愛犬が「水をよく飲む」「急に痩せた」と感じたら、糖尿病のサインかもしれません。犬の糖尿病は7歳以上の中高齢犬に多く、未避妊のメス犬はオス犬の約2〜3倍発症リスクが高いことが知られています。この記事では初期症状から末期症状まで段階別に解説し、受診の目安を具体的にお伝えします。
犬の糖尿病とは
糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンが不足するか正常に機能しなくなることで、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が慢性的に高い状態が続く病気です。細胞にエネルギーが届かないため、体は筋肉や脂肪を分解してエネルギーを補おうとします。一度発症すると完治は難しく、生涯にわたるインスリン治療が必要になるケースがほとんどです。しかし適切に管理すれば、十分な生活の質を維持しながら長生きすることが可能です。
症状チェックリスト:初期サイン
以下の項目に2つ以上当てはまる場合は、早めに動物病院を受診してください。
- 1日の飲水量が体重1kgあたり90ml以上になった
- トイレの回数・尿量が明らかに増えた
- 食欲が以前より増しているのに体重が落ちている
- 白内障のような目の濁りが出てきた
- 被毛のツヤが失われ、皮膚が乾燥している
初期の糖尿病は「よく食べる・よく飲む」だけに見えるため、「元気そうだから大丈夫」と見過ごされがちです。体重増加ではなく体重減少が伴っている点が重要なサインです。
中期症状:進行のサイン
血糖値が慢性的に高い状態が続くと、以下の症状が現れ始めます。
- 明らかな体重減少(数週間〜数ヶ月で体重の10〜20%減少)
- 筋肉量の低下・後ろ足のふらつき
- 白内障の進行(目が白く濁る)
- おもらし・室内での粗相が増える
- 被毛が薄くなる・皮膚炎が増える
特に糖尿病性白内障は進行が非常に速く、数週間で視力を失う例もあります。目の濁りに気づいたら迷わず眼科検査を受けてください。詳しくは犬の糖尿病と白内障の関係をご参照ください。
末期症状:糖尿病性ケトアシドーシス
インスリンが極端に不足すると、体は脂肪を大量に分解してケトン体と呼ばれる酸性物質を産生します。これが血液に蓄積した状態が「糖尿病性ケトアシドーシス」です。命に関わる緊急状態であり、以下の症状が現れたら即座に救急受診してください。
- 嘔吐・下痢が続く
- ぐったりして立ち上がれない
- 口から甘酸っぱい臭い(アセトン臭)がする
- 呼吸が荒い・速い
- 意識が朦朧としている
ケトアシドーシスは数日で急激に悪化し、治療が遅れると致命的になります。24時間以内の集中治療が必要です。
発症しやすい犬種・年齢・性別
年齢
7歳以上の中高齢犬に多く、10〜12歳でのピークが知られています。ただし若い犬でも肥満や膵炎が引き金になって発症する例があります。
性別
未避妊のメス犬はオス犬の約2〜3倍、糖尿病になりやすいとされています。これは発情・偽妊娠・妊娠時にプロゲステロンというホルモンが分泌され、インスリンの働きを抑制するためです。
発症しやすい犬種
トイ・プードル、ミニチュア・シュナウザー、サモエド、ビーグル、パグなどで発症率が高いと報告されています。ただし、どの犬種でも起こりうる病気です。
受診すべきタイミングの目安
- 給水量が急に増えた(1日で体重1kgあたり90ml超)
- トイレシートの使用量が1.5倍以上になった
- 食欲旺盛なのに1〜2ヶ月で体重が5%以上減った
- 目が白く濁ってきた
診断方法
- 血液検査:空腹時血糖値200mg/dL以上が持続する場合に糖尿病が疑われます
- 尿検査:尿糖および尿ケトン体の有無を確認します
- フルクトサミン検査:過去2〜3週間の血糖値の平均を反映する指標で、ストレスによる一時的な高血糖との鑑別に役立ちます
糖尿病のリスクを下げるために
- 適正体重の維持:肥満はインスリン抵抗性を高め、発症リスクを上昇させます
- 未避妊メス犬の避妊手術:ホルモンによるインスリン抵抗性を防ぎます
- 高繊維・低GIのフード選び:血糖値の急上昇を抑える食事管理が重要です(犬の糖尿病に良い食事・フード選び参照)
- 定期的な健康診断:年1〜2回の血液検査で早期発見につながります
インスリン治療については犬のインスリン投与の量と頻度、血糖値の管理については犬の糖尿病の血糖値管理で詳しく解説しています。
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