ドッグフード以外に何か膵炎にとって良い野菜をあげたいけど、何をあげていいかわからない...と言う事はありませんか?
膵炎の食事と言えば基本的には低脂肪食を食べることが多いですが、それだけだと少し物足りなかったり、何かプラスαで栄養のあるものをあげたいと思ってしまいますよね。
野菜の中には胃腸を保護したり、便の状態を改善してくれるものがありますので、そういった野菜をトッピングしてあげると症状の改善に役立つことがあります。
今回は膵炎の治療•予防にとって効果的だと考えられる野菜について獣医師が解説します。
膵炎とは?
膵炎とは致死率の高い犬の消化器疾患です。
膵炎はどのような年齢でも起こり得る消化器疾患で、初期症状としては嘔吐や下痢、食欲がなくなりますが、最終的には血栓塞栓症を引き起こしなくなることがあると言う非常に恐ろしい病気です。
というのも膵臓を含む消化器は高脂肪な食事に対して大きな負荷がかかってしまいます、そのためおやつをたくさん上げていたり高脂肪なドックフードをあげている場合には膵炎を引き起こすリスクが高くなってしまうかもしれません。
具体的には致死率は20~40%と報告されています。
膵炎を引き起こす原因とは?
犬の膵炎は、さまざまな要素によって引き起こされますが、以下、主要な原因について詳細に見ていきましょう。
不適切な食事
高脂肪食や食物アレルギーを引き起こす食事は、膵炎の一因となることがあります。
特に急に高脂肪食を与えた場合や適切な量を超えて与えた場合、膵臓が過度に刺激され、炎症を起こすリスクが高まります。
遺伝的な要素
一部の犬種は、他の種よりも膵炎になりやすい傾向があります。これは遺伝的な要素が関与していると考えられます。
薬物
いくつかの薬物や化学物質が、膵臓に対する負担やダメージを引き起こし、膵炎を誘発する可能性があります。
肥満
適切な体重管理がされていない、肥満の犬は膵炎のリスクが高まると言われています。
肥満は全般的に犬の健康を損なうだけでなく、膵臓にも過大な負担をかけます。
年齢と性別
中高年の犬や雌犬は、膵炎になりやすい傾向があります。
膵炎の原因は、数多くの要因が複雑に関係しあい、膵炎を引き起こしていると言われていますが、膵炎の予防•治療において食事管理は非常に重要です。
高脂肪な食材が、膵臓を含む消化器に対して強い負担をかけると言うことがわかったところで、膵炎の犬に与えても良い食事とは具体的にどのようなものがあるのでしょうか?
膵炎で摂取したい栄養素
食物繊維
食物繊維は膵炎を含む消化器疾患で引き起こされる下痢•軟便といった便の状態を改善することに大きく役立ちます。食物繊維が欠如すると、腸内細菌叢の悪化や消化不良を引き起こす可能性があります、
そのため普段から食物繊維を多く含んでいる食材を与えるようにしましょう。
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミン Aはつよい抗酸化作用を持つ栄養素で、特に緑黄色野菜に含まれているβカロテンは、非常に強い抗酸化作用を持ち、アンチエイジングの効果や感染症を防いでくれます。
そしてビタミンAは胃腸を保護する役割を持つ働きがあり、胃腸に損傷を与える膵炎などの消化器疾患では積極的に摂取すべきです。
ビタミンU
ビタミンUは人間の胃薬にも含まれている栄養素で、こちらもvitamin Aと同様に胃腸の粘膜を保護する働きがあります。
消化器疾患では胃腸の粘膜が傷ついてしまうことがありますので、粘膜を保護するために上記のような栄養素を積極的に摂取したり、便の状態を安定させるために食物繊維を豊富に含む食材の摂取を心がけましょう。
次の項で食物繊維・ビタミンA・ビタミンUといった栄養素を豊富に含む野菜を紹介します。
膵炎の犬が食べていい野菜
以下で膵炎で食べてもいい野菜を紹介します。
以下の野菜をあげる際の注意点としては、茹でたり、蒸したり加熱を行うこととよく刻んで与えるようにしてください。
生で与えてしまうと、消化不良を引き起こすことがあります。
さつまいも
さつまいもは、様々なビタミン・ミネラルを豊富に含んでいますが、特にビタミンCを豊富に含んでいます。また食物繊維も多く含まれているため、膵炎には相性の良い野菜です。
そしてさつまいもには黒いベタベタしたヤラピンと呼ばれる整腸作用を持つ樹脂が含まれており、このヤラピンという成分は胃腸の粘膜を保護し、便の状態を良くしてくれます。
カボチャ
カボチャにはビタミンAの仲間である、βカロテンが豊富に含まれています。他には抗酸化作用を持つビタミンC・Eや食物繊維も含まれます。
ほうれん草
ほうれん草にはビタミンやミネラルが豊富に含まれています。ほうれん草にもβカロテンやビタミンcが豊富に含まれています。
ニンジン
βカロテンやビタミンcを豊富に含む野菜で、整腸作用を持っています。
ブロッコリー
ブロッコリーはビタミン・ミネラルを豊富に含んでいる野菜です。
ブロッコリーはβカロテンやビタミンcといった抗酸化作用のある栄養素を大量に含んでおり、整腸作用のほかにアンチエイジングが期待できます。
山いも
山いもは調理せずにそのまま食べることができる数少ない野菜です。
山いもにも食物繊維やビタミンなどが豊富に含まれていますが、ムチンと呼ばれる粘り気のある成分を持っており、ムチンは胃腸の粘膜を保護する作用があります。
ご飯(白米)はあげてもいい?
白米はなるべく膵炎の愛犬にあげないようにしましょう。
というのも、白米や小麦粉などの精製された炭水化物は、すばやく消化•吸収されます。そのため血糖値も急激に上昇します。
その血糖値を下げようと、膵臓がいつもよりも頑張って働いてしまうので、膵臓に過剰な負担がかかるのです。
もし、炭水化物源として膵炎の愛犬に与えるのであれば、茹でたジャガイモが最適です。
膵炎の犬が食べてはいけないもの
人間の食べ物
当たり前ですが、人間の食べ物は犬に与えてはならず、膵炎の一般的な原因となります。
人間の食べ物は犬にとって脂肪分が多く、消化が難しいため、膵臓の炎症を引き起こすことがあります。
膵炎と肥満を防ぐためには、犬に脂肪分の多い人間の食べ物を与えず、ドッグフードを与えることが重要です。
高脂肪の食べ物(豚肉、ラム肉)
豚肉やラム肉などの高脂肪の食べ物は、膵炎の犬にとって消化が困難であり、病状悪化させたり、膵炎の再発につながる恐れがあります。
膵炎を患っている犬は、脂肪分が7〜10%の低脂肪のドッグフードを食べるべきです。これより高い脂肪分の食事は、膵臓に過度の負担をかけ、膵炎の発症リスクを高めます。
また、低脂肪食を与えている犬ではビタミンAやEの不足を起こす場合がありますので、少量のココナッツオイルやサーモンオイルを食事に加えることがオススメです。
糖質の多い食べ物(とうもろこし)
膵臓はインスリンを生成するため、膵炎と糖尿病は密接に関係しています。糖尿病の犬は膵炎になりやすく、逆もまた然りです。
膵炎の犬でも糖分摂取量を管理することが重要で、糖分を多く含む食品は、血糖値を急速に上昇させ、膵炎だけでなく糖尿病を併発する可能性があります。
とうもろこしなどの糖分が多い野菜や果物を犬に与えないようにしましょう。
小麦などのグルテンを含む食べ物
小麦などのグルテンを含む穀物は、健康な犬でも消化が難しいことがあります。
膵炎の犬では、消化に必要な酵素が不足しているため、さらに消化することが困難ですので、必ず避けるようにしてください。
膵臓に良いオススメのフードはどれ?
膵臓に良いフードは市販でたくさん販売されているので、数が多すぎてどれが良いかわかりませんよね…
以下の記事で獣医師がオススメする膵臓に良いフード6選を紹介していますので、ぜひ参考にしてください!
まとめ
膵炎とは犬の健康に深刻な影響を及ぼす可能性のある病気であり、その発症には食事が大いに関係しています。
食事が膵炎の原因になるかという疑問に対して、その答えは「はい」です。
不適切な食事、特に高脂肪食は膵臓に負担をかけ、膵炎を引き起こす可能性があります。
また、野菜は犬の健康維持に必要な栄養素を豊富に含んでいますが、中には犬に適さないものもあります。
そして、犬にとって有害な食品は膵炎のリスクを高めることがあり、これらは絶対に避けるべきです。
高脂肪食や一部の生野菜、チョコレートなどがその例です。
膵炎を持つ犬の食事は、一層の注意を要します。
膵炎の犬に良い食事、つまり低脂肪で消化しやすい食事を心掛け、適切な量と頻度で与えることが重要です。
膵炎は深刻な病気であり、その予防と早期発見が極めて重要です。適切な食事選択と管理により、愛犬の健康を長期にわたって守ることができます。