愛犬が歳を取ってから、水を飲む量が増えたり、食欲が増えて太ってきた...といったことはありませんから?
もしかすると愛犬は、中高齢でよく発生するクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)を患っているかもしれません!
クッシング症候群は初期症状としては明らかに異常と思われるような症状はでません、食欲が旺盛になりますので逆に元気になっていると錯覚してしまうことごあるくらいです。
ですが、クッシング症候群をそのまま放っておくと、発作や血栓症といった末期症状を引き起こす可能性もあり、平均生存期間も2年程度と報告されていますので早期発見•治療を行うことが重要です。
犬のクッシング症候群とは?
クッシング症候群とは腎臓の隣でコルチゾール(副腎皮質ホルモン)とよばれるホルモンを分泌している副腎で過剰にホルモンが分泌されることです。
過剰なコルチゾールにより発作や血栓症などといった怖い症状を引き起こすホルモンの病気です。
クッシング症候群の原因は3つに分類され、
- 下垂体の過形成や腫瘍
- 副腎皮質腫瘍
- ステロイド投与による医原性
に分類されます。
クッシング症候群の80~90%は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を分泌する下垂体の過形成や腫瘍が原因です。15~20%では、副腎皮質腫瘍が原因となります。その他の原因としてはステロイドの長期投与による医原性が挙げられます。
下垂体は副腎からコルチゾールを分泌するよう指示を出しており、この指示を出すホルモンを副腎皮質刺激ホルモンとよびます。この下垂体で過形成や腫瘍ができるなどトラブルが起こると、副腎皮質刺激ホルモンが過剰に分泌され、副腎からのコルチゾール分泌も増加してしまうのです。
その他の原因として副腎腫瘍がありますが、これは副腎が腫瘍化することで、下垂体が正常であっても腫瘍が勝手にコルチゾールを分泌してしまう病態です。
クッシング症候群は、犬の約0.20~0.28%に発症すると報告されています。
余談ですが、逆にコルチゾールが分泌されなくなるホルモン病をアジソン病と呼びます。
クッシング症候群の好発犬種
クッシング症候群は中高齢(8歳以上)の犬で発生し、プードル•ダックスフンド•ミニチュアシュナウザー•ボストンテリア•ビーグルなどの犬種で起こりやすいといわれています。
またオスとメスで発生率は変わりません。
クッシング症候群の初期症状・末期症状
クッシング症候群によって、コルチゾールが過剰になることで様々な症状を発症します。原因が下垂体の過形成や腫瘍化や副腎腫瘍であっても症状は変わりません。
症状としては
- 多尿・多飲(3kgで1日300cc以上水を飲んでいる場合は、多飲です)
- 多食による体重増加
- 両側性脱毛(背中)
- 筋萎縮
- 肝腫大
- お腹がぽっこりと出る
- お腹の血管が透けて見える
- 高血圧
- パンティング(呼吸が荒くなる)
- 皮膚の感染症が起こりやすくなる(膿皮症など)
- 皮膚の石灰沈着
- 皮膚が黒くなる(色素沈着)
- 足腰の筋肉が弱り、歩けなくなる
などの様々な症状を特徴とします。
初期症状
初期症状として多飲多尿や食欲亢進、筋肉量の減少や脱毛、皮膚病が治りにくいなどの症状が見られます。
高齢で年をとったから毛が抜けるのはしょうがないとクッシング症候群による脱毛を見逃してしまう事がよくありますが、これらの症状に注意し、早期発見が大切です。
コルチゾールが過剰に分泌されると、お腹の皮膚が薄くなり、血管が見えるようになります。また肝臓に脂肪が溜まってしまい、肝腫大を起こし、お腹がぽっこりと出ることも多いです。肝腫大が起こると、肺のある胸腔内に圧をかけてしまうため、呼吸が早くなってしまいます(パンティング)。
また、コルチゾールにより免疫力が抑制されてしまことで、膿皮症などの皮膚の感染症を引き起こしてしまいます。
病状が進行すると、コルチゾールの過剰分泌によって全身の臓器に悪影響が及び、糖尿病や膵炎、高血圧症などの併発疾患が引き起こされることがあります。
クッシング症候群の厄介なところは、合併症を引き起こす事です。例えば、膵炎、糖尿病、尿路結石(シュウ酸カルシウムなど)といった病気を併発することがあります。
末期症状
末期になると、免疫力が低下し、尿路感染や肺炎などの感染症にかかりやすくなり、腫瘍の転移や脳障害による発作や麻痺の危険性も高まります。
これらの末期症状が現れると、クッシング症候群だけでなく併発した病気も治療が必要になり、血管内に血の塊が詰まる血栓塞栓症により突然死が起こることもあるため、注意が必要です。
クッシング症候群が末期になると
コルチゾールが過剰に分泌される事で、様々な血管で血栓ができてしまう血栓塞栓症と呼ばれる状態を引き起こします。特に肺での肺血栓塞栓症が起こりやすく、発症すると呼吸ができなくなり亡くなってしまいます。
また、腫瘍が原因である下垂体性クッシング症候群や副腎性クッシング症候群の場合、腫瘍の浸潤や転移によって神経症状や突然死が引き起こされる可能性もあります。
下垂体腫瘍では脳下垂体周辺の脳神経系が腫瘍により圧迫されることで、旋回、昏睡などの意識障害、麻痺や起立困難などといった神経症状が認められます。
副腎腫瘍では腫瘍が大きくなる事で周囲の血管を圧迫し、血管障害を引き起こします。
犬のクッシング症候群について、初期から末期までの症状に目を光らせ、適切な治療とケアを行いましょう。
クッシング症候群の診断(血液検査など)
血液検査の数値で異常を示すものとしては、
ALP•ALTといった肝酵素や血糖値の高値が認められます。
ただし、これらの値が高いからといってクッシング症候群と確定できるわけではありません。
超音波検査で副腎の大きさを測定したり(通常は6mm以下の大きさ)、ACTH刺激試験と呼ばれる血液の精密検査でコルチゾールの値を測定することで、クッシング症候群の有無を確認します。
もし腫瘍の摘出を行う場合には、CTやMRIなどの画像検査を行う必要があります。
犬のクッシング症候群の余命•寿命
犬のクッシング症候群の寿命は、腫瘍の位置や治療方法、治療の有無によって大きく変わりますが、クッシング症候群を患った犬の平均生存期間(アドレスタンで治療を行なっている)は約2年で、4年以上生きる犬はわずか10%程度と言われています。
腫瘍が原因である下垂体性クッシング症候群の場合、脳下垂体の腫瘍が小さく、コルチゾールの分泌を薬で抑えることができれば症状は改善し、通常の寿命を全うできることがあります。
しかし、腫瘍が大きく放射線治療が効果を示さない場合、1~2年以内に認知症のような状態に陥り、生活が困難になることがあります。
また、下垂体性クッシング症候群の犬で腫瘍が大きくならない場合には余命が比較的長く、直径が1cmを超えている場合には余命が短くなることがわかっています。
副腎腫瘍の場合、副腎の腫瘍を手術で完全に摘出できる場合は、症状が消え、寿命まで生きられますが、摘出が難しい場合は内服薬(トリロスタン)で症状を抑えつつ、余命がさまざまになります。
ある報告では、トリロスタンで治療した206匹の生存期間中央値は521日(416〜634日)で、トリロスタンで治療しなかった18例の生存期間中央値は178日(3〜1015日)といわれています。
クッシング症候群は膵炎や糖尿病といったさまざまな合併症を併発するため、予後が急に悪くなることもあり、非常に厄介なホルモン病なのです。
そのため早期にクッシング症候群を発見し、適切な治療が行われる場合や他の併発症がない場合は、健康な犬と同様に生活できます。定期的な健康診断を受け、病気の早期発見を心掛けることが大切です。
犬のクッシング症候群の治療法
トリロスタン(アドレスタン)
現在クッシング症候群の内科療法のほとんどはトリロスタン(アドレスタン)です。
トリロスタンは、コルチゾール合成に関与する酵素(3β - ヒドロキシステロイド脱水素酵 素)を阻害する作用をもっています。
用量としては2.2~ 6.7mg/kg を1日1回で投与し、その後の状態に応じて、用量や服用回数を調整します。
トリロスタンの副作用
トリロスタンが効きすぎてしまうと、副腎皮質機能低下症(アジソン病)と同様の症状を示すことがあります。
例えば、嘔吐や下痢などが基本的なものですが、そのまま投薬を続けてしまうと、アジソン病のようにショックを引き起こすことがあります。
副作用が認められた場合は、アジソン病の有無を血液検査で確認した上で、トリロスタンを減薬する必要がありますす。
外科療法
クッシング症候群の原因が副腎腫瘍(片側)や脳下垂体腫瘍があまりにも大きい場合は、腫瘍の外科切除を行うことがあります。
ただし、副腎の周囲には血管が豊富に張り巡らされているため、非常に難易度の高い手術になります。
また外科手術後に膵炎などの合併症を引き起こす可能性が高いため、術後管理も徹底的に行う必要があります。
犬のクッシング症候群で食べてはいけないもの
クッシング症候群の犬が食べてはいけないものはいくつかあります。
特に高脂肪な食べ物は、アドレスタンなどの薬の邪魔をして、薬の効果を弱める可能性が高いので、気をつけてください!
高脂肪食品
肥満が問題となるクッシング症候群の犬にとって、高脂肪食品は避けるべきです。体重増加を促し、症状を悪化させる可能性があります。
甘いおやつ(糖分)や炭水化物
クッシング症候群の犬は血糖値の異常に陥りやすいので、糖分の多いおやつや炭水化物は避けるべきです。
加工食品
保存料や添加物が含まれるハムやソーセージなどの加工食品は、クッシング症候群の犬にとってあまり良くありません。なるべく無添加の食べ物を選びましょう。
高ナトリウム食品
クッシング症候群では水分消費量と尿量が増えるため、高ナトリウム食品はこれらの症状を悪化させる可能性があります。例えばチーズなどは与えてはいけません。
アドレスタンと相互作用を起こす食品
一部の食品は、クッシング症候群の治療に用いられるアドレスタンなどの薬物の吸収を阻害する可能性があります。特に脂肪分の多い食品には注意が必要です。
これらの食品を避け、クッシング症候群の管理を行いましょう!
フードを選ぶ際の重要なポイント
腎臓病や糖尿病などの他の疾患とは異なり、クッシングには専用の療法食はありません。
ただし高品質の成犬用食事、特に体重管理用の食事であれば、以下の基準を満たしていれば、クッシングのケアを充分に行うことができます。
- 低脂肪で適度な繊維質を含む
- 消化性の高いタンパク質を含む
- 塩分が少ない
ただし、おやつ、食べ残し、間食、特に脂肪分、塩分、糖分の高いものを厳しく制限することが重要です。
おやつを食べるたびに体重が増加し、クッシングが悪化します。
低脂肪で適度な繊維質
クッシング病の愛犬は、肥満犬がほとんどです。肥満は高血圧や糖尿病などの併発疾患を引き起こすリスクを高めてしまいます。
そのためには、低脂肪で粗繊維が適度(8~17%)なフードが選びましょう。
高消化性タンパク質を含む
クッシングの愛犬は膵臓や胃腸が弱いことが多いです。
そのため消化に負担がかからないよう、フードに含まれるタンパク質は消化性が高いものでなければなりません。
低ナトリウム
クッシングによって高血圧になっている場合は、塩分(ナトリウム)の多いチーズなどの食品を避ける必要があります。
それはドッグフードも同様で、ナトリウムの低い食事は、血圧を正常に保つのに役立ちます。
クッシング症候群の愛犬にオススメのフードは?
それでは獣医師がクッシング症候群の愛犬にオススメのフードを以下で紹介していきます。
和漢みらいのドッグフード【特別療法食(膵臓用)】
獣医師オススメのフードは、和漢みらいのドッグフード【特別療法食(膵臓用)】
です。
こんな愛犬にオススメ!
- 美味しくて、クッシングに対応した療法食を探している
- 漢方を使った療法食が欲しい
- 素材にこだわった、コスパの高いドッグフードを探している
- 腸内環境なども改善したい
和漢みらいのドッグフード【特別療法食(膵臓用)】は、和漢を導入した特別療法食
和漢みらいのドッグフードって何がすごいの??
和漢みらいのドッグフード【特別療法食(膵臓用)】は、製薬会社が開発した高性能ドッグフードで、
- 89種類の和漢植物
- 鹿や魚
- 腸内環境を意識したマクロビ発酵素材配合
- オメガ3脂肪酸
- ファイトケミカル
など他のドッグフードには含まれていない愛犬の体に良い成分がたくさん配合されています。
和漢みらいのドッグフード【特別療法食(膵臓用)】には和漢を中心に、
鹿肉などの良質なタンパク質や腸内環境を意識したマクロビ発酵素材が使用されています。
和漢が配合されているだけでもすごいのに、
原材料にもコストをかけて とことんこだわって作られていますので
コスパが非常に高いヒューマングレードの療法食と言えるでしょう!
和漢みらいのドッグフード【特別療法食(膵臓用)】は、食いつきがとても良い
和漢みらいのドッグフード【特別療法食(膵臓用)】は療法食だし、和漢が入っているけど、美味しいの??
和漢みらいのドッグフード【特別療法食(腎臓用)】は原材料にもとことんこだわっているので、高品質なタンパク源を摂取できるだけでなく、
食いつきも非常に良いドッグフードですので、
あまり食べないわんちゃんにもオススメです!
上記の画像は、実際に和漢みらいのドッグフードを食べているワンちゃんです。
高品質な原材料を使用しているため、食いつきが非常に良く、ペレット状なので食べやすい設計になっています!
和漢みらいのドッグフード【特別療法食(膵臓用)】はクッシングにも対応したドッグフード
また、和漢みらいのドッグフード【特別療法(膵臓用)】はクッシングにも対応したドッグフードです。
クッシングの愛犬に優しい設計がされており、
ポイント
- 低脂質
- 低糖質
- 無添加
にこだわったヒューマングレードで獣医師オススメのドッグフードです!
和漢みらいのドッグフード【特別療法食(膵臓用)】は
素材にもこだわっているし、食いつきもとても良いのに
膵臓にも配慮されたワンちゃんに優しい療法食なのね。
無添加でクッシングを患う愛犬に配慮された高品質なドッグフードで獣医師が最もオススメなものは、
和漢みらいのドッグフード【特別療法食(膵臓用)】です。
【参考文献】
Schofield I, Brodbelt DC, Wilson ARL, Niessen S, Church D, O'Neill D. Survival analysis of 219 dogs with hyperadrenocorticism attending primary care practice in England. Vet Rec. 2020 Mar 21;186(11):348. doi: 10.1136/vr.105159. Epub 2019 Sep 20. PMID: 31542726; PMCID: PMC7146928.