られた場合はすぐに獣医師に報告してください。
筋肉量を維持するために
- タンパク質を過度に制限しない(筋肉量維持のため適切量を確保)
- カロリー摂取量を確保する(少量でも高カロリーなフードを選ぶ)
- 食欲を維持するための嗜好性管理(温める・種類を変えるなど)
- 軽い運動・遊びを継続する(体力が許す範囲で)
- カリウム値を定期チェック(低カリウム血症は筋力低下に直結)