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【獣医師監修】犬の膵炎の急性発作後の食事再開方法|回復期ステップガイド

犬の膵炎急性発作後の食事管理が重要な理由

犬の急性膵炎は、適切な絶食と段階的な食事再開が予後を大きく左右します。発作直後に食事を急いで再開すると膵酵素が再び活性化し、回復が大幅に遅れるだけでなく慢性膵炎に移行するリスクもあります。適切な食事再開のタイミングと方法を守ることが、愛犬の早期回復と再発防止につながります。

本記事では膵炎急性発作後の食事再開について、第1週から第4週までの詳細な流れ・フードの選び方・食欲不振時の対処法・再発サインの見極め方まで、段階を追って詳しく解説します。

ステップ1:絶食期間(発症から24〜48時間)

急性膵炎が確認されたらまず膵臓を完全に休ませるために絶食が基本です。ただし近年の研究では長期絶食より早期の少量栄養補給が回復を早めるという報告もあり、担当獣医師の指示に従うことが最重要です。絶食中でも水分補給は欠かせません。自発的に水を飲めない場合は病院での点滴が必要です。

絶食中に注意すべき症状

絶食中も以下の症状が出た場合はすぐに動物病院に連絡してください。

  • 嘔吐・下痢が止まらない
  • 極度の脱力・ぐったりした状態が続く
  • 体温が低下している(38度未満)
  • 腹部を触ると極度に痛がる
  • 黄疸(白目が黄色くなる)

これらは重症化のサインであり、入院管理が必要になることがあります。

ステップ2:流動食期(発症後第1週:2〜4日目)

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嘔吐が24〜48時間止まり全身状態が改善してきたら少量の流動食から再開します。この段階では膵臓に負担をかけないことが最優先です。

処方食の流動タイプ:消化器サポート系の処方食を水でのばしたもの。

鶏ささみの茹で汁:脂肪分が極めて少なく消化吸収が容易。1日3〜4回、ティースプーン1〜2杯から始めます。

1回の量は体重5kg前後の犬で大さじ1〜2杯程度から。嘔吐や腹痛のサインが出たらすぐに中止し担当獣医師に連絡してください。

第1週の観察チェックリスト

  • 1回量をごく少量(ティースプーン1〜2杯)から始めているか
  • 1日3〜4回に分散して与えているか
  • 与えた後30〜60分は嘔吐がないか確認しているか
  • 水分摂取が維持されているか
  • 排便・排尿の状態を記録しているか

ステップ3:低脂肪ソフト食期(発症後第2週:4〜14日目)

流動食を3〜5日間問題なく摂取できたら柔らかい低脂肪固形食に移行します。鶏ささみ(細かく刻んだもの)+白米+かぼちゃの蒸したものの組み合わせが基本。脂肪分5%以下を維持します。

手作りソフト食の配合例(体重5kgの場合)

  • 鶏ささみ(皮なし・茹で):30〜40g
  • 白米(やわらかく炊いたもの):60〜80g
  • かぼちゃ(皮・種除去・蒸し):20〜30g
  • 水または茹で汁:適量(柔らかくする程度)

1日の給与量は通常の維持カロリーの70〜80%程度から開始し、状態を見ながら徐々に増やしていきます。

第2週に確認すること

第2週では体重・便の状態・活動性を毎日記録することをおすすめします。体重が急激に落ちていたり、下痢が続く場合は一段階前に戻して獣医師に相談してください。

ステップ4:回復食期(発症後第3〜4週)

症状が安定してきたら1〜2週間かけて通常の低脂肪ドライフードに移行します。急激な切り替えは避け3〜5日間かけて新しいフードの割合を徐々に増やしていきます。

低脂肪ドライフードへの移行スケジュール

日程 手作り食の割合 低脂肪ドライフードの割合
第3週1〜2日目 80% 20%
第3週3〜4日目 60% 40%
第3週5〜7日目 40% 60%
第4週1〜3日目 20% 80%
第4週4日目以降 0% 100%

消化器への刺激を最小限にするため、移行は焦らずゆっくり行いましょう。

低脂肪フードの選び方

ドライフードの選択基準

膵炎回復後に使用するドライフードは以下の基準で選びましょう。

  • 脂肪分15%以下(乾物換算):これが最も重要な基準です。処方食ではHill's i/d Low Fat・Royal Canin低脂肪GIシリーズなどが代表的です
  • 消化性が高い:消化率90%以上と表示されているものが理想
  • 高品質のタンパク源:鶏肉・白身魚・卵などが主原料のもの
  • 添加物が少ない:着色料・香料・保存料が少ないものを選ぶ

処方食と一般食の使い分け

膵炎の急性期回復中は獣医師処方の消化器サポート処方食を使うことが推奨されます。安定期に入ったら市販の低脂肪フードでも対応可能ですが、切り替えは必ず獣医師に相談してから行いましょう。

食欲不振時の対処法

膵炎回復中の犬は食欲が戻りにくいことがあります。食欲不振の原因と対処法を段階的に確認しましょう。

まず確認すること

  • 発熱・嘔吐・下痢など他の症状を伴っていないか
  • 水は飲めているか
  • 腹部を触って嫌がらないか

他の症状がある場合はすぐに獣医師に相談してください。

食欲を促す工夫

フードをわずかに温める:人肌程度(37〜38度)に温めることで香りが立ち食欲を刺激します。電子レンジで温めてから必ず触って確認しましょう。

少量をこまめに:1回に多く出すより、少量を1日5〜6回に分けて与えると食べやすくなる犬もいます。

形状を変える:ドライフードに少量の水をかけてふやかすか、低脂肪の茹で汁を少量混ぜるとよく食べる犬がいます。

食器の高さを調整する:首を下げるのが辛い犬には台に乗せた食器を使うと楽に食べられます。

48時間以上食べない場合は要受診

水は飲めているが48時間以上食べない、または少しでも食べると嘔吐する状態が続く場合は回復が不十分な可能性があります。食欲刺激剤(ミルタザピンなど)の処方を獣医師に相談してください。

再発サインの見極め方

膵炎の再発は早期発見が重要です。以下のサインに気づいたら24時間以内に獣医師に相談しましょう。

要注意の早期サイン

  • 突然の食欲低下(前日まで食べていたのに今日急に食べない)
  • 軽い嘔吐が2〜3回続く
  • 腹部が張っているように見える
  • 背中を丸めて歩いている・頻繁に伸びをする
  • 以前よりぐったりしていて遊びたがらない

緊急受診が必要なサイン

  • 激しい嘔吐が止まらない
  • 前足を伸ばして腰を高く上げる「祈りのポーズ」をとる
  • 腹部を触ると強く痛がる・唸る
  • ぐったりして立てない
  • 黄疸(歯茎・白目が黄色い)

回復後も続けるべき食事管理のポイント

低脂肪食の維持:脂肪分15%以下(乾物換算)のフードを継続することが再発予防の基本です。回復後に高脂肪フードに戻すことが最も危険な行為です。

少量多回数給餌:1日の給与量を3〜4回に分けて与えることで膵臓への一度の負担を軽減できます。1回に多量を食べさせると食後に膵液の分泌が急増し、膵臓への負担になります。

体重管理:肥満は膵炎の最大のリスク因子の一つです。理想体重を維持することが長期的な予防につながります。獣医師に体格スコア(BCS)を定期的に評価してもらいましょう。

定期的な血液検査:3〜6ヶ月に1回の血液検査(cPLI・肝酵素・脂質)により、無症候性の慢性膵炎の進行を早期に発見できます。

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まとめ

犬の急性膵炎後の食事再開は絶食→流動食(第1週)→ソフト食(第2週)→回復食(第3〜4週)の4段階を焦らず丁寧に進めることが大切です。各段階での様子を慎重に観察し、少しでも異変があれば一段階戻るか獣医師に相談しましょう。回復後も低脂肪食と少量多回数給餌を維持し、定期的な血液検査を続けることが再発予防の基本です。

参考文献・監修ガイドライン

  • American College of Veterinary Internal Medicine(ACVIM)膵炎コンセンサスガイドライン
  • Ettinger & Feldman: Textbook of Veterinary Internal Medicine, 8th ed.
  • Nelson & Couto: Small Animal Internal Medicine, 6th ed.

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DrVets

国公立大学獣医学科卒業。臨床経験10年以上。犬・猫の慢性疾患(腎臓病・膵炎・消化器疾患・内分泌疾患)と食事管理を専門とする現役獣医師が、科学的根拠に基づいた情報を監修しています。当サイトの全記事は、国際獣医腎臓病研究グループ(IRIS)・世界小動物獣医師会(WSAVA)等のガイドラインに準拠して監修しています。

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