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犬の皮膚病

【獣医師解説】犬の皮膚病まとめ|外耳炎・膿皮症・アトピー・マラセチアの症状・原因・治療を徹底解説

「いつも体をかゆがっている」「耳から嫌な臭いがする」「皮膚がべたつく」——犬の皮膚病は非常に多く、慢性化・再発しやすい疾患のひとつです。この記事では、犬に多い皮膚病(アトピー性皮膚炎・外耳炎・膿皮症・マラセチア皮膚炎・皮膚糸状菌症)の症状・原因・治療・再発予防についてまとめて解説します。

犬の皮膚病の種類|感染性・アレルギー性・寄生虫性の分類

犬の皮膚病は原因によって大きく以下のカテゴリに分類されます。

  • 感染性:細菌性(膿皮症)・真菌性(マラセチア皮膚炎・皮膚糸状菌症)・ウイルス性
  • アレルギー性:アトピー性皮膚炎・食物アレルギー・接触性アレルギー・ノミアレルギー性皮膚炎
  • 寄生虫性:ノミ・疥癬(サルコプテス)・毛包虫(ニキビダニ)・マダニ
  • 内分泌性:甲状腺機能低下症・副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)に伴う皮膚変化
  • 免疫介在性:落葉状天疱瘡・エリテマトーデス
  • 腫瘍性:皮膚腫瘍(肥満細胞腫・扁平上皮がんなど)

皮膚病の診断には皮膚掻爬検査・テープストリップ・細菌培養・真菌培養・皮膚生検などが用いられます。アレルギー性皮膚疾患の確定には除去食試験・アレルギー検査(RAST/ELISA、皮内反応テスト)が必要なこともあります。

犬のアトピー性皮膚炎|かゆみ・発赤・脱毛のケア

マラセチア皮膚炎は、常在酵母菌マラセチア・パキダーマティスの過増殖による皮膚炎です。正常な皮膚にも存在しますが、皮脂の増加・皮膚バリア機能の低下(アトピーなど)・湿潤環境(体の折りたたみ部位・耳道)で異常増殖します。

マラセチア皮膚炎は、常在酵母菌マラセチア・パキダーマティスの過増殖による皮膚炎です。正常な皮膚にも存在しますが、皮脂の増加・皮膚バリア機能の低下(アトピーなど)・湿潤環境(体の折りたたみ部位・耳道)で異常増殖します。

症状

  • 皮膚・耳のべたつき(脂漏性)
  • 特徴的な「古いチーズ」のような酸っぱい・むっとした臭い
  • 発赤・皮膚の肥厚・色素沈着
  • 好発部位:耳道・指間・腋窩・鼠径部・口周囲・首の腹側
  • 強いかゆみ

治療と再発予防

治療は抗真菌薬(ケトコナゾール・イトラコナゾール・フルコナゾール等の内服)とシャンプー療法(2%クロルヘキシジン+ミコナゾールシャンプーなど)の組み合わせが基本です。耳のマラセチアには抗真菌成分を含む点耳薬を使用します。

再発予防には根本原因(アトピー・甲状腺機能低下症など)の管理が不可欠です。定期的な薬用シャンプー・皮膚の乾燥維持(特に折りたたみ部位の清潔と乾燥)も重要です。

犬の皮膚糸状菌症(リングワーム)|人にうつるリスク

皮膚糸状菌症(いわゆるリングワーム)は、皮膚糸状菌(真菌)による皮膚感染症です。犬では主にマイクロスポルム・カニス(M. canis)が原因菌です。円形の脱毛班・鱗屑を特徴とし、ヒトや他のペットへの感染(人獣共通感染症/ズーノーシス)に注意が必要です。

症状

  • 円形〜不整形の境界明瞭な脱毛班
  • 患部の鱗屑・フケ
  • 毛が脆く折れる
  • かゆみは軽度または無症状のこともある
  • ウッド灯(紫外線灯)照射でM. canis感染部位が蛍光色(黄緑色)に光る

人への感染リスクと対策

皮膚糸状菌は人にもうつります(体部白癬/たむし)。感染した犬と接触した後は手をよく洗い、接触した衣類はすぐに洗濯してください。犬のベッド・おもちゃ・ブラシも消毒が必要です。詳しくは皮膚糸状菌の詳細記事をご参照ください。

治療

抗真菌薬(イトラコナゾール・テルビナフィン・フルコナゾール等)の内服が標準治療です。局所療法(2%ミコナゾールクリーム・抗真菌シャンプー)も補助的に使用します。治療は臨床的治癒後も真菌培養が陰性になるまで継続する必要があり、通常4〜8週間以上かかります。

関連記事一覧

犬の皮膚病についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 犬のかゆみ止めに市販薬は使えますか?

犬にヒト用の市販かゆみ止めは原則使用しないでください。成分によっては犬に有害なものがあります。かゆみが強い場合は獣医師に相談し、動物用の薬を処方してもらいましょう。

Q2. 犬の皮膚病はシャンプーで治りますか?

薬用シャンプーは補助的に有効ですが、感染症やアレルギーの根本治療にはなりません。膿皮症やマラセチア皮膚炎では薬用シャンプーと抗菌薬・抗真菌薬の併用が推奨されます。シャンプーは少なくとも10分間の泡パックが効果的です。

Q3. 犬のアトピーは完治しますか?

アトピー性皮膚炎は原則として完治せず、生涯にわたる管理が必要です。ただしアレルゲン免疫療法(脱感作療法)で症状を大幅に軽減できるケースや、成長とともに症状が改善するケースもあります。適切な治療で症状をコントロールしながら快適な生活を維持することが目標です。

Q4. 犬の外耳炎は何度も繰り返すのはなぜですか?

外耳炎が繰り返す最大の原因はアレルギー疾患(アトピー・食物アレルギー)の管理不足です。耳だけを治療しても根本原因が残っていると再発します。アレルギー検査・除去食試験でアレルゲンを特定し、根本的な治療を行うことが重要です。

Q5. 犬の皮膚糸状菌は人にうつりますか?

はい、皮膚糸状菌は人にうつります(人獣共通感染症)。感染犬との接触後は手洗いを徹底し、接触した衣類の洗濯・犬用品の消毒を行ってください。免疫が低下している人(高齢者・乳幼児・免疫抑制中の方)は特に注意が必要です。

外耳炎は犬に最も多い耳の疾患で、外耳道(耳の入り口から鼓膜までの部分)に炎症が生じます。アレルギー(アトピー・食物アレルギー)が原因の7〜8割を占めるとも言われており、単なる耳の問題ではなくアレルギー疾患の一症状であることが多いです。

膿皮症は犬の皮膚への細菌(主にスタフィロコッカス・シュードインターメディウス)の感染による皮膚炎です。健康な皮膚には常在菌として存在しますが、皮膚バリア機能の低下・アレルギー・免疫低下などにより増殖して炎症を引き起こします。表在性膿皮症(表皮・毛包)と深在性膿皮症(真皮・皮下)に分類されます。

症状

  • 毛包性丘疹・膿疱(ニキビ様の小さな膿の粒)
  • フケ・鱗屑の増加
  • かゆみ(程度は様々)
  • 「スタフィロコッカス性毛包炎」特有の「ターゲット病変(標的様皮疹)」
  • 深在性の場合:皮膚の硬結・瘻孔(穴)・滲出液

治療と抗生物質の注意点

表在性膿皮症は3〜4週間の抗生物質(クロキサシリン・セファレキシン・アモキシシリンクラブラン酸など)投与で改善します。深在性や再発性の場合は細菌培養・薬剤感受性試験を行い、適切な抗生物質を選択します。

抗生物質使用の注意点:症状が改善しても規定の投与期間を完了してください。途中で止めると耐性菌を生み出すリスクがあります。メチシリン耐性スタフィロコッカス(MRSP)などの耐性菌感染は治療が困難になります。詳しくは膿皮症の詳細記事をご参照ください。

犬のマラセチア皮膚炎|べたつき・臭いの治療と再発予防

マラセチア皮膚炎は、常在酵母菌マラセチア・パキダーマティスの過増殖による皮膚炎です。正常な皮膚にも存在しますが、皮脂の増加・皮膚バリア機能の低下(アトピーなど)・湿潤環境(体の折りたたみ部位・耳道)で異常増殖します。

症状

  • 皮膚・耳のべたつき(脂漏性)
  • 特徴的な「古いチーズ」のような酸っぱい・むっとした臭い
  • 発赤・皮膚の肥厚・色素沈着
  • 好発部位:耳道・指間・腋窩・鼠径部・口周囲・首の腹側
  • 強いかゆみ

治療と再発予防

治療は抗真菌薬(ケトコナゾール・イトラコナゾール・フルコナゾール等の内服)とシャンプー療法(2%クロルヘキシジン+ミコナゾールシャンプーなど)の組み合わせが基本です。耳のマラセチアには抗真菌成分を含む点耳薬を使用します。

再発予防には根本原因(アトピー・甲状腺機能低下症など)の管理が不可欠です。定期的な薬用シャンプー・皮膚の乾燥維持(特に折りたたみ部位の清潔と乾燥)も重要です。

犬の皮膚糸状菌症(リングワーム)|人にうつるリスク

皮膚糸状菌症(いわゆるリングワーム)は、皮膚糸状菌(真菌)による皮膚感染症です。犬では主にマイクロスポルム・カニス(M. canis)が原因菌です。円形の脱毛班・鱗屑を特徴とし、ヒトや他のペットへの感染(人獣共通感染症/ズーノーシス)に注意が必要です。

症状

  • 円形〜不整形の境界明瞭な脱毛班
  • 患部の鱗屑・フケ
  • 毛が脆く折れる
  • かゆみは軽度または無症状のこともある
  • ウッド灯(紫外線灯)照射でM. canis感染部位が蛍光色(黄緑色)に光る

人への感染リスクと対策

皮膚糸状菌は人にもうつります(体部白癬/たむし)。感染した犬と接触した後は手をよく洗い、接触した衣類はすぐに洗濯してください。犬のベッド・おもちゃ・ブラシも消毒が必要です。詳しくは皮膚糸状菌の詳細記事をご参照ください。

治療

抗真菌薬(イトラコナゾール・テルビナフィン・フルコナゾール等)の内服が標準治療です。局所療法(2%ミコナゾールクリーム・抗真菌シャンプー)も補助的に使用します。治療は臨床的治癒後も真菌培養が陰性になるまで継続する必要があり、通常4〜8週間以上かかります。

関連記事一覧

犬の皮膚病についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 犬のかゆみ止めに市販薬は使えますか?

犬にヒト用の市販かゆみ止めは原則使用しないでください。成分によっては犬に有害なものがあります。かゆみが強い場合は獣医師に相談し、動物用の薬を処方してもらいましょう。

Q2. 犬の皮膚病はシャンプーで治りますか?

薬用シャンプーは補助的に有効ですが、感染症やアレルギーの根本治療にはなりません。膿皮症やマラセチア皮膚炎では薬用シャンプーと抗菌薬・抗真菌薬の併用が推奨されます。シャンプーは少なくとも10分間の泡パックが効果的です。

Q3. 犬のアトピーは完治しますか?

アトピー性皮膚炎は原則として完治せず、生涯にわたる管理が必要です。ただしアレルゲン免疫療法(脱感作療法)で症状を大幅に軽減できるケースや、成長とともに症状が改善するケースもあります。適切な治療で症状をコントロールしながら快適な生活を維持することが目標です。

Q4. 犬の外耳炎は何度も繰り返すのはなぜですか?

外耳炎が繰り返す最大の原因はアレルギー疾患(アトピー・食物アレルギー)の管理不足です。耳だけを治療しても根本原因が残っていると再発します。アレルギー検査・除去食試験でアレルゲンを特定し、根本的な治療を行うことが重要です。

Q5. 犬の皮膚糸状菌は人にうつりますか?

はい、皮膚糸状菌は人にうつります(人獣共通感染症)。感染犬との接触後は手洗いを徹底し、接触した衣類の洗濯・犬用品の消毒を行ってください。免疫が低下している人(高齢者・乳幼児・免疫抑制中の方)は特に注意が必要です。

アトピーの主症状は激しいかゆみ(掻痒)です。好発部位は顔(眼周囲・口周囲)・耳介・腹部・腋窩・鼠径部・足先(指間)です。慢性化すると以下の変化が生じます。

外耳炎は犬に最も多い耳の疾患で、外耳道(耳の入り口から鼓膜までの部分)に炎症が生じます。アレルギー(アトピー・食物アレルギー)が原因の7〜8割を占めるとも言われており、単なる耳の問題ではなくアレルギー疾患の一症状であることが多いです。

症状

  • 耳を掻く・頭を振る
  • 耳からの悪臭
  • 黒色・茶色・黄色の耳垢増加
  • 耳介の発赤・腫脹・熱感
  • 耳を触ると痛がる
  • 頭を傾ける(中耳炎へ進展した場合)

原因と繰り返す理由

外耳炎の素因(predisposing factors)には耳の構造(垂れ耳・狭い耳道・毛の多い耳道)・アレルギー・甲状腺機能低下症などがあります。起炎菌はスタフィロコッカス(細菌)やマラセチア(真菌)が多く、慢性化すると緑膿菌など難治菌が関与することもあります。

繰り返す外耳炎の根本原因(アレルギー疾患・内分泌疾患)を治療しないまま耳だけを治療しても再発します。詳しくは外耳炎の詳細記事をご参照ください。

治療

治療は耳道の洗浄(耳洗浄液による除去)+点耳薬(抗菌薬・抗真菌薬・コルチコステロイド配合)が基本です。重症例・慢性例では全身性抗菌薬の投与が必要なこともあります。外科的処置(耳道切除術)が必要になるケースもあります。

犬の膿皮症(細菌性皮膚炎)|膿疱・フケ・抗生物質の注意点

膿皮症は犬の皮膚への細菌(主にスタフィロコッカス・シュードインターメディウス)の感染による皮膚炎です。健康な皮膚には常在菌として存在しますが、皮膚バリア機能の低下・アレルギー・免疫低下などにより増殖して炎症を引き起こします。表在性膿皮症(表皮・毛包)と深在性膿皮症(真皮・皮下)に分類されます。

症状

  • 毛包性丘疹・膿疱(ニキビ様の小さな膿の粒)
  • フケ・鱗屑の増加
  • かゆみ(程度は様々)
  • 「スタフィロコッカス性毛包炎」特有の「ターゲット病変(標的様皮疹)」
  • 深在性の場合:皮膚の硬結・瘻孔(穴)・滲出液

治療と抗生物質の注意点

表在性膿皮症は3〜4週間の抗生物質(クロキサシリン・セファレキシン・アモキシシリンクラブラン酸など)投与で改善します。深在性や再発性の場合は細菌培養・薬剤感受性試験を行い、適切な抗生物質を選択します。

抗生物質使用の注意点:症状が改善しても規定の投与期間を完了してください。途中で止めると耐性菌を生み出すリスクがあります。メチシリン耐性スタフィロコッカス(MRSP)などの耐性菌感染は治療が困難になります。詳しくは膿皮症の詳細記事をご参照ください。

犬のマラセチア皮膚炎|べたつき・臭いの治療と再発予防

マラセチア皮膚炎は、常在酵母菌マラセチア・パキダーマティスの過増殖による皮膚炎です。正常な皮膚にも存在しますが、皮脂の増加・皮膚バリア機能の低下(アトピーなど)・湿潤環境(体の折りたたみ部位・耳道)で異常増殖します。

症状

  • 皮膚・耳のべたつき(脂漏性)
  • 特徴的な「古いチーズ」のような酸っぱい・むっとした臭い
  • 発赤・皮膚の肥厚・色素沈着
  • 好発部位:耳道・指間・腋窩・鼠径部・口周囲・首の腹側
  • 強いかゆみ

治療と再発予防

治療は抗真菌薬(ケトコナゾール・イトラコナゾール・フルコナゾール等の内服)とシャンプー療法(2%クロルヘキシジン+ミコナゾールシャンプーなど)の組み合わせが基本です。耳のマラセチアには抗真菌成分を含む点耳薬を使用します。

再発予防には根本原因(アトピー・甲状腺機能低下症など)の管理が不可欠です。定期的な薬用シャンプー・皮膚の乾燥維持(特に折りたたみ部位の清潔と乾燥)も重要です。

犬の皮膚糸状菌症(リングワーム)|人にうつるリスク

皮膚糸状菌症(いわゆるリングワーム)は、皮膚糸状菌(真菌)による皮膚感染症です。犬では主にマイクロスポルム・カニス(M. canis)が原因菌です。円形の脱毛班・鱗屑を特徴とし、ヒトや他のペットへの感染(人獣共通感染症/ズーノーシス)に注意が必要です。

症状

  • 円形〜不整形の境界明瞭な脱毛班
  • 患部の鱗屑・フケ
  • 毛が脆く折れる
  • かゆみは軽度または無症状のこともある
  • ウッド灯(紫外線灯)照射でM. canis感染部位が蛍光色(黄緑色)に光る

人への感染リスクと対策

皮膚糸状菌は人にもうつります(体部白癬/たむし)。感染した犬と接触した後は手をよく洗い、接触した衣類はすぐに洗濯してください。犬のベッド・おもちゃ・ブラシも消毒が必要です。詳しくは皮膚糸状菌の詳細記事をご参照ください。

治療

抗真菌薬(イトラコナゾール・テルビナフィン・フルコナゾール等)の内服が標準治療です。局所療法(2%ミコナゾールクリーム・抗真菌シャンプー)も補助的に使用します。治療は臨床的治癒後も真菌培養が陰性になるまで継続する必要があり、通常4〜8週間以上かかります。

関連記事一覧

犬の皮膚病についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 犬のかゆみ止めに市販薬は使えますか?

犬にヒト用の市販かゆみ止めは原則使用しないでください。成分によっては犬に有害なものがあります。かゆみが強い場合は獣医師に相談し、動物用の薬を処方してもらいましょう。

Q2. 犬の皮膚病はシャンプーで治りますか?

薬用シャンプーは補助的に有効ですが、感染症やアレルギーの根本治療にはなりません。膿皮症やマラセチア皮膚炎では薬用シャンプーと抗菌薬・抗真菌薬の併用が推奨されます。シャンプーは少なくとも10分間の泡パックが効果的です。

Q3. 犬のアトピーは完治しますか?

アトピー性皮膚炎は原則として完治せず、生涯にわたる管理が必要です。ただしアレルゲン免疫療法(脱感作療法)で症状を大幅に軽減できるケースや、成長とともに症状が改善するケースもあります。適切な治療で症状をコントロールしながら快適な生活を維持することが目標です。

Q4. 犬の外耳炎は何度も繰り返すのはなぜですか?

外耳炎が繰り返す最大の原因はアレルギー疾患(アトピー・食物アレルギー)の管理不足です。耳だけを治療しても根本原因が残っていると再発します。アレルギー検査・除去食試験でアレルゲンを特定し、根本的な治療を行うことが重要です。

Q5. 犬の皮膚糸状菌は人にうつりますか?

はい、皮膚糸状菌は人にうつります(人獣共通感染症)。感染犬との接触後は手洗いを徹底し、接触した衣類の洗濯・犬用品の消毒を行ってください。免疫が低下している人(高齢者・乳幼児・免疫抑制中の方)は特に注意が必要です。

犬のアトピー性皮膚炎(CAD: Canine Atopic Dermatitis)は、環境中のアレルゲン(ハウスダスト・花粉・カビなど)に対する過剰な免疫応答によって引き起こされる慢性アレルギー性皮膚疾患です。ゴールデンレトリバー・ラブラドールレトリバー・シーズー・柴犬・フレンチブルドッグなどで好発します。

アトピーの主症状は激しいかゆみ(掻痒)です。好発部位は顔(眼周囲・口周囲)・耳介・腹部・腋窩・鼠径部・足先(指間)です。慢性化すると以下の変化が生じます。

  • 発赤・皮疹(丘疹・膿疱)
  • 皮膚の苔癬化(ゾウの皮膚のような肥厚)
  • 色素沈着(皮膚が黒ずむ)
  • 脱毛・毛並みの悪化
  • 二次感染(膿皮症・マラセチア)の繰り返し

治療

アトピーの治療は多面的アプローチが必要です。

  • アポキル(オクラシチニブ):JAK阻害薬。かゆみを速効で抑制。長期使用可能。
  • サイトポイント(ロキベトマブ):モノクローナル抗体。月1回注射でかゆみを抑制。
  • コルチコステロイド:急性期の強力な抗炎症効果。長期使用は副作用に注意。
  • シクロスポリン:免疫調整薬。効果発現に4〜6週かかる。
  • アレルゲン免疫療法(脱感作療法):原因アレルゲン特定後に少量ずつ投与して感受性を下げる。根本治療に近い。
  • シャンプー療法:週2〜3回の薬用シャンプーでアレルゲン除去・皮膚バリア改善。
  • スキンケア(保湿):セラミド含有保湿剤で皮膚バリア機能を補強。

犬の外耳炎|臭い・耳垢・繰り返す原因と治療

外耳炎は犬に最も多い耳の疾患で、外耳道(耳の入り口から鼓膜までの部分)に炎症が生じます。アレルギー(アトピー・食物アレルギー)が原因の7〜8割を占めるとも言われており、単なる耳の問題ではなくアレルギー疾患の一症状であることが多いです。

症状

  • 耳を掻く・頭を振る
  • 耳からの悪臭
  • 黒色・茶色・黄色の耳垢増加
  • 耳介の発赤・腫脹・熱感
  • 耳を触ると痛がる
  • 頭を傾ける(中耳炎へ進展した場合)

原因と繰り返す理由

外耳炎の素因(predisposing factors)には耳の構造(垂れ耳・狭い耳道・毛の多い耳道)・アレルギー・甲状腺機能低下症などがあります。起炎菌はスタフィロコッカス(細菌)やマラセチア(真菌)が多く、慢性化すると緑膿菌など難治菌が関与することもあります。

繰り返す外耳炎の根本原因(アレルギー疾患・内分泌疾患)を治療しないまま耳だけを治療しても再発します。詳しくは外耳炎の詳細記事をご参照ください。

治療

治療は耳道の洗浄(耳洗浄液による除去)+点耳薬(抗菌薬・抗真菌薬・コルチコステロイド配合)が基本です。重症例・慢性例では全身性抗菌薬の投与が必要なこともあります。外科的処置(耳道切除術)が必要になるケースもあります。

犬の膿皮症(細菌性皮膚炎)|膿疱・フケ・抗生物質の注意点

膿皮症は犬の皮膚への細菌(主にスタフィロコッカス・シュードインターメディウス)の感染による皮膚炎です。健康な皮膚には常在菌として存在しますが、皮膚バリア機能の低下・アレルギー・免疫低下などにより増殖して炎症を引き起こします。表在性膿皮症(表皮・毛包)と深在性膿皮症(真皮・皮下)に分類されます。

症状

  • 毛包性丘疹・膿疱(ニキビ様の小さな膿の粒)
  • フケ・鱗屑の増加
  • かゆみ(程度は様々)
  • 「スタフィロコッカス性毛包炎」特有の「ターゲット病変(標的様皮疹)」
  • 深在性の場合:皮膚の硬結・瘻孔(穴)・滲出液

治療と抗生物質の注意点

表在性膿皮症は3〜4週間の抗生物質(クロキサシリン・セファレキシン・アモキシシリンクラブラン酸など)投与で改善します。深在性や再発性の場合は細菌培養・薬剤感受性試験を行い、適切な抗生物質を選択します。

抗生物質使用の注意点:症状が改善しても規定の投与期間を完了してください。途中で止めると耐性菌を生み出すリスクがあります。メチシリン耐性スタフィロコッカス(MRSP)などの耐性菌感染は治療が困難になります。詳しくは膿皮症の詳細記事をご参照ください。

犬のマラセチア皮膚炎|べたつき・臭いの治療と再発予防

マラセチア皮膚炎は、常在酵母菌マラセチア・パキダーマティスの過増殖による皮膚炎です。正常な皮膚にも存在しますが、皮脂の増加・皮膚バリア機能の低下(アトピーなど)・湿潤環境(体の折りたたみ部位・耳道)で異常増殖します。

症状

  • 皮膚・耳のべたつき(脂漏性)
  • 特徴的な「古いチーズ」のような酸っぱい・むっとした臭い
  • 発赤・皮膚の肥厚・色素沈着
  • 好発部位:耳道・指間・腋窩・鼠径部・口周囲・首の腹側
  • 強いかゆみ

治療と再発予防

治療は抗真菌薬(ケトコナゾール・イトラコナゾール・フルコナゾール等の内服)とシャンプー療法(2%クロルヘキシジン+ミコナゾールシャンプーなど)の組み合わせが基本です。耳のマラセチアには抗真菌成分を含む点耳薬を使用します。

再発予防には根本原因(アトピー・甲状腺機能低下症など)の管理が不可欠です。定期的な薬用シャンプー・皮膚の乾燥維持(特に折りたたみ部位の清潔と乾燥)も重要です。

犬の皮膚糸状菌症(リングワーム)|人にうつるリスク

皮膚糸状菌症(いわゆるリングワーム)は、皮膚糸状菌(真菌)による皮膚感染症です。犬では主にマイクロスポルム・カニス(M. canis)が原因菌です。円形の脱毛班・鱗屑を特徴とし、ヒトや他のペットへの感染(人獣共通感染症/ズーノーシス)に注意が必要です。

症状

  • 円形〜不整形の境界明瞭な脱毛班
  • 患部の鱗屑・フケ
  • 毛が脆く折れる
  • かゆみは軽度または無症状のこともある
  • ウッド灯(紫外線灯)照射でM. canis感染部位が蛍光色(黄緑色)に光る

人への感染リスクと対策

皮膚糸状菌は人にもうつります(体部白癬/たむし)。感染した犬と接触した後は手をよく洗い、接触した衣類はすぐに洗濯してください。犬のベッド・おもちゃ・ブラシも消毒が必要です。詳しくは皮膚糸状菌の詳細記事をご参照ください。

治療

抗真菌薬(イトラコナゾール・テルビナフィン・フルコナゾール等)の内服が標準治療です。局所療法(2%ミコナゾールクリーム・抗真菌シャンプー)も補助的に使用します。治療は臨床的治癒後も真菌培養が陰性になるまで継続する必要があり、通常4〜8週間以上かかります。

関連記事一覧

犬の皮膚病についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 犬のかゆみ止めに市販薬は使えますか?

犬にヒト用の市販かゆみ止めは原則使用しないでください。成分によっては犬に有害なものがあります。かゆみが強い場合は獣医師に相談し、動物用の薬を処方してもらいましょう。

Q2. 犬の皮膚病はシャンプーで治りますか?

薬用シャンプーは補助的に有効ですが、感染症やアレルギーの根本治療にはなりません。膿皮症やマラセチア皮膚炎では薬用シャンプーと抗菌薬・抗真菌薬の併用が推奨されます。シャンプーは少なくとも10分間の泡パックが効果的です。

Q3. 犬のアトピーは完治しますか?

アトピー性皮膚炎は原則として完治せず、生涯にわたる管理が必要です。ただしアレルゲン免疫療法(脱感作療法)で症状を大幅に軽減できるケースや、成長とともに症状が改善するケースもあります。適切な治療で症状をコントロールしながら快適な生活を維持することが目標です。

Q4. 犬の外耳炎は何度も繰り返すのはなぜですか?

外耳炎が繰り返す最大の原因はアレルギー疾患(アトピー・食物アレルギー)の管理不足です。耳だけを治療しても根本原因が残っていると再発します。アレルギー検査・除去食試験でアレルゲンを特定し、根本的な治療を行うことが重要です。

Q5. 犬の皮膚糸状菌は人にうつりますか?

はい、皮膚糸状菌は人にうつります(人獣共通感染症)。感染犬との接触後は手洗いを徹底し、接触した衣類の洗濯・犬用品の消毒を行ってください。免疫が低下している人(高齢者・乳幼児・免疫抑制中の方)は特に注意が必要です。

  • この記事を書いた人
院長

院長

国公立獣医大学卒業→→都内1.5次診療へ勤務→動物病院の院長。臨床10年目の獣医師。 犬と猫の予防医療〜高度医療まで日々様々な診察を行っている。

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