![【獣医師監修|猫の甲状腺機能亢進症】鳴き声や顔つきが変わったら要注意!治療・余命について解説](http://dog-dishblog.com/wp-content/uploads/2022/08/23517184_s.jpg)
シニアになって急に痩せた、食欲や元気はあるのに....
といったことはありませんか?もしかすると愛猫は甲状腺機能亢進症に罹患しているかもしれません、甲状腺機能亢進症はシニア猫で多く発生するホルモン病のことです。
腎臓病と同様にシニア猫においては切っても切り離せない病気で、放っておくとどんどん痩せていき、栄養不良となってしまうことがあります。
今回はシニア猫で多く発生する甲状腺機能亢進症の症状や食事療法・治療について獣医師が解説します!
甲状腺機能亢進症とは
![甲状腺機能亢進症とは](http://dog-dishblog.com/wp-content/uploads/2022/08/23366750_s-300x225.jpg)
甲状腺機能亢進症とは喉に存在する甲状腺が過形成や腫瘍化することで過剰に甲状腺ホルモンが分泌される内分泌疾患のことです。
甲状腺ホルモンはサイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)といった種類のホルモンがあり、身体の新陳代謝を調節しています。
甲状腺ホルモンは、脈拍数・体温・自律神経の働きを調節し、エネルギーの消費を一定に保っています。
そのような機能を持つ甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、様々な臨床症状が現れます。具体的には新陳代謝が過剰になってしまうため、食べても食べても痩せてしまいます。
高齢になったから痩せてもしょうがないというわけではなく、病気の可能性がありますので注意しましょう!
甲状腺機能亢進症の症状
![甲状腺機能亢進症の症状](http://dog-dishblog.com/wp-content/uploads/2022/08/23499730_s-300x225.jpg)
甲状腺機能亢進症の症状は以下の通りです。
- シニア猫なのに食欲がすごい(ちゅーるを何本も食べてしまう)
- 体重が減ってしまう
- 嘔吐(食べ過ぎることにより)
- 下痢
- 水をたくさん飲む
- おしっこの量が多い
- 夜泣きが増えたり、落ち着きがなくなったり、攻撃的な性格になるなど性格が変化した
- 呼吸が荒い
- 心臓の拍動が早くなる
- 過剰なほど毛繕いを行ってしまい、脱毛する
上記の症状で最も多く認められるものは、体重減少です。
たくさん食べているのにも関わらず、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまっていることが原因となり、体重が減少してしまいます。
食欲があるから大丈夫?
たくさん食べているから大丈夫だと安心してしまいがちですが、痩せている場合には甲状腺機能亢進症が強く疑われますので注意しましょう!
顔つきや鳴き声が変わったら注意
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甲状腺機能亢進症になると、普段の日常生活にも大きな変化が起こります。
よくあるのは夜に眠らずに大きな声で鳴いたり、鳴きすぎて声がガラガラになります。また、狩りをするように何かを狙っている顔つきをすることもあります。
原因としてはやはり甲状腺ホルモン(T4)が過剰に分泌されることで、猫は多動になり、眠れず、大声で鳴いたりするのです。
これらの症状は猫の体力を削っていきますので、早めに甲状腺のお薬を開始しなければなりません。
甲状腺亢進症は自然治癒する?
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甲状腺機能亢進症が自然治癒することは、まずありません。また、治療を行っても完治することはありません。薬をずっと飲み続けて甲状腺の働きを抑える必要があります。
治療せず放置するとどうなる?
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甲状腺機能亢進症を放置すると、みるみる痩せていくばかりでなく、心臓や腎臓といった循環器系や肝臓などその他の臓器に負担がかかり寿命が短くなります。
治療しないと1番負担がかかったしまうのは心臓です。
甲状腺ホルモンによって心臓の筋肉が肥厚するため心筋症を発症する可能性があります、そのまま心筋症が進行すると高血圧や心不全を引き起こしてしまうのです。
猫の甲状腺機能亢進症の余命
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重要なことは、甲状腺機能亢進症が死の宣告ではないということです!
適切な治療を受けると、多くの甲状腺機能亢進症を持つ猫は非常に良好な状態を維持でき、さらに5年以上生きることができます。
甲状腺機能亢進症の診断
![甲状腺機能亢進症の診断](http://dog-dishblog.com/wp-content/uploads/2022/08/24129360_s-300x225.jpg)
診断を行うためには、上記のような臨床症状の有無・甲状腺の腫大・血液検査で甲状腺ホルモン(T4)の数値上昇といったことを確認します。
甲状腺機能亢進症になると、甲状腺が大きくなることがあり、そのような場合には喉を触ると甲状腺を触知することが可能です。
甲状腺機能亢進症の治療(食事について)
![甲状腺機能亢進症の治療(食事について)](http://dog-dishblog.com/wp-content/uploads/2022/08/100000001003808504_10204_002-300x300.jpg)
甲状腺機能亢進症の治療では抗甲状腺薬や食事療法を行います。
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抗甲状腺薬はメチマゾール(チロブロック)と呼ばれる薬を使用します。メチマゾールは甲状腺ホルモンの合成を止める作用があり、分泌される甲状腺ホルモンの量を低下させます。
また、ヨウ素を制限した食事を与えることで甲状腺機能亢進症を管理することが可能です。
猫のヨウ素制限食はヒルズの猫用 y/d ドライしか日本では販売されていません。
猫用 y/d ドライは、ヨウ素を制限し、3週間の単独給与で甲状腺機能亢進症の管理に役立つことが科学的に証明された唯一の療法食です。
特徴としては、
- ヨウ素の含有量を厳しく制限
- リンの調整、低ナトリウム、オメガ-3脂肪酸により腎臓、心臓、尿路の健康をサポート
- 高レベルのL-カルニチンにより除脂肪筋肉量の維持と健康をサポート
- オメガ-6脂肪酸によって、皮膚・被毛の健康に役立つ
といった特徴もあります、ただし味が少し美味しくないため愛猫が食べてくれる確率は低いかもしれません。。。
投薬にはちゅーるを使うとgood!
甲状腺機能亢進症の猫にメチマゾールを投薬する際に、その苦味に悩まされるケースが多いです。
メチマゾールは非常に苦く、猫にそのまま口に投与すると、その強烈な味に驚いて泡を吹くことがしばしば見られます。
このようなリスクを避けるため、ちゅーるを利用する方法が良いでしょう。
ちゅーるをメチマゾールにコーティングにすることで、苦い味を誤魔化し、スムーズに薬を投与することができます。
まとめると、メチマゾールの苦味をちゅーるで誤魔化すことで、ストレスフリーな投薬ができるようになるでしょう。
甲状腺機能亢進症の猫に与えてはいけないもの
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ヨウ素が豊富な食品
ヨウ素は甲状腺からの甲状腺ホルモンの分泌を促進し、大量に摂取すると症状が悪化します。
• 魚(特に貝類)
• 卵の黄身
• 乳製品
• 海藻や昆布
大豆製品
甲状腺ホルモンの生産を調節するヨウ素治療を受けている場合、大豆を避ける必要があります。
• 醤油
• 豆乳
• 豆腐
• 大豆油
• 枝豆
まとめ
![](http://dog-dishblog.com/wp-content/uploads/2023/08/23221052_s-edited.jpg)
高齢猫で甲状腺機能亢進症に罹患している猫は非常に多いのですが、食欲が旺盛なので病気ではないと勘違いしてしまう飼い主様が多くいらっしゃいます。
食欲が旺盛であるにも関わらず、どんどん痩せてしまったり、嘔吐が増えているといった症状があれば、早めに動物病院へ行くことをオススメします!
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