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【獣医師監修】下部尿路配慮ちゅーるは尿路結石症の猫に良くないって本当?あげるなら1日1本まで!

尿路結石症は猫にとって深刻な問題であり、その管理には適切な食事が不可欠です。

尿路結石用のちゅーるとして「ちゅーる下部尿路配慮」という商品がありますが、このようなおやつを尿路結石症を患う猫にあげてもいいのでしょうか?

結論からいうと、あまりあげないようにしましょう!あげても2本以上はあげないでください、pHやミネラルのバランスが崩れて結石症が悪化する事があります。

本記事では、「ちゅーる下部尿路配慮」が尿路結石症の猫にどのように影響を与えるかについて解説します。

尿路結石症の原因と症状

尿路結石症は、猫の尿道に結晶や石が形成される状態を指します。

ストルバイトとシュウ酸カルシウムは結石の主な成分で、尿中のミネラルバランスの乱れにより形成されます。

これらの結石は尿路の閉塞や炎症を引き起こし、猫の健康に深刻な影響を及ぼします。

尿路結石症での食事は、尿のミネラルバランスを適切に保つことが重要です。

ストルバイト

ストルバイトは、尿のpHが高くなる(アルカリ性)とできる尿石です。また、水分摂取量が不足しているだけでも、ストルバイトの結晶ができることもあります。

ですが、ストルバイトは食事などでpHを下げることでによって溶かすことができるので、完治させることは可能です。

シュウ酸カルシウム

シュウ酸カルシウム尿路結石は、酸性(pH5.0~6.5)尿で形成される尿石です。その名の通り、カルシウムとシュウ酸という2つの化学物質が結合してできるものです。

ストルバイトと大きく異なる点は、シュウ酸カルシウムは溶けないということです。そのため、どんどん大きくなっていき、尿管•尿道閉塞を引き起こします。

猫ではストルバイトよりもシュウ酸カルシウムの方が発生率は高いと報告されています。

ちゅーるの成分は体に悪い?

ちゅーるはそもそも猫の体に悪いのでしょうか?

ちゅーるとりささみ ほたて味の成分を例に考えてみましょう。

  • 糖類(オリゴ糖等)
  • 紅麹色素
  • 増粘剤(加工でん粉)
  • 増粘多糖類

糖類や増粘剤、増粘多糖類はちゅーるの食いつきを良くするための風味付けやトロリとさせるために配合されています。彼らは糖分が多く含まれているため、過剰摂取してしまうと糖尿病や肥満のリスクをあげてしまいます。

また、紅麹色素とは赤色の着色料のことです。もちろん着色料はフードやおやつに必要のないものです。やはり着色料も適量であれば問題ないですが、過剰に摂取しつづけるとガンになりやすくなったり体に良くないことが起こります。

ゆえに普通のちゅーるであっても1日に何本も与えることはそもそも体に良くありません。獣医師としては1日2本程度で留めて欲しいところです。

ちゅーる下部尿路配慮の成分分析

「ちゅーる下部尿路配慮」は、猫にとって美味しく、栄養豊富なおやつです。

参考

まぐろや鶏脂といった良質なタンパク源、DHA・EPA含有精製魚油といった有益な脂肪、そしてオリゴ糖やタンパク加水分解物などの消化を助ける成分が含まれています。

重要な点として、この「ちゅーる下部尿路配慮」は、通常のチュールと比較して

  • カルシウム→0.02%
  • マグネシウム→0.01%
  • リン→0.07%

のようなミネラルが制限されています。

普通チュールのミネラルは?

通常のチュールは平均して

カルシウム→0.05%

マグネシウム→0.01%

リン→0.28%

という組成で構成されています。カルシウムとリンは制限されていますが、

実はマグネシウムは全く同じ濃度なんです。

これらのミネラルは尿路結石の形成に関与するため、その量が制限されていることは、尿路結石症の猫にとって有益な点と言えます

ポイント

また、「ちゅーる下部尿路配慮」の成分表からは塩分量が明示されていませんが、

灰分(0.8%以下)から推測すると、塩分量は比較的低いと考えられます。

尿路結石症の猫に対しては、過剰な塩分摂取は尿中のミネラル濃度を高め、結石のリスクを増加させる可能性があります。

そのため、塩分が制限されているこの商品は、尿路結石症の猫に対しても適切な選択となる可能性があります。

ちゅーる下部尿路配慮を与える場合の利点と欠点

「ちゅーる下部尿路配慮」は、確かに普通のチュールよりかは下部尿路に配慮されているといえるでしょう。そして水分補給にもなるため、下部尿路にとってはメリットもあります。

しかしながら、尿路結石症の猫に対しては、結石形成に関与するpHやミネラルの摂取量が一定に保たれることが重要で、チュールを与えることで、そのバランスが崩れる可能性があります。

注意ポイント

特に、療法食で適切な尿のpHを維持している場合、2本以上のチュールを与えるとそのバランスを崩し、結石形成のリスクを増加させる可能性があります。

獣医師の見解

尿路結石症の猫に対する食事管理は非常にデリケートですので、ちゅーる下部尿路配慮を控えめに与えることを推奨します。

特に療法食を与えている場合、チュールを過剰に与えることで、療法食で得られているバランスが乱れる可能性があります。

それゆえ、2本以上のチュールは避け、獣医師の指示に従った食事計画を優先させることをおすすめします。

まとめ

記事を通じて、「下部尿路配慮チュール」が尿路結石症の猫に与える影響と、その適切な摂取量について詳しく見てきました。

ここで、その要点を簡潔におさらいしましょう。

下部尿路配慮チュールは一般的なチュールよりも低塩分で作られており、尿路健康を考慮した配慮がされている猫用のおやつです。

そのため、適度に摂取させることで、一般的なチュールよりも尿路結石症のリスクを抑えることが可能です。

しかし、チュールはあくまでおやつであり、主食に代わるものではありません。愛猫の健康状態や食事バランスに応じて適切な摂取量を調節することが重要です。その目安として、1日あたり1本程度に控えておくことが重要です。

結論として、下部尿路配慮チュールは適度に与えることで、尿路結石症の猫の健康管理に役立つことが可能です。
しかし、過剰な摂取は避け、猫の全体的な食事バランスを保つことが大切です。愛猫の健康状態を最優先に考え、適切な摂取量とバランスの良い食事を与えましょう。

  • この記事を書いた人
院長

院長

国公立獣医大学卒業→→都内1.5次診療へ勤務→動物病院の院長。臨床10年目の獣医師。 犬と猫の予防医療〜高度医療まで日々様々な診察を行っている。

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