本記事では獣医師監修のもと、本記事では犬の皮膚疾患に対する新しい治療法として注目されている「サイトポイント」について詳しく解説します。
サイトポイントの効果や副作用はもちろん、費用面での考慮点、既存の治療法「アポキル」との比較、そして効果が出ない場合の対処法まで、全面的にご紹介します。
サイトポイントとは
サイトポイントは、IL-31と呼ばれる痒みを引き起こす物質の働きを抑えることで、アトピー性皮膚炎などによる痒みを緩和させる抗体製剤です。
サイトポイントは注射薬なのですが、月に1回だけの注射で効果が1ヶ月持続する大変画期的な痒み止めです。
痒み止めといえば、ステロイドやアポキルといったお薬がこれまで選択肢となっていましたが、サイトポイントも新たな選択肢となりつつあります。
サイトポイントの使い方
サイトポイントのは月に1回の投与が有効であると多くの研究で報告されています。
一般的な有効率は約70%です。要するに10匹中7匹のワンちゃんで痒みに対して効果を示すということです。
通常の用量は1mg/kgで、月に1回皮下注射することとされています。米国では2mg/kgが基準とされており、日本よりも高い用量で投与されるケースもあります。
しかし、用量が増えてもサイトポイントの効果の期間が延長されるだけで、必ずしも効果が高まるわけではありません。
サイトポイントの副作用
サイトポイントは、基本的に大きな副作用はないとされています。
ただし、注射時に痛みを感じることがありますが、それはサイトポイントが冷蔵保存であることが関係していると考えられています。(注射を打つ前に常温に少しの間戻しておくと、注射時の痛みは軽減できます)
一方で、サイトポイント投与後にアナフィラキシーが疑われる症例も報告されているため、副作用が全くないと言い切ることはできません。
サイトポイントとアポキルの違い(メリット)
正直なところ、アポキルよりもサイトポイントの方がメリットが多く、優れています。
以下でアポキルと比較したサイトポイントのメリットを説明します。
- 全ての年齢で打つことができる
- 注射薬であるため、投薬によるストレスを減らすことができる
- 1日の間で作用しない時間がないため、しっかり効く
- 他の薬を併用できる
アポキルは投与に年齢制限がありますが、サイトポイントにはありません。また、アポキルは1日2回の投薬で、投薬が難しい愛犬にはストレスになってしまいますが、サイトポイントは1回注射を我慢するだけで良いのです。
アポキルは半減期というものがあるため、どうしても1日の間で効いてない時間が出来てしまいますが、サイトポイントは常に効果が持続しているため、その心配はありません。
アポキルは免疫を抑制する作用があるため、ステロイドなどのお薬を併用することはできません。一方、サイトポイントはステロイドを併用できるため、効率よく痒みや炎症を抑えることができます。
これらのメリットからサイトポイントがいかに魅力的なお薬か理解いただけた事と思います。
以下の記事でアポキルについて総まとめしています!
サイトポイントが効かない場合
サイトポイントは痒みに特化した抗体薬ですが、一方で効かなかったという飼い主さんの声も稀に聞くことがあります。ではサイトポイントが効かなかった原因として何が考えられるのでしょうか?
原因は以下のようなことが考えられます。
- アトピー性皮膚炎以外の原因(寄生虫、マラセチア、膿皮症、食物アレルギー)の治療ができていない
- 重度のアトピーで痒みが強すぎる
多くの場合は、アトピー以外のマラセチアや食物アレルギーなどといった病気が併発しているにも関わらず、そちらの治療が上手にできていないことがほとんどです。
そしてあまりにもアトピーが重度で、痒みを抑えられない場合もありますが、その場合はステロイドを使用することで上手に管理することができます。
サイトポイントの費用
サイトポイントは、だいたい1回の注射で10,000円〜15,000円ほどの費用がかかります。
少し高いと思われる飼い主さんもいらっしゃると思いますが、アポキルなど他の治療よりもコストパフォーマンスが良い場合がほとんどです。
本記事のまとめ
本記事では、獣医師監修の下、サイトポイントについての包括的な解説を行いました。
特に、副作用や費用、アポキルとの比較、効果が出ない場合の対処法などを詳細に触れました。
サイトポイントが犬の皮膚疾患に対して持つ潜在的なメリットを理解することで、最も効果的な治療法を選ぶ際の参考にしていただければと思います。
皮膚疾患に悩む犬とその飼い主さんにとって、サイトポイントは有望な選択肢の一つであり、その使い方や効果についてより深く理解することが、より良い治療結果につながるでしょう。