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【獣医師解説】腎臓病の犬に良い食事は?療法食&サプリ5選+手作り食のNG食材

腎臓病と診断された愛犬に、何を食べさせればいいのか悩む飼い主さんは多いです。
腎臓病では食事管理が治療の要であり、タンパク質・リン・ナトリウムの摂取量を適切にコントロールすることが病気の進行を遅らせる鍵になります。
この記事では獣医師がおすすめする療法食・サプリ5選と、手作り食で避けるべきNG食材を解説します。

腎臓病の犬の食事管理――なぜ「食べるもの」がこれほど重要なのか

犬の慢性腎臓病(CKD)の管理において、食事療法は薬と同等かそれ以上の効果を持つとされています。
適切な食事管理を行うことで、腎機能の低下スピードを遅らせ、尿毒症の発症を先延ばしにできることが複数の研究で示されています。
逆に、普通のフードや高タンパクな食事を続けることは腎臓への負担を増やし、病気の進行を加速させます。
この記事では「なぜ療法食が必要なのか」という理由から、具体的なおすすめ製品、手作り食の注意点まで詳しく解説します。

ポイント
犬のCKD管理において食事療法は薬と同等かそれ以上の効果があります。特にタンパク質・リン・ナトリウムの3つを適切にコントロールすることが腎臓への負担を直接減らす最も有効な方法です。

なぜ療法食が必要なのか:3つの理由

💡 ポイント

腎臓病療法食はタンパク質・リン・ナトリウムの3つを適切にコントロールするよう設計されています。一般フードと比べると腎臓への負担が大幅に軽減され、尿毒症の進行を遅らせる効果が科学的に証明されています。獣医師と相談しながら早めに切り替えを検討しましょう。

①タンパク質を制限する理由

タンパク質はアミノ酸に分解されたあと、尿素窒素(BUN)などの老廃物を生み出します。
健康な腎臓はこれを尿として排泄できますが、腎機能が低下した犬では老廃物が血液中に蓄積してしまいます。
これが尿毒症の原因です。
タンパク質を適切に制限することで、腎臓への負担を直接減らすことができます。
ただし、タンパク質をゼロにすることは逆効果です。
筋肉量を維持するために必要最低限の良質なタンパク質は必要です。

ポイント
タンパク質は「ゼロにする」のではなく「適切に制限する」のが正解です。療法食は腎臓に優しい品質のタンパク質を必要最低限の量に調整して配合されています。

②リンを制限する理由

腎臓の機能が低下するとリンが排泄されにくくなり、血中リン濃度が上昇します。
高リン血症になると副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に分泌され、骨からカルシウムが溶け出し、腎臓の組織がさらにダメージを受けます。
この悪循環を断ち切るためにリン制限は非常に重要です。
腎臓病の療法食は一般フードに比べてリン含量が大幅に抑えられています。

⚠️ 注意
高リン血症は腎臓病の進行を加速させる最大の要因の一つです。煮干し・レバー・乳製品・豆類はリンが非常に多く含まれており、腎臓病の犬には絶対に与えてはいけません。療法食への切り替えがリン管理の最も確実な方法です。

③塩分を制限する理由

塩分(ナトリウム)の過剰摂取は高血圧を引き起こします。
高血圧は腎臓の糸球体に物理的なダメージを与え、腎機能をさらに悪化させます。
腎臓病の犬には塩分制限が欠かせません。

おすすめ腎臓病療法食4選

💡 ポイント

腎臓病療法食は動物病院での処方が必要な製品です。ロイヤルカナン・ヒルズk/d・ピュリナNFなどの主要ブランドはいずれも研究に裏付けられた製品です。食いつきが悪い場合はウェットタイプや温め提供も有効です。最終的にはかかりつけ医に相談して選びましょう。

市販されている主要な腎臓病療法食を比較して紹介します。
いずれも動物病院での処方が必要な製品です。

①ロイヤルカナン 腎臓サポート

世界的に最も使用実績が多い腎臓病療法食のひとつです。
高い嗜好性(食いつきの良さ)が特徴で、食欲が落ちている腎臓病の犬にも食べてもらいやすいと評判です。
ドライとウェットの両方があり、ウェットタイプは水分摂取量を増やすのにも役立ちます。
「腎臓サポートスペシャル」は低タンパクで尿毒症が進んだ犬向けのラインもあります。

②ヒルズ プリスクリプション・ダイエット k/d

長年の研究実績に裏付けられた腎臓病食です。
オメガ3脂肪酸(EPA/DHA)が配合されており、腎臓の炎症を抑える効果が期待できます。
「k/d+モビリティ」は関節ケアも同時にできるタイプで、高齢犬に人気があります。
チキン・ツナなど複数のフレーバーがあるため、好みに応じて選択できます。

③ピュリナ プロプラン 犬用 NF腎臓機能

ネスレピュリナが開発した腎臓病療法食です。
タンパク質・リン・ナトリウムの制限バランスに優れており、BUNの上昇を抑える効果が確認されています。
ドライタイプは長期保存がしやすく、コスト面でも比較的リーズナブルです。

④アニモンダ インテグラ プロテクト 腎臓ケア

ドイツ発のブランドで、原材料の質にこだわった製品です。
人工添加物・着色料不使用で、自然素材を重視したい飼い主さんに支持されています。
ウェットタイプのラインナップが充実しており、水分補給が必要な犬に特に向いています。

療法食への切り替え方

💡 ポイント

療法食への突然の切り替えは食欲低下・消化不良を招きます。最初の3〜4日は新しいフードを10〜20%だけ混ぜ、2〜4週間かけてゆっくり移行するのが理想です。食いつきが悪い場合は温めて香りを立てる・少量に分けるなどの工夫をしてみましょう。

いきなり療法食だけに切り替えると、食べてくれないことがほとんどです。
以下のステップで1〜2週間かけて徐々に移行しましょう。

  • 1〜3日目:現在のフード9:療法食1の割合でスタート
  • 4〜6日目:フード7:療法食3に変更
  • 7〜9日目:フード5:療法食5に変更
  • 10〜12日目:フード3:療法食7に変更
  • 13日目以降:療法食100%

食欲不振が3日以上続く場合は、必ず獣医師に相談してください。
食べないことで体重が落ちると、筋肉が分解されてタンパク質の老廃物が増え、逆効果になる場合があります。

このセクションのまとめ
・切り替えは1〜2週間かけて段階的に行う(急な変更は拒食の原因)
・食欲不振が3日以上続いたら必ず獣医師に相談
・食べないまま放置すると筋肉が分解されてBUNが上昇し逆効果になる

手作り食を選ぶ場合のNG食材と注意点

⚠️ 注意

手作り食を与える場合、腎臓病の犬に絶対に与えてはいけない食材があります。高リン食材(煮干し・レバー・チーズ・豆類)・高タンパク食材(生肉大量・卵黄のみ)・塩分の高い加工食品は腎機能を急激に悪化させることがあります。手作り食は必ず獣医師または栄養士に相談してから実施してください。

「手作り食で愛犬のために何かしてあげたい」という気持ちはとても自然です。
ただし、腎臓病の犬の手作り食は誤ると命取りになることがあります。
必ず獣医師または動物栄養士の指導のもとで行いましょう。

⚠️ 注意
手作り食は愛情たっぷりに見えますが、腎臓病の犬に誤った食材を使うと急激な悪化を招くことがあります。独断での実施は避け、必ず獣医師または動物栄養士の指導のもとで行ってください。

絶対に避けるべき食材

リンが非常に多い食材

  • 乳製品全般(チーズ・ヨーグルト・牛乳)
  • 煮干し・カタクチイワシ・鰹節
  • レバー・内臓肉全般
  • 豆類(大豆・枝豆・豆腐)
  • 骨ごと食べるタイプの食材

塩分が多い食材

  • 加工食品全般(ハム・ソーセージ・かまぼこ)
  • 塩蔵品(塩鮭・塩漬け野菜)
  • 醤油・味噌・ソースなど調味料
  • スナック菓子・人間用おやつ全般

タンパク質が過多になりやすい食材

  • 鶏胸肉・ささみの大量給与(適量なら問題ないが与えすぎに注意)
  • 卵白(毎日の大量給与はリスクがある)

手作り食で使いやすい食材

完全な手作り食は難しいですが、療法食に少量を混ぜる程度なら以下の食材が比較的安全です。

  • 白米・うどん(カロリー源として適している)
  • キャベツ・白菜・きゅうり(低リン・低塩分の野菜)
  • 鶏ひき肉(少量)(良質なタンパク質源)
  • かぼちゃ(少量)(カリウムに注意しながら)

水分摂取を増やす5つのコツ

💡 ポイント

腎臓病の犬にとって十分な水分摂取は腎臓への老廃物排泄を助ける非常に重要なケアです。複数箇所に水皿を置く・流れる水飲み器を使う・ウェットフードに切り替える・食事にお湯を加えるなどの工夫で飲水量を増やしましょう。

腎臓病の管理において水分補給は非常に重要です。
脱水は腎臓への大きなダメージになります。

①ウォーターファウンテンを使う

犬は流れている水を好む傾向があります。
循環式給水器(ウォーターファウンテン)を使うと自然と飲水量が増えることがあります。

②ウェットフードを活用する

ドライフードに比べ、ウェットフードは水分含量が75〜85%と高いです。
療法食のウェットタイプに切り替えるか、ドライに混ぜて与えましょう。

③ぬるま湯をドライフードにかける

ドライフードにぬるま湯を少量加えてふやかすと、食べながら水分も摂取できます。
嗜好性が上がって食いつきも良くなるケースがあります。

④水飲み場を複数設置する

犬の生活動線上に複数の水飲み場を設置しましょう。
水が近くにある状況を作ることで自然と飲む回数が増えます。

⑤水の種類を変えてみる

硬水は腎臓への負担になる場合があります。
軟水のミネラルウォーターに変えると飲んでくれるようになる犬もいます。
ただし、市販のミネラルウォーターを与える場合は必ず「軟水」を選んでください。

このセクションのまとめ
・ウォーターファウンテンで飲水量アップ
・ウェットフードまたはドライにぬるま湯を混ぜる
・水飲み場を複数設置する
・ミネラルウォーターは必ず軟水を選ぶ(硬水は腎臓に負担)

腎臓病の犬に役立つサプリメント

💡 ポイント

腎臓病に役立つサプリとして、オメガ3脂肪酸(EPA/DHA)・リン吸着剤・プロバイオティクスがあります。ただし、すべてのサプリが全ての犬に適しているわけではありません。必ず獣医師に相談してから開始し、効果を血液検査で確認しながら継続しましょう。

食事管理と並行して、以下のサプリメントが腎臓病の犬に有効とされています。
ただし、全て獣医師の指示のもとで使用してください。

  • リン吸着剤(炭酸カルシウム・水酸化アルミニウム):食事中のリン吸収を抑える
  • オメガ3脂肪酸(EPA・DHA):腎臓の炎症を抑え、腎機能保護効果が期待される
  • 活性炭製剤(コバルジン等):腸内で尿毒症物質を吸着し排泄を促す
  • B群ビタミン:多尿によって失われやすいビタミンB群を補う
  • プロバイオティクス:腸内環境を改善し、腸管からの尿毒素排出を補助する

タンパク質制限の根拠と推奨量(体重別テーブル)

💡 ポイント

このテーブルは体重別の推奨タンパク質摂取量をIRISステージ別にまとめたものです。タンパク質制限の目的は腎臓への負担軽減ですが、過度な制限は筋肉量低下・免疫低下を招きます。現在のステージと体重をもとに獣医師と適切な摂取量を設定しましょう。

腎臓病の食事管理で最も議論になる栄養素がタンパク質です。
「タンパク質を制限すべきか・すべきでないか」について、最新の獣医学的エビデンスに基づいて解説します。

タンパク質制限の根拠

タンパク質が代謝されると窒素性老廃物(尿素・クレアチニン・リン等)が産生されます。
これらの老廃物は腎臓から排泄されますが、腎機能が低下すると排泄しきれずに蓄積し、尿毒症症状を引き起こします。
タンパク質を適切に制限することで、腎臓への負担と尿毒症物質の産生を減らすことができます。

「制限しすぎ」の危険性

一方で、過度なタンパク質制限は以下のリスクを引き起こします。

  • 筋肉量の低下(サルコペニア):筋肉が分解されて内因性タンパク質の老廃物が逆に増加する
  • 免疫機能の低下:抗体・免疫タンパク産生に支障をきたす
  • 低アルブミン血症:浮腫・腹水・栄養状態の悪化
  • 食欲の低下:タンパク質が少ないフードは嗜好性が落ちやすい

IRISステージ別のタンパク質推奨量

IRISステージ推奨タンパク質量(乾物換算)理由・考え方
健康な犬(比較用)18〜28%成犬の維持に必要なタンパク質量
ステージ1〜2(尿毒症なし)14〜20%(中程度の制限)過度な制限は不要。腎臓への負担軽減と筋肉量維持のバランス
ステージ3(尿毒症症状あり)12〜16%尿毒症物質の産生抑制を優先。消化率の高いタンパク源を選択
ステージ4(重篤な尿毒症)10〜14%(獣医師指示のもとで)QOL維持が最優先。食べられる量・食欲優先で考える

体重別の1日タンパク質推奨摂取量(参考値)

体重1日エネルギー目安(kcal)推奨タンパク質量/日(ステージ2)推奨タンパク質量/日(ステージ3)参考:処方食(100g)のタンパク換算
3kg約180〜220 kcal約9〜15g/日約7〜12g/日腎臓処方食(乾物換算14%)→約14g/100g
5kg約270〜330 kcal約13〜22g/日約10〜18g/日1日のフード量:70〜90g程度が目安
10kg約420〜520 kcal約20〜34g/日約16〜26g/日1日のフード量:120〜150g程度が目安
15kg約560〜680 kcal約28〜45g/日約22〜36g/日1日のフード量:160〜200g程度が目安
20kg約700〜850 kcal約35〜57g/日約28〜45g/日1日のフード量:200〜250g程度が目安
30kg約950〜1,150 kcal約47〜76g/日約38〜61g/日1日のフード量:270〜330g程度が目安
⚠️ 注意
上記はあくまで参考値です。実際のタンパク質必要量は肥満度(BCS)・筋肉量・尿毒症の程度・腎臓病以外の合併症によって異なります。必ず担当獣医師に個別の目標値を設定してもらってください。タンパク質制限を自己判断で行うことは危険です。

リン制限の食材別含量テーブル(高リン・低リン食材)

💡 ポイント

このテーブルで食材ごとのリン含量を確認しましょう。手作り食や市販品を選ぶ際の参考になります。低リン食材を上手に組み合わせることで、食事の楽しさを保ちながら腎臓への負担を減らすことができます。

リン管理は腎臓病の食事療法で最も重要な課題のひとつです。
腎機能が低下するとリンの排泄能力が落ち、高リン血症→二次性副甲状腺機能亢進症→腎臓病の進行加速という悪循環に陥ります。
食材のリン含量を把握することで、適切な食材選択が可能になります。

高リン食材(腎臓病では避けるまたは厳しく制限)

食材名リン含量(目安/100g)腎臓病での扱い備考
牛レバー約370mg厳禁銅も多く、腎臓病・肝臓病ともにNG
かき(牡蠣)約190mg厳禁リン・銅がともに多い
チーズ(加工品)約630mg避ける無機リン(リン酸塩)の形態で吸収率が高い
牛乳約93mg制限少量なら可だが多量はリン負荷になる
いわし(干し)約1,400mg以上厳禁干し魚は特にリン濃度が高い
豆腐・大豆製品約88〜120mg少量なら可・多量は制限植物性リンは吸収率が低い(有機リン)
加工食品・ハム・ソーセージリン酸塩添加で非常に高い厳禁無機リン(リン酸塩)は吸収率90%以上で最も危険
全粒穀物・ふすま約300〜400mg避ける白米より大幅に高い

低リン食材(腎臓病で積極的に使える)

食材名リン含量(目安/100g)腎臓病での推奨度備考
白米(炊いたもの)約34mg推奨低リン・低タンパク・消化が良い。腎臓病食の主食として最適
じゃがいも(茹で)約40mg推奨低リン・低タンパク。ただし高カリウムのため末期CKDでは注意
卵白(水煮)約10mg推奨(高品質タンパクで低リン)卵黄はリン・脂肪が多いため卵白中心で。全卵は少量可
鶏ささみ(皮なし・茹で)約210mg適量(タンパク質源として)筋肉肉の中ではリンが比較的少ない。ただし制限量を守る
かぼちゃ(加熱)約43mg推奨低リン・抗酸化ビタミン豊富。食物繊維源にもなる
さつまいも(加熱)約47mg推奨低リン・消化しやすい炭水化物。高カリウムのため末期CKDでは注意
にんじん(加熱)約28mg推奨低リン・低カリウム・抗酸化ビタミン豊富
白身魚(タラ・茹で)約210mg適量良質なタンパク源。リンは鶏肉と同程度だが消化率が高い
リン管理のポイント
リンの吸収率は食材の形態によって大きく異なります:
・無機リン(リン酸塩:加工食品・缶詰の添加物)=吸収率90〜100%(最も危険)
・動物性リン(肉・魚)=吸収率40〜60%
・植物性リン(豆類・穀物)=吸収率20〜40%(比較的低い)

腎臓病の犬のフードを選ぶ際は、原材料表示にリン酸塩・ポリリン酸塩等の添加物がないことを確認しましょう。

処方食8選完全比較テーブル(リン・タンパク・カロリー・価格)

💡 ポイント

このテーブルでは主要な腎臓病処方食8種のリン・タンパク・カロリー・価格を比較しています。製品ごとに特徴が異なるため、愛犬の食いつき・ステージ・予算を考慮して選びましょう。定期的に見直すことも大切です。

腎臓病の犬に使われる主要な処方食を8製品選んで詳しく比較します。
栄養成分は製品の改訂によって変更されることがあるため、購入前に最新情報を各メーカーまたは動物病院でご確認ください。

製品名メーカータンパク質
(乾物換算)
リン
(乾物換算)
カロリー
(kcal/100g)
参考価格(目安)特徴・向いている状況
ロイヤルカナン 腎臓サポート(ドライ)ロイヤルカナン約17〜20%約0.4〜0.6%約380〜400 kcal3,500〜5,500円(1.5〜2kg)嗜好性が高く食欲不振の犬でも食べやすい。最も使用実績が多い
ロイヤルカナン 腎臓サポート(ウェット)ロイヤルカナン約17〜22%(乾物換算)約0.4〜0.6%(乾物換算)約350〜380 kcal(乾物換算)300〜500円(1缶200g前後)水分補給に最適。ドライとの混合にも使いやすい
ロイヤルカナン 腎臓サポートスペシャルロイヤルカナン約14〜16%(低タンパク)約0.3〜0.5%約350〜380 kcal4,000〜6,000円(1.5kg)尿毒症症状が重篤・ステージ3〜4に。通常の腎臓サポートより低タンパク・低リン設計
ヒルズ k/d(ドライ)ヒルズ約14〜16%約0.25〜0.35%(業界最低水準)約355〜375 kcal3,800〜5,800円(1.5〜2kg)長年の研究実績。EPAが配合(炎症抑制)。リン含量が特に低い
ヒルズ k/d(ウェット缶)ヒルズ約14〜17%(乾物換算)約0.25〜0.35%(乾物換算)約370〜400 kcal(乾物換算)300〜450円(1缶156〜370g)水分補給・食欲増進に有効。ドライが嫌いな犬に
ピュリナ NF 腎臓機能ケア(ドライ)ネスレ ピュリナ約14〜18%約0.35〜0.5%約340〜370 kcal3,500〜5,500円(1.5〜2kg)腎臓・肝臓の複合管理にも対応。コストパフォーマンスが比較的良い
アニモンダ インテグラ プロテクト 腎臓(ウェット)アニモンダ約14〜18%(乾物換算)約0.4〜0.6%(乾物換算)約360〜400 kcal(乾物換算)400〜600円(1缶150〜200g)ドイツ製・人工添加物なし。原材料の品質を重視する飼い主に人気
ヒルズ k/d+モビリティヒルズ約14〜16%約0.25〜0.35%約355〜375 kcal4,000〜6,500円(1.5〜2kg)腎臓病+関節病を合併する高齢犬に。グルコサミン・コンドロイチン配合

処方食選択の目安フロー

  • 食欲不振が強い→ ロイヤルカナン(嗜好性が最も高い)・ウェットタイプを優先
  • リン管理を最優先にしたい(高リン血症)→ ヒルズ k/d(業界最低水準のリン含量)
  • 尿毒症症状が重篤・ステージ3〜4→ ロイヤルカナン腎臓サポートスペシャル
  • 関節病・運動機能低下を合併→ ヒルズ k/d+モビリティ
  • コスト重視→ ピュリナ NF(比較的リーズナブル)
  • 天然素材重視→ アニモンダ インテグラ プロテクト

手作り食の基本レシピ3種(体重10kg・20kg・30kg)

手作り食で腎臓病を管理する場合は、必ず獣医師または獣医栄養士による栄養設計を受けてください。
以下は参考例であり、個々の犬の病態・血液データに応じた調整が必須です。

⚠️ 手作り食の重要な注意点
・腎臓病の手作り食は、タンパク質・リン・カリウム・ナトリウム・カルシウム・水分のバランスが非常に難しい
・以下のレシピは「考え方の参考例」であり、そのまま使用することは推奨しません
・カルシウム・ビタミンD・ビタミンE・B群などのサプリメント補充が必須
・手作り食開始後は1ヶ月以内に血液検査で評価する

体重10kgの犬(CKDステージ2)の手作り食参考例

体重10kg・CKDステージ2・1日目安カロリー:約400〜480 kcal

【主食(低リン炭水化物)】白米(炊いたもの):150g(カロリー約240 kcal)
【タンパク源(低リン)】鶏ささみ茹で:60〜70g または 白身魚(タラ)茹で:60〜70g
【野菜(低カリウム・低リン)】茹でにんじん:40g + 茹でかぼちゃ:40g
【補助サプリ】カルシウム補充(炭酸カルシウム粉末等)・ビタミンE・B群(獣医師指示量)

※水は常に新鮮なものを300〜400mL/日以上確保する
※1日2〜3回に分けて与える
※リン吸着剤が処方されている場合は食事と一緒に投与する

体重20kgの犬(CKDステージ2)の手作り食参考例

体重20kg・CKDステージ2・1日目安カロリー:約700〜850 kcal

【主食(低リン炭水化物)】白米(炊いたもの):280g または さつまいも(茹で)200g + 白米100g(混合)
【タンパク源(低リン)】鶏ささみ茹で:120〜140g または 白身魚(タラ)茹で:120〜140g
【野菜(低カリウム・低リン)】茹でにんじん:70g + 茹でかぼちゃ:70g
【補助サプリ】カルシウム補充・ビタミンE・B群(獣医師指示量)

※水は500〜700mL/日以上を確保する(腎臓病では特に水分が重要)
※貧血がある場合はダルベポエチン(処方薬)を皮下注射で補充することもある

体重30kgの犬(CKDステージ2)の手作り食参考例

体重30kg・CKDステージ2・1日目安カロリー:約950〜1,150 kcal

【主食(低リン炭水化物)】白米(炊いたもの):400g または じゃがいも(茹で)300g + 白米200g(混合)
【タンパク源(低リン)】鶏ささみ茹で:180〜200g または 卵白(茹で)5〜6個分
【野菜(低カリウム・低リン)】茹でにんじん:100g + 茹でかぼちゃ:100g + 茹でにんにく(除く・代わりにブロッコリー少量)
【補助サプリ】カルシウム補充(炭酸カルシウム)・ビタミンE・B群(獣医師指示量)

※水は700〜1,000mL/日以上を確保する

ウェットフードとドライフードの使い分け

腎臓病の犬にとって、ウェットフードとドライフードにはそれぞれ明確な利点があります。
一般的にウェットフードが推奨されることが多いですが、状況に応じて使い分けることが重要です。

比較項目ウェットフード(缶詰・パウチ)ドライフード(キブル)
水分含量約70〜80%(非常に高い)約8〜12%(低い)
腎臓病への利点水分補給に最適。尿量増加→腎臓への老廃物排泄促進。脱水予防に直結保存性が高い。使いやすい。別途水分補給が必要
食欲不振時香りが強く食欲を引き出しやすい。温めると更に嗜好性が上がる白湯に浸してふやかすと香りが立って食べやすくなることがある
コストドライより高コストになりやすいウェットより低コスト。長期保存可
歯垢歯垢形成リスクが高い(歯磨きが重要)歯垢形成が比較的少ない
推奨の使い方主食または補助(ドライに混ぜる)として使用主食として使用しつつ、水分補給を別途確保する
ウェット+ドライの組み合わせがおすすめ
ドライフードをベースにしつつ、ウェットフードを混ぜる(1/3〜1/2をウェットに)ことで:
・水分摂取量の確保
・食欲の維持(嗜好性の向上)
・コストのバランス
これら3つを同時に実現できます。腎臓病の犬には特に効果的な方法です。

フード移行の失敗しない方法(2〜4週間プロトコル)

⚠️ 注意

療法食への移行中に食欲が完全になくなった場合は要注意です。腎臓病の犬が2日以上何も食べないと栄養状態が急激に悪化します。食欲廃絶が続く場合は自己判断せず、すぐに獣医師に相談してください。食べない理由が別の合併症である可能性もあります。

腎臓病療法食への移行を急ぎすぎると、ほぼ必ず拒食・下痢・軟便が起きます。
ゆっくりとした段階的な移行が成功の鍵です。
以下の2〜4週間プロトコルを参考にしてください。

期間旧フード新フード(処方食)ポイント
1〜3日目90%10%新フードを「トッピング」感覚で少量混ぜる。食べることに慣れさせる
4〜6日目75%25%問題なく食べていれば量を増やす
7〜10日目50%50%ここで拒食・下痢が起きやすいため注意して観察する
11〜14日目25%75%食べれていれば最終段階へ
15日目以降0%100%完全移行。食欲不振が続く場合は前のステップに戻す

移行を成功させる追加テクニック

  • ウェットフードから始める:ドライを嫌がる場合はウェットから移行を開始して、後でドライに切り替える
  • 白湯に浸す:ドライフードを白湯でふやかすと香りが立ち、嗜好性が上がることが多い
  • 少量のレトルトトッピングを活用:獣医師が許可した少量のトッピング(低リン・低タンパクの鶏スープなど)で風味付けする
  • 食事の温度:体温程度(約37℃)に温めると香りが立ち、食欲を引き出しやすい
  • 食器の変更:ステンレス・セラミックなど食器の種類を変えてみる
  • 移行を急がない:2週間でうまくいかない場合は4週間に延長する。焦りは禁物
⚠️ こんな場合は受診を
・5日以上食べない場合(絶食は腎臓病をさらに悪化させる危険がある)
・下痢・嘔吐が移行開始後3日以上続く場合
・体重が急激に落ちている場合
・複数の処方食を試しても食べてくれない場合→食欲促進薬(ミルタザピン・カプロモレリン等)の処方を相談してください

カリウム・ナトリウム・水分管理の詳細

⚠️ 注意

高カリウム血症(血中カリウムの異常上昇)は不整脈・筋力低下・最悪の場合心停止を引き起こす危険があります。脱力感・震え・立てないなどの症状は高カリウム血症の可能性があり、緊急受診が必要です。血液検査でカリウム値を定期的にモニタリングしましょう。

カリウム管理

腎臓病ではカリウムの異常(高値・低値の両方)が問題になります。

状態起こりやすい状況症状対処
高カリウム血症(5.5 mEq/L超)末期CKD・乏尿・ACE阻害薬使用中筋力低下・不整脈・心停止リスク高カリウム食材(バナナ・じゃがいも・豆類・ドライフルーツ)を制限。緊急時は点滴治療
低カリウム血症(3.5 mEq/L未満)嘔吐・下痢・利尿薬使用・食欲不振筋力低下・起立困難・食欲不振・頚腹屈曲(猫に多いが犬にも)カリウム補充(グルコン酸カリウム等の経口補充剤・点滴)。嘔吐が原因なら制吐薬も必要

ナトリウム管理

  • 腎臓病では低ナトリウム食が推奨される。高ナトリウム食は水分貯留・高血圧・腎臓への過剰な負荷を招く
  • 塩分の多い食材・調味料を完全に排除する:人間用の調理食品・塩・醤油・味噌・市販おやつ・加工食品はすべて禁止
  • ナトリウム目標値(乾物換算):ステージ1〜2:0.2〜0.4%以下、ステージ3〜4:さらに低く設定

水分管理

腎臓病の犬にとって、水分補給は最も重要な日常ケアのひとつです。
水分摂取量が増えると尿量が増え、腎臓への老廃物排泄が促進されます。

対策具体的な方法効果・ポイント
給水器を複数設置する家の複数箇所に水皿・ウォーターファウンテンを置く犬がどこにいても水を飲める環境に。ウォーターファウンテン(流水型)は水を飲む量が増える傾向がある
ウェットフードの導入食事の一部をウェットフードに置き換える食事と一緒に自然な水分補給が可能。1缶(200g)で約150〜160mLの水分摂取に相当
ドライフードに白湯を加えるドライフードに30〜50mLの白湯を加えてふやかす食事の水分量を増やしつつ、嗜好性も上がる。温度は37℃程度が最適
スープ・ブロスを活用無塩・無玉ねぎの鶏ガラスープ・犬用ブロスを少量混ぜる水の飲みが悪い犬に水分摂取を促す。市販の犬用ブロス製品も活用可能
皮下点滴(在宅輸液)獣医師の指示のもとで在宅輸液を実施経口水分補給が不十分な場合の補助。CKDステージ3〜4で特に有効
1日の目標水分摂取量(参考)
体重1kgあたり50〜100mL/日が目安(通常の犬の1.5〜2倍が理想)

【体重別 目安摂取量】
・5kg → 250〜500mL/日
・10kg → 500〜1,000mL/日
・20kg → 1,000〜2,000mL/日

嘔吐・下痢が続く場合は飲んだ以上の水分を失うため、必ず受診して点滴を検討してもらってください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 腎臓病の療法食は一生続けなければなりませんか?

基本的には生涯続ける必要があります。
ただし、ステージや症状に応じて制限の度合いを調整することがあります。
定期的な血液検査の結果をもとに、獣医師と相談しながら食事内容を見直しましょう。

Q2. 療法食を食べてくれません。どうすればいいですか?

まず1〜2週間かけて徐々に切り替えることが重要です。
それでも食べない場合は、ウェットタイプへの変更、フレーバーの変更、少量のぬるま湯を混ぜるなどを試してみてください。
3日以上食べない場合は必ず獣医師に相談してください。

Q3. 煮干しを少量あげるだけなら大丈夫ですか?

残念ながら、腎臓病の犬には煮干しはNGです。
煮干しはリン・塩分ともに非常に多く含まれており、少量でも腎臓への負担になります。
おやつとして与えている場合は今すぐ中止してください。

Q4. 手作り食にしたほうが療法食より体に良いですか?

必ずしもそうとは言えません。
市販の療法食は腎臓病の犬に必要な栄養バランスを科学的に設計されています。
手作り食は栄養バランスが偏りやすく、腎臓病の管理においては獣医師や栄養士の監修なしに行うことは推奨されません。

獣医師解説

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より詳しい情報は、腎臓病に特化した専門情報サイト「犬の腎臓病ガイド」もご参照ください。ステージ別ケア・フードランキング・皮下点滴の方法など、実践的な情報を詳しく解説しています。

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院長

院長

国公立獣医大学卒業→→都内1.5次診療へ勤務→動物病院の院長。臨床10年目の獣医師。 犬と猫の予防医療〜高度医療まで日々様々な診察を行っている。

-犬の泌尿器疾患