愛犬が何度も便をする、血便・粘液便・ゼリー状の便などのいつもと違った便をする...といったことはありませんか?
上記のような症状があった場合、大腸炎を引き起こしている可能性が高いです!
大腸炎は通常数日以内に治ることが多い疾患ですが、長期にわたり症状が出ていたり、元気・食欲がなくなっている場合には治療を行う必要があります。
大腸炎で出る粘膜便・ゼリー状便や血便はストレスが原因って本当?
大腸炎は、炎症や消化器官の異常によって引き起こされる病気であり、原因は様々ですが
ストレスが大腸炎の発症や悪化に関与する可能性があることがわかってきました。
犬は繊細な生き物であり、環境の変化や社会的なストレス要因に敏感です。
例えば、
・飼い主の留守中の孤独感
・新しい環境への適応
・他の犬との関係のトラブル
などがストレスとなり、大腸炎の発症を引き起こす可能性がありますが、
ストレスが軽減されば、大腸炎も自然治癒します。
大腸炎が治らず、2週間以上下痢や血便が出ているんだけど、治し方ってあるの?
それはあまり良くない状態で、ストレス以外が原因と考えられます。
通常ストレスであれば数日で徐々に症状が緩和されてきますが
アレルギーなどが大腸炎の原因であった場合は、2週間以上慢性的に症状が出続けてしまい、大腸炎が治ることはありません。
アレルギーの場合は、フードを変更しない限り、大腸炎は治りません。
大腸炎が他の犬やヒトにうつることはあるの?
大腸炎がうつることはほとんどありません。
が、食中毒を引き起こすようなカンピロバクターなどの菌が原因であった場合は
便を触れた手でパンなどを食べてしまうと犬だけでなくヒトにも感染してしまうことがあります。
先に本記事のまとめを簡潔に記しておきます。
- 大腸炎は、大腸(結腸)が炎症を起こす疾患です。
- 大腸炎は、しばしば血便・ゼリー状の便・粘液を含む下痢を引き起こします。
- ほとんどの犬は数日以内に大腸炎から回復し、それ以上の問題はありませんが、生涯にわたって出入りする大腸炎の形態の継続的な治療が必要な犬もいます。
- ひどい大腸炎があると疑われる場合は、動物病院へ行きましょう。その際に便または便の写真を持っていくと診断の手助けになります。
- 大腸炎の治療としては12時間の絶食、アレルギー食の給餌、プロバイオティクス(整腸剤)の投与、フラクトオリゴ糖(FOS)などの食物繊維をフードに加えます。
大腸炎とは?
大腸炎は、犬の結腸・直腸での炎症を指します。
そもそも大腸の役割とは、食物の消化や水分の吸収を行うことですので、大腸炎によって大腸が正常に機能していないと、水分が適切に吸収されず、軟便や下痢を引き起こします。
大腸炎(粘液便・ゼリー状便・血便)の原因
大腸炎(粘液便)は以下のような原因によって引き起こされる可能性があります。
- ストレス(移動、環境の変化など)
- 不摂生な食事・誤食(おやつのあげすぎ、ヒトの食べ物をあげる、ゴミの誤食)
- 感染症(細菌・真菌・原虫:ジアルジア)、寄生虫
- 食物アレルギー
- 免疫介在性疾患
- 腫瘍
- 特発性(原因が分からない)
犬の大腸炎は、ストレスや食事の変化、細菌感染、病気、アレルギーや食物不耐性など、さまざまな原因で起こります。
原因として最も一般的なものが、ストレスです。
ストレスは犬の免疫系に負担をかけるため、一度大腸炎が治ったとしても再発する可能性があります。
ポイント
ストレスや食べたものが原因で粘液が出ている場合は、数日で自然に治ることが多いです。
大腸炎の症状
大腸炎では以下のような症状が認められます。
- 血便または粘液を含む下痢やゼリー状の便がでる
- 嘔吐
- 腹痛、祈りの姿勢
- 少量、かつ何度も頻回に便をする
通常、大腸で作られる粘液は便の排泄をスムーズにしたり、腸粘膜からの細菌の侵入を防ぐ役割があります。
しかし、ストレスやアレルギーなどにより大腸炎が起こると、粘液が過剰に作られます。
その過剰に作られた粘液がそのままあるいはゼリー状になりうんちと一緒に排泄されるのです。
血便・粘液便
血便は大腸炎の主な症状の一つです。血便は真っ黒な色のタール便や血が付着した便として現れます。大腸の炎症部分から出た血液が便に混ざることで起きます。
ただし、大腸炎では下痢、ゼリー状の軟便も主な症状であり、赤くて柔らかい便や便の表面に赤い血液が付着することが多いです。
腹痛
また、大腸炎になると腹痛を感じることもあります。
腹痛のサインの一つは便が出ないのに頻繁に排便姿勢をとることです。
また、背中を丸めてお腹を触られるのを嫌がる様子も腹痛を示している可能性があります。
嘔吐•食欲不振
大腸炎が悪化すると嘔吐する場合もあります。
食欲がなくなり体重が減るなどの変化も見られます。ただし、大腸炎だけの場合には嘔吐物に血が混じることはありません。
嘔吐物がピンクや赤色をしている場合は、大腸炎だけでなく胃や小腸にも病状が進行している可能性があります。
以上が犬の大腸炎の主な症状です。大腸の内膜に炎症が起こることで引き起こされる症状であり、下痢、血便、腹痛、嘔吐が見られます。
粘液便やゼリー状の血便が出ているのになぜか元気な3つの理由
愛犬が粘液便やゼリー状の血便を出すと飼い主としては大変心配になりますが、それなのになぜか愛犬は元気で食欲も旺盛ということがしばしばあります。
その理由はなぜなのでしょうか?
病気がまだ初期段階
元気そうに見える一つの理由は、大腸炎がまだ初期段階で、健康状態や行動に大きな影響を及ぼしていないからかもしれません。
そのため、食欲も元気も普通に見え、何も問題がないように思えるのです。
痛みを隠している
犬は痛みや不快感を隠す能力があります。
これは犬の生物学的な特性で、飼い主さんは愛犬が病気であることに気づきにくくなってしまいます。
一時的な消化不良
ゼリー状の血便は一時的な消化不良の結果として起こることがあります。
間違って食べてはいけないものを食べてしまったり、胃腸が一時的に乱れたりした場合などです。
いずれにせよ、愛犬がゼリー状の血便を出したときは、元気そうに見えても、重大な疾患が隠れている可能性があるので注意が必要です。。
大腸炎の好発犬種
どんな犬も大腸炎になる可能性はありますが、
ボクサーやフレンチブルドックは、肉芽腫性大腸炎と呼ばれる大腸炎になりやすいです。
肉芽腫性大腸炎では、腸壁への細菌の侵入により、腸の部分が肥厚するか、部分的に閉塞します。
そして血便・ゼリー状便・体重減少を引き起こします。
大腸炎の治療
大腸炎の治療には以下のようなものがあります。
絶食
犬の大腸炎を治療する一つの方法として、絶食を行うことがあります。
ただし絶食はあくまで一時的なもので、長期間行うことはオススメしません。
絶食期間
一時的に絶食することで消化器系に休みを与え、炎症を和らげることが可能です。
絶食期間は通常12時間から24時間とされ、その後徐々に食事を再開します。
食事再開
絶食後は、消化しやすい食事から始めます。
例えば、繊維が少なく、消化に良い食べ物(例えば、茹でた鶏肉とご飯)を与えると良いでしょう。
栄養補給
絶食期間中も水分補給は重要で、その後の食事で栄養バランスを整える必要があります。
食物繊維
食物繊維を与えると、粘液便・ゼリー状便などが改善することが多いです。
というのもそれは食物繊維は糞便中の水分を減らし、大腸での滞留時間を伸ばすなど(より多くの水分を吸収することを可能にします)大腸のサポートをしてくれます。
サイリウム、カボチャ、オオバコ、フラクトオリゴ糖(FOS)などが食物繊維を多く含みます。
消化に良い食事
消化に良い食事は、ゆでたささみ、茹で卵などのタンパク質と、白米・玄米・じゃがいもなどの炭水化物を給餌します。
小麦などのグラテンはご存知のような消化に負担がかかり、大腸炎の症状をさらに悪化させてしまうことがあります。そのためグルテンを含む食品やフードは避けるようにしましょう。
食物繊維を多く含むカボチャ(加熱調理をした)などをすり潰したものを混ぜてあげても良いでしょう。
プロバイオティクス(整腸剤)
ストレスなどにより腸内細菌叢が乱れ、大腸炎が引き起こされている場合にはプロバイオティクス(整腸剤)が効果的です。
プロバイオティクスは乱れてしまった腸内細菌叢を正常に戻す働きがあります。
アレルギー食
食物アレルギーにより大腸炎を引き起こしている場合、アレルゲンが含まれていないフードを選ぶことにより大腸炎が改善する事があります。
大腸に良くない食べ物とは?
犬の大腸に良くない食べ物には、以下のようなものがあります。
骨付きの肉
骨付きの肉を与えると、犬が骨を噛み砕く際に鋭い破片ができ、大腸を傷つける可能性があります。
これは大腸炎の原因となりうるので注意が必要です。
乳製品
一部の犬は乳製品に対して敏感で、乳糖不耐症のような反応を示すことがあります。
乳糖不耐症は下痢やガス形成を引き起こし、既存の大腸炎を悪化させる可能性があります。
ナッツ類
ナッツ類は、高脂肪食品であるため犬の消化器系に負担をかけます。
特に、マカダミアナッツは犬にとって有毒で、消化器系の問題を引き起こす可能性があります。
これらの食品を避けて、犬の健康を守るために、適切な食事と栄養素の補給を心掛けましょう。
大腸炎にオススメのフードランキング3選
大腸炎にオススメのフードを獣医師が厳選して選び抜きました!
これから紹介するフードは以下の条件を満たしており、大腸炎などお腹の弱い愛犬のケアに最適です。
- 食物アレルギーに配慮されている
- 消化性の高いタンパク質をしっかり使用している
- ちゃんと美味しく食いつきがいい
- 無添加のヒューマングレード
- コスパが良く、長く続けることができるフード
以下で獣医師が厳選したオススメのドッグフードをご紹介します。
国産手作りドッグフード PETOKOTO
FINEPET'S (ファインペッツ)プレミアムペットフード
【安心犬活】国産無添加ドッグフード
獣医師オススメのサプリメント
マイトマックススーパー
大腸炎がよく起こる場合は、もともと腸内環境が悪いワンちゃんの可能性が高いです。
腸内環境を整えるためには、整腸剤をサプリメントとして与えた方が良いです。
愛犬へのオススメのサプリはマイトマックススーパーです。
マイトマックススーパーは、これまでの乳酸菌製品とは全く異なるペディオコッカス菌製品で、素早く愛犬のお腹の腸内細菌バランスを整えてくれます。
また生きたまま菌が届くので、腸へとダイレクトに整腸剤の効果を出すことが可能です。
軟便や下痢などの腸のお悩みを抱えている愛犬御用達のどうぶつで処方されるオススメの整腸剤です。
大腸炎の回復期間
治療後、ほとんどの犬は数日以内に回復します。
中には数週間かかる症例もいますが、ほとんどの場合、継続的な治療により完治させることができます。
すぐにお家でできる3つのケア
以下に大腸炎の愛犬に対して、お家でできるケアの方法をいくつか紹介します。
お腹を温める
大腸炎の症状が現れた際、愛犬のお腹は冷えていることがあります。このような場合、以下の方法でお腹を温めることができます。
湯たんぽ
湯たんぽを使って、愛犬のお腹を優しく温めましょう。湯たんぽの温度は人肌程度にして、熱すぎないように注意し、タオルなどでくるんで使用してください。
電気毛布
低温設定で電気毛布を使用し、愛犬の寝床の上に敷いてあげることで、全体的に体を温めることができます。
こまめに水分補給をさせる
大腸炎の愛犬は、下痢などの症状により体内の水分が失われることがあります。そのため、以下の方法でこまめに水分補給をさせることが重要です。
清潔な水
常に清潔な水を用意し、愛犬がいつでも飲めるようにしてください。
経口補水液
ペットスエットのような経口補水液を与えることで、失われた電解質や水分を補給することができます。
安静にさせる
愛犬が安静に過ごせる環境を整え、無理に活動させないようにしてください。
犬の大腸炎に関するよくある質問
大腸炎には抗生物質が必要ですか?
大腸炎の治療で抗生物質を投与することはほとんどありませんが、肉芽腫性大腸炎の場合は第1選択薬として抗生剤を使用します。
大腸炎はどのくらいで治りますか?
急性の大腸炎は、24〜48時間以内に自然に治る場合がよくあります。ですが、大腸炎の中には、薬や食事療法でしか管理できないものもあります。
自宅でできる大腸炎の治療はありますか?
わんちゃんの食欲があり、便の異常のみしか認められない場合には、食物繊維の豊富なカボチャ(加熱調理をした)を与えたり、整腸剤を投与して様子を見ても良いでしょう。
ストレスは犬に大腸炎を引き起こす可能性がありますか?
はい。ストレスは犬の大腸炎の1番の原因であると考えられています。
その場合、無治療でも自然治癒する事がほとんどです。ただし、ストレスの原因が無くならない限りは何度も繰り返します。
まとめ
犬の大腸炎は様々な事が原因と考えられますが、原因によって対処法は異なります。
ストレスであればストレスの原因となる事柄を取り除く必要がありますし、食事などによるアレルギーであれば療法食に変更するといった方法があります。
基本的大腸炎は命に関わる事はありませんが、
症状を繰り返す慢性的なものであったり、嘔吐や食欲がなくなり脱水を起こしている場合には、どんどん衰弱していきますので、放っておかず早めに治療する事が重要です。