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【獣医師監修|子犬の咳】長引いて治らない場合は要注意、ケンネルコフの初期症状や完治期間について解説

【獣医師監修|子犬の咳】長引いて治らない場合は要注意、ケンネルコフの初期症状や完治期間について解説

愛する子犬が元気いっぱいに過ごしている姿は、飼い主にとって何よりの喜びですね。しかし、そんな子犬が突如としてカハッカハッと乾いたような咳を始めたら、きっと不安に感じてしまうことでしょう。

その咳の原因は、ケンネルコフという感染症の兆候かもしれません。今回のブログでは、このケンネルコフについて、飼い主として理解しておくべき情報をわかりやすくお伝えします。

本記事を読めば分かる事

  • ケンネルコフの原因
  • ケンネルコフの初期症状と末期症状
  • 他の子犬に咳がうつる可能性
  • ケンネルコフの治療期間
  • ケンネルコフによる命の危険性

病気の早期発見と適切な対策が、愛犬の健康を守る最も重要なステップです。

本記事ではケンネルコフの原因から症状、治療法、そして予防策まで、獣医師が解説します。

飼い主の皆さんにとって、本記事が愛犬との素晴らしい生活を続けるための一助となれば幸いです。

ケンネルコフの原因

ケンネルコフは、特に免疫力がまだ十分に備わっていない子犬に多く見られる感染症で、その原因は主に病原体の感染によるものです。

具体的には、

  • イヌアデノウイルス2型
  • 犬パラインフルエンザウイルス
  • 犬ヘルペスウイルス
  • 気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica)
  • マイコプラズマ

などの病原体が関与しています。

これらの病原体は単独または複合で感染し、子犬の体内で増殖することでケンネルコフを引き起こします。

ケンネルコフの初期症状

子犬がケンネルコフに感染すると、最初に目立つ症状は短くて乾いた「カハッ」という音の咳です。

この咳は通常、感染後3~10日間の潜伏期間の後に現れます。

咳は特に運動や興奮、首輪の圧迫によって誘発されやすいため、これらの状況で咳を繰り返す子犬は、ケンネルコフの可能性を考慮するべきです。

ケンネルコフの末期症状

ケンネルコフが進行し重症化すると、子犬は咳に加えて鼻水、発熱、元気消失といった全身症状を示すようになります。

特に重度の呼吸器症状(痰を伴う咳、鼻汁排出など)は、感染が進行し肺炎などの深刻な合併症を引き起こしている兆候であり、この段階になると死亡する危険性も増します。

ケンネルコフは他の子犬へうつる

ケンネルコフは他の子犬へ感染する可能性があります。

具体的には、

  • 多頭飼育施設から来た子犬
  • 最近ペットショップから購入した子犬
  • 他の子犬やケンネルコフの症状を示す犬と接触した子犬

などが感染するリスクがあります。

ケンネルコフで死亡することはある?

ケンネルコフ自体は通常、自然に治る傾向がありますが、進行して肺炎などの深刻な合併症を引き起こした場合、子犬が死亡する危険性があります。

そのため、早期発見と適切な治療が必要となります。

ケンネルコフの治療

ケンネルコフの治療は、基本的には子犬の安静と薬物療法です。

初期段階では特に薬物の投与は必要なく、安静にすれば自然治癒することが多いです。

しかし、症状が重くなったり、肺炎への重篤化を防ぐためには

  • 抗菌薬
  • 気管支拡張薬
  • 鎮咳剤

などの薬物治療が必要となります。

ケンネルコフの完治期間

ケンネルコフの完治期間は、症状や合併症の有無、治療の進行具合によりますが、軽症であれば自然治癒までに7~10日程度と言われています。

抗生剤などの薬物治療が必要な場合は、通常1週間以内に症状の改善が見られ、治療は約2週間続けることが推奨されます。

まとめ

ケンネルコフは子犬に多く見られる感染性の疾患で、病原体に感染すると咳を主症状とする症状が現れます。

症状の進行により肺炎などの深刻な合併症を引き起こされます。

初期症状から重症化するまでの症状、治療法、完治までの期間を理解し、早期発見・早期治療に努めることが重要です。

また、感染予防のためにはワクチン接種が有効ですが、100%の予防にはならないため、日々の健康管理も忘れずに行いましょう。

  • この記事を書いた人
院長

院長

国公立獣医大学卒業→→都内1.5次診療へ勤務→動物病院の院長。臨床10年目の獣医師。 犬と猫の予防医療〜高度医療まで日々様々な診察を行っている。

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